神社・仏閣入門「建造物」と「配置」を比較(仏閣編)
神社や寺に行くと、同じような位置に同じようなものが建てられていると感じたことはありませんか? そんなあなたの疑問を解決するため、神社とお寺の建造物とその配置をわかりやすくイラストにして紹介します。
【法隆寺式(左)】
法隆寺では塔と金堂が並列に配置されています。この変化は、仏像が置かれる金堂も一緒に見わたせるようにするためです。さらにこの後、金堂が伽藍(がらん)配置の中心になるように変化していくことになります。
【四天王寺式(右)】
仏像がなく塔のみが礼拝の対象であった、大陸の伽藍配置を残すのが四天王寺です。門からすぐのところに塔が立ち、その後ろに金堂があります。日本最初の寺院、飛鳥寺も同様に、塔と金堂が一直線に並んで建てられています。
変化した浄土のミニチュア
日本の建築技術の発展は、寺院建築とともにあったといっても過言ではありません。神社の建立がはじまったのも、寺院が建てられるようになった影響が強いです。見た目には同じに見える部分もありますが、神社が日本固有の建築様式を追求したため、細かな部分でつくりが異なります。
たとえば本堂。お寺ではひとつ屋根の下に、本尊を祀る内陣と拝むための外陣が存在します。しかし、神社では本殿と拝殿を厳格に分離し、ひとつに見えても、よく見ると屋根がそれぞれに存在します。
そもそも寺とは、仏像があり、仏の世界のミニチュアのようなものです。寺の境内にある建物は、伽藍、正式には僧伽藍(そうがらん)と呼ばれます。さらに、金堂や塔、回廊、門などの必要な建物をすべて揃えた寺は、七堂伽藍(しちどうがらん)と呼ばれ、現在は総本山クラスの大きな寺院の代名詞になっています。
ここで、いくつかの伽藍の役割を挙げます。金堂は、本尊である仏像が祀られ、寺院の中心となることが多いです。塔は仏舎利(ぶっしゃり)という仏の遺骨を納めるためのものです。これら伽藍の配置は、時代によって変遷を遂げるため、伽藍配置により分類、時代を識別することができます。
その名称や種類は、宗派によって異なりますが、寺をめぐるときのひとつの楽しみとして覚えてみてください。
お寺に見る建造物
【門】
神社でいえば鳥居にあたり、仏が住まう神聖な空間と俗界を隔てるものです。神社とは異なり、基本的に真ん中を通っても構いません。宗派により、山門や三門と呼ばれる門もあります。
【仁王】
神社の狛犬と同じく阿吽(あうん)の姿をした一対の像です。外敵を威嚇し、伽藍などを守る守護神です。仏像としては金剛力士像と一般的には呼ばれます。天に属す、仏教界のガードマンです。
【本堂】
寺院の本尊である仏像が安置されている建物を総称して本堂といいます。どんな小さな寺にも必ず存在する重要な伽藍です。上記の配置図の寺であれば、金堂がそれにあたるといえます。
(text: Discover Japan, illustration: A2WORKS, matya, supervision: Naka Uryu)