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北海道《キャメルファームワイナリー》
イタリアの名醸造家と余市の幸福な出合い

2023.12.21
北海道《キャメルファームワイナリー》<br>イタリアの名醸造家と余市の幸福な出合い

輸入食品販売店「カルディ」の経営者と世界的な醸造家、そして北海道余市を代表するブドウ園主の出会いが生んだ「キャメルファームワイナリー」。それは世界基準の上をいくワイナリーの誕生だ。

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ワイナリーと余市を世界にアピール

親しみやすさで人気のスパークリング(右2本)と最上位区画のブドウから醸造したピノ・ノワールのトップ・キュベ

「キャメルファーム」の創業はワイン業界に大きな期待をもって迎えられた。輸入食品販売などを手掛ける「キャメル珈琲」グループが、余市のブドウ栽培をリードしてきた藤本農園の藤本毅さんの畑16 haを基に、モダン・イタリアワインの先導者で世界的な醸造コンサルタントのリカルド・コタレッラさんをアドバイザーに迎えてはじめたのだから、期待は当然のことだ。

2014年、農業法人「キャメルファーム」として藤本農園を継承。社内で真っ先に手を挙げた伊藤愛さんを中心に藤本さんからノウハウを教わりながら栽培を続け、一部をピノ・ノワール、シャルドネに改植した。「酸のきれいな余市のブドウからは素晴らしいスパークリングができる」というコタレッラさんの意見を取り入れ、タンク内で泡を生み出す二次発酵を行うシャルマ方式のスパークリング生産を中核とした醸造所は2017年に完成。早くも2021年、最も権威あるワイン品評会「デキャンターワールドワインアワード」で「ピノ・ノワール プライベートリザーブ 2019」が日本ワインとして初のゴールドを受賞するなど、キャメルファームワイナリーと余市の存在を世界にアピールした。

イタリアを代表する醸造コンサルタントのリカルド・コタレッラさんの右腕であるアンジェロ・トータロさんが造りの総指揮を執る

日本語でのコミュニケーションも取れる醸造担当のアンジェロ・トータロさんは、「区画ごと1回で済ませていた収穫を、ブドウの熟度に合わせて2回、3回と分けるようにしました」と言う。柔和な顔立ちで話し方も優しいが、よりよいワインを造るための要求に妥協はない。その成果は2023年11月にリリースしたフラッグシップの「キャメル ブリュット メトド トラディショナル ブラン・ド・ノワール 2018」、「ピノ・ノワール プライベートリザーブ 2021」に表れている。2019ヴィンテージに比べると確実に一段階ステージが上がっている。

ビジターを受け入れるワイナリーが少ない余市で、テイスティングルームやツアーがあるのもうれしい。

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ショップ兼テイスティングルーム。日替わりのグラスワインを、ブドウ畑を眺めながらゆっくり味わえる

 

そのほか余市ワインの造り手&余市ワインが手に入る店
 
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キャメルファームワイナリー
創業年|2017年
自社畑面積|13.5ha
自社畑主要栽培品種|シャルドネ、ピノ・ノワール
ワイン生産量|約10万本

shop&cafe
住所|北海道余市郡余市町登町1728
https://camelfarm.co.jp/shop/

photo: Kenta Yoshizawa
2024年1月号「ニッポンの酒最前線2024」

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