TRADITION

野田秀樹と中村勘三郎がタッグを組んだ傑作歌舞伎
シネマ歌舞伎『野田版 鼠小僧』

2022.7.16
野田秀樹と中村勘三郎がタッグを組んだ傑作歌舞伎 <br> シネマ歌舞伎『野田版 鼠小僧』
©松竹株式会社

歌舞伎の舞台を映画館で楽しめる「シネマ歌舞伎」。2022年7月の上映作品は『野田版 鼠小僧』。シネマ歌舞伎の記念すべき第1作目であり、現代の演劇界を代表する奇才・野田秀樹が稀代の名優・中村勘三郎と生み出した名作だ。
全国の映画館で7月22日(金)から28日(木)まで上映予定。歌舞伎座を笑いと涙で包んだ色あせない名作を、大スクリーンで楽しもう。

第一線で活躍を続ける演劇界の奇才・野田秀樹

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野田秀樹は東京大学在学中の1976年に「劇団 夢の遊眠社」を結成。その後ロンドン留学等を経て演劇企画製作会社を設立し『キル』『赤鬼』『パンドラの鐘』『THE BEE』『ザ・キャラクター』『エッグ』『逆鱗』『足跡姫~時代錯誤冬幽霊~』『贋作 桜の森の満開の下』『「Q」:A Night At The Kabuki』など、数々の話題作を発表している。2021年は『フェイクスピア』で読売演劇大賞の大賞・最優秀作品賞を受賞したことも記憶に新しい、現代演劇界を代表する中心的な人物のひとりだ。

芸と華、そしてプロデュース力を兼ね備えた
名優・中村勘三郎

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磨き上げられた芸に加えて、そのカリスマ性と人を惹きつける魅力で多くの観客を魅了した中村勘三郎。2012年に逝去してから早くも10年が経とうとしているが、今なおその功績が語り継がれる名優だ。そんな勘三郎が、俳優人生において大きな情熱を傾けたのは、古典を継承することに加え、歌舞伎に新たな観客を呼び込むことだった。歌舞伎とはこういうもの、という固定概念を壊し「今を生きる演劇」にするべく、一般演劇のクリエイター達と積極的に手を組み、若者の街・渋谷のシアターコクーンで行う「コクーン歌舞伎」や、江戸時代の芝居小屋を模した仮設劇場で歌舞伎を行う「平成中村座」などを行い、大成功を収めてきた。
そんな中、野田秀樹と勘三郎は出会い、「野田版歌舞伎」が生まれた。

鼠小僧は実在の人物で、中村座の門番の息子として生まれ、子どもの頃から奉公に出た後、町火消になるものの博打に身を崩して家を勘当され盗人になった。庶民の家ではなく、専ら大名屋敷を狙って盗みを働いたこともあり義賊と呼ばれたとされている。その人気に目を付けた二世松林伯円が講談にし、それを基に狂言作者の河竹黙阿弥が歌舞伎にした。

この作品を題材に書き上げられた本作「野田版 鼠小僧」は、野田秀樹ならではの笑いとアイディアをふんだんに盛り込まれた各場面がスピーディーに展開し、その中に描き込まれた主人公三太と幼い三太の物語が胸を打つ、見どころ満載の作品だ。

冬の江戸を舞台に、
「さんた」が巻き起こす大騒動!


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正月、江戸の町では鼠小僧の芝居が大人気。見物客のなかで、棺桶屋の三太がずる賢く金稼ぎに励んでいる。金にしか興味のない三太は、実の兄が死んでも棺桶屋の出番とばかりに喜ぶ始末。その上、兄には遺産があると聞いて大はしゃぎ。ところがその遺産は、近所でも善人と評判の與吉に譲るとの遺書があったからさあ大変! あかの他人に渡すものかと一計を案じた三太は、兄の死体の替わりに棺桶のなかに忍び込むのだが……。

江戸町奉行から幽霊まで、個性あふれる登場人物たちを、豪華な顔ぶれが賑やかに楽しく演じる。盟友の出会いが生み出した、色あせない名作を大スクリーンで楽しもう。

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月イチ歌舞伎
『野田版 鼠小僧』

公開日|7月22日(金)~28日(木)
上映館|東劇ほか全国の映画館にて(詳しくは公式ウェブサイトにて
料金|一般2200円、学生・小人1500円
出演|中村勘三郎、中村福助、中村芝翫、片岡孝太郎、中村勘九郎、中村七之助、坂東新悟、中村獅童、坂東彌十郎、坂東吉弥、中村扇雀、坂東三津五郎

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