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《こども本の森 神戸》
建築家・安藤忠雄氏が手がけた
本の森、第3弾が神戸に出現!

2022.4.17
《こども本の森 神戸》<br><small>建築家・安藤忠雄氏が手がけた<br>本の森、第3弾が神戸に出現!</small>

「こどもたちのための図書館をつくりたい」そんな思いを込めて建築家・安藤忠雄氏からの寄付で誕生した文化施設が大阪・中之島、岩手・遠野に続いて神戸にもオープン。本は、神戸市オリジナルの分類で15のテーマで展開され、神戸と震災に関する本をはじめ、絵本、児童文学、図鑑、アートブック、海外の本など、世界の多様さを伝えるラインアップを用意。本の貸し出しはできないが、天気のよい日には、ウッドデッキと東遊園地内に限り、外に出て読書を楽しむこともできる。新たな本との出合いのきっかけに、心地よい読書時間を過ごすのにぴったりな場所だ。

本をひらく、世界がひらく。

こどもたちが、都心の公園の中で自由に本にふれあうことで、神戸の歴史や文化に出会い、震災の教訓から命の大切さを学び、創造力を育めるような文化施設。

<concept>
1.命の大切さと震災の教訓の継承
2.公園の自然の中から生まれる好奇心
3.自由な空間と体験で育む創造力
4.神戸の歴史・文化との出会い
5.世代間とウォーターフロントへのつながり

外装は安藤建築の代名詞ともいえるコンクリート打ちっぱなしの2階建て。前面ガラス張りの開放的な建物正面からは、施設のシンボリックな大階段や巨大な本棚が顔を覗かせる。

「こども本の森 神戸」のスツールや本棚のテーマを示す看板には、神戸市のシンボル「六甲山」に生えていた木々など地元産の木材資源を使用し、一つずつ丁寧につくっている。ここで読書をするこどもたちに、自然素材でつくられた上質な家具にふれながら、心地良い読書時間を過ごしてほしいという願いが込められている。

安藤忠雄氏は、「青春のシンボル」としてデザインした《青りんご》は、米国の詩人サミュエル・ウルマンの詩「青春」がモチーフになっている。「青春とは人生のある期間ではない。心のありようなのだ」などとつづられた詩に共感した安藤さんは「目指すは甘く実った赤リンゴではなく、未熟で酸っぱくとも明日への希望へ満ち溢れた青りんごの精神」との想いを込めてつくられた。

「こどものための図書館」を神戸に

建築家・安藤忠雄氏のコメント
神戸は日本の中で一番美しくて住みやすいまちだと私は思っています。「このまちから子どもたちが本を読んで世界へと向かって羽ばたいてほしい」と市長さんにお話しして「こども本の森 神戸」が実現しました。スマートフォンの時代ですから、「本を読む」ということが忘れられています。スマートフォンを半分にして、本を読んで考える場所にしてほしい。地球の中で生きる子どもたちが育つように、どうか皆さん、これからずっとよろしくお願いいたします。

本館名誉館長に就任した、俳優・竹下景子さんのコメント
神戸の皆さんにとって特別な場所「東遊園地」の中にできたということには大きな意味があります。震災に関する記録や検証で子ども向けのものはまだまだ少ないとお聞きしていますが、ここへ来たら「神戸で何があったのか」を学べます。それを家庭に持ち帰り家族の話題になったり、学校でも話し合いの場が持たれたりして、震災が数字での記録とは別に個々の心の中に残っていくのかなあと祈るように思っています。

『本の森』へようこそ

入口をくぐると、足元から天井まで壁一面が本棚になった、まさに“本の森”が迎えてくれる。本棚の5段目より上にある本を眺めると、表紙が見えるように並べられています。文字が読める、読めないに関わらず、すべてのこどもたちが本の顔である表紙、絵を見て「あの本が読んでみたい!」と興味を持ち、新たな本との出合いのきっかけをつくる工夫の一つ。展示本は免震対策がされており、手にとって読んでもらえるよう同じ本を下段に用意。

休憩室
天高のある円筒形の休憩室は「こども本の森 神戸」館内でも安藤忠雄氏の建築の特徴が際立った場所だろう。トップライトから降り注ぐ光が空間を包み、教会のような荘厳さを醸し出している。「神聖さを称えたこの場所にふさわしい家具は何か?」と考えたとき、「チャーチチェア」がふさわしいと思い至った。チャーチチェアとは、椅子の背面に本(聖書)が収納できるボックスが付属した、教会にある椅子。この場所では聖書でなく、静かな空間でこどもたちに読んでもらいたい本を収納。本は週替わりで変わっていくので、どんな本が収納されているかは来館時のお楽しみに。

館内はもちろん、天気の良い日には本を外に持ち出して公園やウッドデッキで読むことができる。家族で神戸に訪れた際にはぜひ、「こども本の森 神戸」へ行ってみてはいかが。

こども本の森 神戸
住所|兵庫県神戸市中央区加納町6-1-1
Tel|078-325-1125
開館時間|9:30〜17:00
休館日|月曜(祝日の場合は翌平日休)
※現在入館は事前予約制、ウェブサイトにて予約フォームあり
https://kodomohonnomori-kobe.jp

photo: junpei iwamoto(DOR)

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