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「ふふ 奈良」庭屋一如のリゾートが奈良の新しい歴史を開く

2020.10.17 PR
「ふふ 奈良」庭屋一如のリゾートが奈良の新しい歴史を開く
日本伝統の“座する”がテーマの客室。ゆったりスペース、掘り込みのリビング、テラスには天然温泉露天風呂など、贅沢な「ふふラグジュアリープレミアムスイート」

古都・奈良を訪れるたびに燻し銀のごとく渋いオーラに包まれる。名所・旧跡は数知れず、探索し、知るほどに古(いにしえ)の奥深さに惹かれていく……。そしていま、奈良公園の一角に話題の最高級リゾートが扉を開けました。

せきねきょうこ
1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多く、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのコンサルタントやアドバイザーも兼任。著書に『一度は行きたい世界のホテル&リゾート』ほか

奈良の伝統に触れる、新しい贅沢を体感

歴史的文化財を復元した庭園「瑜伽山園地」から見る日本料理「滴翠」の外観。建物のすぐ裏側には浮見堂や鷺池が広がる好環境

2020年6月5日、リゾートホテル「ふふ奈良」の開業日。わずか数日後に訪れた際には「当初より想像を遥かに超えた人々が来館された」と関係者のうれしい声が聞けた。この瀟洒な宿・ふふ 奈良は、世界的な建築家の隈研吾氏が建築基本デザインを担当。メインのエントランスから見るホテルの建物は、漆黒とも違う“古代墨”の温かで優しい墨色の外壁が印象的だった。壁に並べて飾られた“箒”にも、また格子の飾りにも、特徴的な甍(屋根の大棟)や大和張りにも奈良のいにしえの景観が継承され、奈良独自の匠の伝統や名残を、繊細に、忠実に、そして斬新に創り出している。

「ふふ 奈良」の表玄関は黒い大和張り。黒は墨色のため、強過ぎず重過ぎず温かみがある。右の壁には“箒”が飾られている。「古事記(712年:奈良時代)」には掃除道具としてではなく祭祀用の道具として記され、またお清めの宗教儀式にも用いられた伝統がある

ふふ 奈良の魅力のひとつに、雅号を「滴翠」と号する茶道家で、山口財閥の当主であった山口吉郎兵衛の別邸があった「瑜伽山園地」の復元がある。ロビーや客室がある棟と、日本料理「滴翠」の棟を分かつこの庭園は、奈良県が管理運営し一般開放もされている。庭園の中央には、滴翠の茶室も復元させた。

庭園の中央に復元された茶道家の山口吉郎兵衛の茶室「䕪庵(たくあん)」。この茶室は庭園遺構として奈良県が管理運営、一般公開も

奈良公園には、国の天然記念物の“鹿”が生息しており、ホテル駐車場あたりまで散策に来るらしい。「いくら鹿が嫌いな植物を植えても、すっかり葉を食べられてしまう」と、植木囲いを指してスタッフが笑う。このスモールラグジュアリーホテルの開業を、昔から公園を“我が家”にしていた鹿も待っていたのだろう。

ホテルの客室棟の建物の中心には「中庭」と呼ばれる細長い庭がある。手掛けたのは著名なランドスケープアーキテクトの宮城俊作氏だ。巨石、小石、木、土、水で奈良の自然を表現した細長い空間は、観ているだけで心が静かに整う……不思議な庭である。

ロビーのある客室棟の1階、写真右側はパーテーション付き半個室仕様のラウンジ。ランドスケープアーキテクト・宮城俊作氏の中庭が望める

ふふ 奈良には全30室、5タイプの贅沢な客室が揃っている。すべての室内には天然温泉露天風呂が設置され、客室の家具・調度品、ファブリックもそれぞれに異なっている。どの客室も広く(71〜121㎡)、「ふふ」らしい贅沢なつくりと、奈良の燻し銀のような高級感が表現されている。同時に、伝統を体感できる墨や古木遣い、真鍮の輝きやスタイリッシュなライティング機器など、古さと新しさ、渋さと洗練のバランスが見事に折衷されている。竹林に面した客室は、日本人の美意識でもある生活と自然との一体感を有し、室内に居ながら庭を見て物を思い、静かなる時を過ごす古都らしい滞在となる。

 

「ふふラグジュアリープレミアムスイート」の天然温泉露天風呂。客室には内湯も完備し、庭を眺めながらゆったりと浸かるプライベートな寛ぎに。1階の部屋には掘り込みリビングのしつらえもある
2階にある「コンフォートスイート」。ワンルームタイプで広々と一体感のあるつくりで、使い勝手がいい

漢方や和ハーブを取り入れた夕食

飛鳥鍋。オマール海老、京菊菜、マコモダケなどを出汁(オマール海老の殻、魚貝)や白味噌で煮込む。奈良に伝わる古代チーズ「飛鳥の蘇」、ショウガと

ふふ 奈良が提供する食事は、奈良の伝統食や、ゆかりの深い奈良由来の生薬も取り入れている。大和野菜や和ハーブ、和漢植物、生薬など、奈良らしい食材を生かした「新しい、ふふの食事」に挑戦しているというのだ。その食事が楽しめるレストランは、庭や茶室に臨み、2階席からは鷺池が視野に入る快適な空間だ。

