高野山と熊野三山をめぐるスマートバス旅
癒しが必要ないまこそ和歌山の世界遺産へ。【後編】
和歌山県にある世界遺産、高野山と熊野。1000年を超え信仰されてきたふたつの聖地を訪れたら心身をリフレッシュ出来るはず。一気にめぐるなら、バスが便利です。季節運行する「『高野山・熊野』聖地巡礼バス」と、熊野三山を結ぶ「熊野御坊南海バス」を使えば、ふたつの聖地を2泊3日でめぐれます! 心身を清澄にする旅に出掛けませんか?
ふたつの聖地を2泊3日でめぐる旅
紀伊山地を北から南へ向かう巡礼旅。初日の高野山は、空海が自然の中で心静かに修禅する道場と位置づけた地。中でも奥之院は老杉の木立に20万基超の墓塔が並び凜とした空気が漂う。名だたる武将の墓の間には庶民の小さな五輪塔も。何者をも大らかに受け入れてきた歴史が、静かに染み入る。
2日目はバスで一路、熊野本宮大社へ。最初の目的地となる社は、古代の創始。徒歩5分の旧社地「大斎原」は、川そばの小さな森で鳥のさえずりにも癒される。
3日目は熊野速玉大社へ。山に降臨した熊野の神々を迎えた社では、熊野詣の人々が葉を懐に入れ道中守りにしたという樹齢1000年超の梛も健在。さらにバスで南下し、那智へ。熊野古道の趣が色濃く残る大門坂を上ると、最終目的地の熊野那智大社に到着。隣接する、西国三十三所の一番札所・那智山青岸渡寺を参拝したら、最後は、落差日本一の名瀑・那智の滝へ。神と崇められる滝の前で流れ落ちる水を目にするうち、心がすっと凪いでいく。身分の差を超え、あらゆる人を受け入れたという「よみがえり」の地に立てば、清涼な何かで満たされ、内からふつふつと力がわいてくる。
【1日目】
高野山
12:00|高野山着
13:00|金剛峯寺 参拝
高野山真言宗3600余りの寺院を統括する総本山。障壁画が見事で、開創1200年を記念し、日本画家・千住博氏が奉納したものもある。
住所|和歌山県伊都郡高野町高野山132
Tel|0736-56-2011
拝観時間|8:30 〜 17:00(受付は16:30まで)
拝観料|1000円
https://www.koyasan.or.jp
14:00|壇上伽藍をめぐる
19の堂塔が、密教独特の寺院配置で並ぶ壇上伽藍。根本大塔の壮麗な内陣では胎蔵界大日如来を、金剛界の四仏と堂本印象が描いた十六大菩薩などが囲む。
住所|和歌山県伊都郡高野町高野山152
拝観時間|8:30 〜 17:00
拝観料|金堂・根本大塔は各500円
15:00|霊宝館を拝観
国宝21件、重文148件などを収蔵する宝物館。2021年4月17日から始まる開館100周年記念の大宝蔵展「高野山の名宝」では運慶作『国宝 八大童子立像』はじめ選りすぐりのお宝が登場!
住所|和歌山県伊都郡高野町高野山306
Tel|0736-56-2029
拝観時間|11〜4月8:30〜17:00(入館は16:30まで)、5〜10月8:30〜17:30(入館は17:00まで)
拝観料|1300円
https://www.reihokan.or.jp
16:00|奥之院を散策
空海が835年、禅定(永遠の瞑想)に入った地は高野山の聖域。いまも毎日午前6時と10時半に、御廟の空海へ食事を捧げる儀式「生身供(しょうじんぐ)」が行われる。
住所|和歌山県伊都郡高野町高野山550
Tel|0736-56-2011
拝観|境内自由
17:00|高野山の宿坊「蓮華定院」泊
山内には51の宿坊があり、精進料理や勤行などが体験できる。蓮華定院は真田家の菩提寺で、宿泊施設内には真田幸村の書状など貴重な文化財も。夕方のお勤めで受けられる瞑想体験「数息観(すそくかん)」で精神集中しよう。
住所|和歌山県伊都郡高野町大字高野山700
Tel|0736-56-2233
https://www.rengejoin.jp
【2日目】
高野山から熊野へ
09:55|高野山出発
14:30|熊野本宮大社へ
杉の高木が囲む長い石段を上ると総檜皮葺・熊野権現造の堂々たる社殿が。かつて3つの川の中州にあったが、1889年水害を受け、現在地に移築・再建。旧社地・大斎原(おおゆのはら)には高さ約34mの大鳥居が建つ。
住所|和歌山県田辺市本宮町本宮1110
Tel|0735-42-0009
授与所|8:00〜17:00
拝観|境内自由
https://www.hongutaisha.jp
17:00|熊野本宮温泉郷「湯の峰温泉」泊
熊野詣の前に身を清め、旅の疲れを癒した「湯垢離場(ゆごりば)」で、古きよき温泉街が広がる。谷間に湧出する岩風呂「つぼ湯」は世界遺産に登録された珍しい温泉。
住所|和歌山県田辺市本宮町湯峯 110
Tel|0735-42-0735(熊野本宮観光協会)
営業時間|6:00〜21:30
料金|400円(30分交替制)
https://www.hongu.jp/onsen/yunomine/tuboyu
【3日目】
熊野三山
08:40|湯の峰温泉出発
09:45|熊野速玉大社へ
御夫婦の神々を中心に祀る、朱塗りの社殿が美しい古社。摂社・神倉神社の御神体・ゴトビキ岩に降り立った熊野大神を128年に現在地に社殿を建てて祀ったことから、この地を新宮と呼ぶ。
住所|和歌山県新宮市新宮1
Tel|0735-22-2533
拝観時間|日の出〜日没、授与所は8:00〜17:00
拝観|境内自由
https://kumanohayatama.jp
13:25|熊野古道を抜け最終目的地へ
石敷きの「熊野古道 大門坂」を約1時間上れば、熊野那智大社と那智山青岸渡寺。明治の神仏分離令までは、大社と寺院が一体であり、那智の滝を中心とした神仏習合の一大修験道場であった。6棟からなる朱塗りの壮麗な那智大社本殿、豊臣秀吉再建の青岸渡寺本堂と、建築も見応えあり。
熊野那智大社
住所|和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
Tel|0735-55-0321
拝観時間|7:00〜16:30、宝物殿は8:00〜16:00
拝観料|境内自由、宝物殿300円
https://kumanonachitaisha.or.jp
那智山青岸渡寺
住所|和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山8
Tel|0735-55-0001
拝観時間|5:00〜16:00、三重塔は8:30〜16:00
拝観料|無料、三重塔300円
熊野古道 大門坂
住所|和歌山県東牟婁郡那智勝浦町(大門坂バス停から約500m)
高野山から熊野三山へ巡礼するなら、『高野山・熊野』聖地巡礼バス(期間限定運行)と熊野御坊南海バスを駆使しよう!
※料金やモデルコースなど詳細は上記専用サイトへ
運行期間|4月10日〜5月31日、9月18日〜11月23日
聖地巡礼バス
Tel|0739-22-2100(龍神自動車)、0736-56-2250(南海りんかんバス)
熊野御坊南海バス
Tel|0735-22-5101
※運行ダイヤは変更になる可能性があります。詳しくは専用サイトをご覧ください
癒しが必要ないまこそ和歌山の世界遺産へ。
高野山と熊野三山をめぐるスマートバス旅
前編|ふたつの聖地
後編|高野山→熊野三山を一気にめぐる
text: Kaori Nagano(Arika Inc.) photo: Makoto Ito
2021年4月号「テーマでめぐるニッポン」