北海道・白老町の自然の中で
解放される新しいリゾート《界 ポロト》
アイヌ文化の伝承地・ポロト湖畔で
モール温泉と絶景を愉しむ
星野リゾートが全国展開する温泉旅館ブランド「界」。2022年1月14日、北海道白老町に開業した「界 ポロト」は、ポロト湖畔の美しい風景と世界でも珍しい「モール温泉」が楽しめる温泉宿だ。さらに、アイヌ文化伝承の地として知られる地で、アイヌ文化に触れることができる宿でもある。
新千歳空港から車で約40分。アイヌ語で「大きな湖」を意味するポロト湖と、静かな湖を囲むポロトの森は北海道白老町にある。約80種の野鳥が暮らし、エゾ鹿やキタキツネ、エゾリス、エゾモモンガなど、数多くの命を育んでいる母なる土地だ。
2022年1月14日、ポロト湖畔に星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランド「界」の19施設目となる「界 ポロト」がオープンした。「界」ブランドとして初の北海道進出となるこの宿のコンセプトは、「ポロト湖の懐にひたる、とんがり湯小屋の宿」。
敷地内にポロト湖の水を大胆に引き込んでいるため、ゲストは滞在中にポロト湖に抱かれているような一体感が得られるのが特徴だ。さらに、敷地内に2カ所ある温泉は、天然植物由来の腐植質の有機物を含んだ「モール温泉」。独特な茶褐色の弱アルカリ性の単純泉で、湯上がりに肌がつるつるになる「美肌の湯」として知られる。
開放的な空間を楽しめる「△湯」は、宿のコンセプトでもある「とんがり湯小屋」の中にある。アイヌ民族の伝統的な仮小屋を支える三脚構造「ケトゥンニ」から着想を得て、建築家・中村拓志氏が設計した。一方、「△湯」に対し洞窟のような空間の「〇湯」は、地中に抱かれたような静かな感覚と大地のエネルギーが得られる構造とした。
中村氏は、地域の歴史や文化、産業に基づいた「そこにしかない建築」を大切にする建築家だ。「界ポロト」は、中村氏が率いるNAP建築設計事務所が設計全般を担当したが、特に設計や素材などにこだわったのが大浴場。宿泊客は、開放的な△湯と大地を感じる〇湯と、ふたつの風呂の意匠を存分に楽しむことができる。
建築家
中村拓志(なかむら・ひろし)
1974年、東京都生まれ。’99年、明治大学大学院で建築学修士を修めた後、隈研吾建築都市設計事務所を経て2002年、NAP建築設計事務所設立。街づくりから家具まで、扱う領域は幅広く、自然現象や人々の振る舞い、心の動きに寄り添う「微視的設計」による、「建築・自然・身体」の有機的関係の構築を信条としている
ほかにも、アイヌ民族の家(チセ)をイメージした客室「□の間」には、アイヌ民族の住居の中心にあった四角い囲炉裏がモチーフのテーブルを置き、壁紙やクッションには幾何学的なアイヌ文様を施している。
「界 ポロト」がアイヌ民族やその文化をフィーチャーするのには理由がある。
ひとつは白老の地は、アイヌ民族の文化伝承の地として維持されたコタン(村)があったこと。もうひとつが、施設の隣にナショナルセンター「ウポポイ(民族共生象徴空間)」が広がっていることだ。「界 ポロト」の開業に際しては、白老町とパートナーシップ協定を結び、アイヌ文化を尊重し、異なる民族との共生を体感できるような温泉旅館を目指した。
全国で展開する「界」の温泉旅館では、一貫して地域の文化に触れることができる「ご当地部屋」や、伝統文化や工芸を体験する「ご当地楽」のプログラムを用意する。「界 ポロト」では客室、温泉、食事とさまざまなシーンを通じて、アイヌ民族の世界観や文化を感じてもらえるように工夫を凝らす。
たとえば、ウェルカムドリンクには、アイヌ民族の人々が「病魔を遠ざける」として、日常的に飲んでいたハーブティー「エント茶」を提供したり、アイヌ民族の魔除けを取り入れた「ご当地楽」を行ったり。
ポロト湖畔で湯浴みをしながらアイヌ民族に想いを馳せることができ、さらにウポポイに足を運べば、多民族や文化への理解を深めることができる。
北海道の美酒・美食で
お腹の中から北海道を満喫
界 ポロト
住所|北海道白老郡白老町若草町1-1018-94
Tel|0570-073-011(界予約センター)
客室数|42室
料金|2名1室利用時1泊2食付3万1000円~(税・サ込)
カード|AMEX、DINERS、JCB、Master、UC、VISA
IN|15:00
OUT|12:00
夕食|食事処/会席料理
朝食|食事処/和朝食
アクセス|飛行機/新千歳空港から車で約40分 電車/JR白老駅から徒歩10分
施設|ロビー、食事処、トラベルライブラリー、ショップ、湯上がり処、大浴場
text: Tomoko Honma photo: Hiroyuki Kudoh
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