料理は、日本料理「滴翠」と鉄板焼き「久璃」で楽しめる。滞在客に用意される夕食、朝食のほか、開業直後から地元客で賑わうランチや、カフェもオープン。オールデイダイニングの機能を有している。

焼物。大和牛和紅茶焼き。和紅茶をからめて焼いた牛肉を当帰の葉や柿の葉で燻して香りづけ。マンゴー、ハスの実ソース、大和味噌など薬味をつけて食す逸品

滴翠では旬の食材を奈良の味つけに仕上げるという懐石料理、久璃でも季節の旬と奈良の伝統を融合させた鉄板焼きを提供している。「大和は国のまほろば」と伝わるように、奈良は日本の食文化発祥の地といわれる。ここ、ふふ 奈良でも、奈良の郷土料理や和漢植物をアレンジし、オリジナルのメニューを提供。まさに伝統の奈良とスタイリッシュな「ふふ」の感性が融合した、料理のコラボレーションである。

左)先付。滋養煮凝りには、芍薬、大和当帰(奈良伝承生薬)入り。パンチェッタと甘海老びんろう握り、健康茶である甘茶を添えて。右)これぞ日本料理の醍醐味・八寸。小鉢の中はホタルイカの白和え、えんどう豆のカステラとサワラ山椒焼き、奈良漬けとフォアグラの春巻きなど
お造り。染付のうつわに盛られた本マグロ、鯛、赤貝。薬味のほか、オリジナルの白ポン酢と醤油を添えて。旬の魚介類から選び、日によって種類が変わる
食事。ヒノヒカリ米の釜炊きご飯は菊芋とホタテが入った炊き込み。当帰葉香煎をふりかけに。香の物は大根の糀漬けなど。留め椀の赤出汁とともに
左)お椀。香り豊かな太ネギ真丈、黒アワビ、海老。太ネギ真丈には大和の太ネギを使用。優しい甘みが出汁に映えて美味。高級食材の黒アワビがアクセント。右)水菓子。この日のデザートは、季節の果物とアイスクリームをロゼスパークリングワインのエスプーマ(空気のように軽い泡)で仕立てた
酒処・奈良の日本酒も充実。
左)今西清兵衛商店 春鹿 純米大吟醸 華厳(1合3500円)。中央)油長酒造 ALPHA 風の森 TYPE1(1合2300円)。右)今西酒造 みむろ杉 純米大吟醸 山田錦 火入(1合2000円)

贅沢な品数の朝食にも「ふふ」らしさが凝縮されていた。大和野菜のスムージーをスターターに、奈良の数々の食材を使った小鉢が並ぶ。納豆汁、茶粥と合わせて一日のスタートにふさわしいエネルギッシュな朝食は完食だった。

大和野菜たっぷりの優しい朝食。
奈良の若草を用いたスムージーに始まる朝食は、茶粥に納豆汁、奈良産の食材を使った数々の小鉢料理が並ぶ。中でも郷土食の茶粥と「ふふ 奈良」特製の納豆汁は特別な存在感が。大和の食文化を代表する「大和茶粥」は身体に優しい健康食。ふっくらと美味な焼き魚、奈良漬けといった香の物などボリューム感も満点
昼食には生薬を生かしたカレーを。
開業以来、すでに大好評となっているのが、生薬を生かしてつくられ、和漢の香りのする具だくさんのカレー。花山椒をピリリと利かせ、新鮮な大和野菜を中心に「ふふの料理人が日本料理の技術と奈良を掛け合わせた」という渾身の逸品。別盛りで大和芋のとろろ、奈良漬け、サラダ、味噌汁が添えられる

「シスレー」100%監修
世界初の薬湯付きコースも

格調高いフランスのスキンケアブランド「シスレー」は、植物美容学と先端の技術の融合から生まれた自然派。ふふ 奈良では薬湯を用いる独自メニューも提供。「タイム オブ プレジャーズ」ではゲストの希望をカスタマイズ。オールハンド施術に癒される

奈良の地酒や生薬を使ったカクテルもおもしろい

一枚板のカウンターがある「BAR 蓮」
音楽が静かに流れる中、スパイスや生薬の香る自慢のオリジナルカクテルが愉しめる。地酒やワイン、国産ウイスキーも揃う

「座する」がテーマの心落ち着く客室デザイン

客室は全30室。ホテルで最も大切な癒しの場所は客室。写真は「ふふラグジュアリープレミアムスイート」。天然温泉の露天風呂、美しい竹林の庭との一体感、掘り込みリビング、壁には春日山を描いたアートなど静謐な空間

ふふ 奈良
住所|奈良県奈良市高畑町1184-1
Tel|0742-81-7738
客室数|30室
料金|1泊2食付3万5000円〜(税別・サ込)
カード|AMEX、Diners、JCB、MASTER、UC、VISAほか
IN|15:00   OUT|11:00
夕食|日本料理、鉄板焼(レストラン)
朝食|日本料理(レストラン)
アクセス|車/京奈和自動車道木津ICから約15分
電車/近鉄奈良駅からタクシーで約5分、JR奈良駅からタクシーで約10分
施設|レストラン、バー、スパ、貸切風呂、ショップ
www.fufunara.jp

text: Kyoko Sekine photo: Mariko Taya
2020年11月号 「あたらしい京都の定番か、奈良のはじまりをめぐる旅か」


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