akordu<アコルドゥ>奈良公園×スペインの融合?!【前編】
犬養裕美子のディスカバー ベスト・レストラン
いまはまだスタートをしたばかり、それほど有名ではないけれど、私イチオシの“期待の星”を探して、ニッポンをめぐります!今回は、奈良県奈良市にあるスペイン料理レストラン「アコルドゥ」を前後編記事でご紹介します。
犬養 裕美子(いぬかい・ゆみこ)
東京を中心に世界のレストラン事情を最前線で取材する。新しい店はもちろん、実力派シェフたちの世界での活躍もレポート。また、日本国内各地にアンテナを張り、料理や食文化を取材。農林水産省表彰制度「料理マスターズ」審査員
川島宙(かわしま・ひろし)
1971年、東京都生まれ。大阪の調理師学校を卒業後、関東、関西のホテルを経て、34歳でスペインへ。バスク地方の「ムガリツ」の料理に感激し、半年研修。’08年、奈良・富雄に大正時代の変電所を改造したレストランをオープン。建物の老朽化のため、昨年12月奈良・水門町に移転オープン
経歴
「ホテル西洋銀座」「ホテルオークラ東京」ではレストランサービスを経験。
神奈川「麻生ガーデン」「京都センチュリーホテル」
33歳でスペインへ。バスク地方の「ムガリツ」で半年研修。
仏さまに守られた新天地。さらに〝奈良〞深まる
JR奈良駅から店まで歩いて約15分。タクシーにでも乗りたくなる距離だが、ここは我慢して歩くことに。川島宙シェフからも「ゆっくり奈良公園を散歩しながら来てください」とアドバイスされたから。そうすれば店の場所がいかに特別か、よくわかる。県庁を過ぎて奈良公園に入るあたりから空気が変わる。天に向かって伸びる大木、よく手入れされた芝が広がり、おなじみの鹿がひょっこり現れる。その一瞬はいにしえの都にワープしたかのようだ。しばらく歩くと東大寺旧境内の南西角、立派な門構えの建物にたどり着く。ここが「アコルドゥ」だ。
コンクリートとガラスで構成されたシンプルなエントランス。窓の外には深い緑が広がる。「春は桜が見事に咲きます。秋の紅葉も素晴らしいんです」。350坪もの広い敷地に2階建ての一軒家。1階がレストランとキッチン、2階はバンケットと控室。川島シェフがこの歴史ある場所に店を出したのは、前の場所から移転しなければならなかったことと、県がここにレストランの出店を募集していたことが重なったから。古いれんがづくりの前の店もよかったが、この場所はとびきり幻想的。料理を味わう前に、すっかり癒された気分になる。
シェフの仕事を語るひと皿
大和牛と護摩木ひもとうがらしと松の実の削り節
大和牛と大和の伝統野菜である“ひもとうがらし”を護摩木でいぶした料理。この皿で表現しているのは「続日本紀に出てくる鬼退治の伝説をイメージ」。時空を飛び超えて自由な表現を試みている。
アコルドゥ
住所|奈良県奈良市水門町70-1-3-1
Tel|0742-77-2525
営業時間|12:00〜13:00(L.O.)/15:30閉店
18:00〜19:00(L.O.)/22:30閉店
定休日|月曜、不定休あり
料金|昼:6500円、夜:1万3000円(すべて税・サ別)
席数|ダイニング:20席、個室:1室6席
www.akordu.com
text:Yumiko Inukai photo:Muneaki Maeda
Discover Japan 2017年11月号『この秋、船旅?列車旅?』