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知っているとより楽しめる!
「能」の”型”と”動き”大研究 – 基本姿勢

2021.2.28
知っているとより楽しめる!<br>「能」の”型”と”動き”大研究 – 基本姿勢

能には「構え(静止した状態)」と「運び(足の動き)」という基本の動作があります。この上に様式化された型を加えて、すべてを表現します。能の型には、日本文化が培った「佇まいの美しさ」が満ちています。

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宝生流能楽師シテ方
佐野 登(さの・のぼる)
「生きる力」をテーマとしたエデュケーション・プログラムを行うほか、次世代育成、普及における伝統文化伝承のための多様な体験型プログラムを実施。

能の基本姿勢

軸が大事
頭頂から腰にかけて、身体の軸をしっかりと保つ。余計なところに力を入れず美しく立つのが、基本姿勢の 「構え」だ。軸は前後左右ぶれることがない。軸があるから美しく見える
ポイントは胸と肘
背をそらすのではなく、胸を張る。自然と背筋が伸びてまっすぐな姿になる。普段は意識することがないかもしれないが、写真のように肘を張るのもポイント。両手が丹田の位置にある
立ち方も重要
軽く膝を曲げ、余計な力を入れない安定した立ち方。それでいてすぐに動ける「スタンバイ」の状態だ。この姿勢からどんな動作にも移ることができ、また戻ることができる
少し前傾姿勢
正面から見ると気づかないかもしれないが、まっすぐに立った姿勢のまま、写真のように少し身体を前に傾ける。直立よりもやや前に重心を置くことで力強い立ち姿勢となる

型が生み出す
能ならではの様式美

型とは目に見える動作であるが、能を完成させた世阿弥は、目に見える美を内面の美にとらえ直すことで、能の表現を深めた。つまり、見える動きより見えない美が大切なのだ。能の型はカタチだけでは語れない。

能には、いくつかの動きの組み合わせである「型」があり、その型の組み合わせによって曲が成り立っている。物語や演者によって特別な動きをすることはなく、すべて決められた型の連続の中で表現されるのだ。極限までシンボライズされた能の型は、言葉で言い表せない感情やイメージ、そして森羅万象をも表現する。この潔さも能の魅力のひとつだ。

演者は単なる動きではなく、型で内面を表現する。そこに能の美があるともいえる。一つひとつの型の意味を知ることは、場面を理解すると同時に、型に込められた演者の「内面の美」を鑑賞する手助けになるだろう。

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「能」の”型”と”動き”大研究
【型のイロハ】

 
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《能の基礎知識》
1|「能」とは?三間四方に広がる美しき想像の世界
2|鑑賞する前に知っておきたい「能」の決まりごと
 
《知っているとより楽しめる!「能」の”型”と”動き”大研究》
1|【基本姿勢】
2|【型のイロハ】
3|【空飛ぶ『羽衣』はこうなります】
4|【能から学ぶ日常の所作】

photo:Bakuya Shinoda text=Akiyoshi Nishidate, Akiko Kaneda, Maho Shimizu(Notion)
2018年別冊「ニッポンの伝統芸能 能・狂言・歌舞伎・文楽」

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