知っているとより楽しめる!
「能」の”型”と”動き”大研究 – 能から学ぶ日常の所作
無駄がなく、隙がなく、見ていて美しい能の動きを学んで、日常生活に取り入れてみましょう。普段の立ち方や座り方をほんの少し意識するだけで、周囲に好印象を与えること請け合いです。
宝生流能楽師シテ方
佐野 登(さの・のぼる)
「生きる力」をテーマとしたエデュケーション・プログラムを行うほか、次世代育成、普及における伝統文化伝承のための多様な体験型プログラムを実施。
どちらが美しく見えますか?
【右】
ついついこんな立ち方していませんか?
まっすぐ立つときに、自分がどんな風に見えているか意識してみよう。猫背とまではいかなくても、力のない立ち姿になっているかもしれない。少しあごが前に出て、肩が張り肘に力が入っていないと、なんとなく弱々しく見えてしまう。
【左】
ちょっとしたことで堂々とした姿になる
右の写真と比べると、全体の印象が明らかに堂々としていて美しい。これは能の基本姿勢であって普通の立ち方ではないが、ここから美しい立ち方のポイントが見えてくる。あごを引き、胸と肘を張る。肩の力を抜いて背筋をすっと伸ばすなど。
おじぎ
おじぎのときも背筋はピンと伸ばす
能の「おじぎ」の型。写真右は悪い例で、写真左のように背筋をピンと伸ばすと美しい。実際のおじぎとは少し違うが、この型を試してみよう。よい例と悪い例では、動きに伴う気持ちが違ってしまうのを感じるはず。
正座
美しく座ることが礼儀と心得よう
たとえば人の家に招かれた際、きれいに座るだけで好印象を与えるので、美しい正座はぜひマスターしたい。あごを引いて胸を張るように意識するのがポイントだ。右の写真はいかにも自信がなさそうに見える。
左右もまっすぐ、前後もまっすぐ
真横から見ても一目瞭然慣れない場所で緊張すると、案外、右の写真のようになってしまうことが多いもの。肩の力は抜き、腰のあたりを伸ばすようにすると自然に背筋が伸び、胸を張った美しい姿勢になる。
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1|「能」とは?三間四方に広がる美しき想像の世界
2|鑑賞する前に知っておきたい「能」の決まりごと
《知っているとより楽しめる!「能」の”型”と”動き”大研究》
1|【基本姿勢】
2|【型のイロハ】
3|【空飛ぶ『羽衣』はこうなります】
4|【能から学ぶ日常の所作】
photo:Bakuya Shinoda text=Akiyoshi Nishidate, Akiko Kaneda, Maho Shimizu(Notion) Cooperation=Kanako Sato
2018年別冊「ニッポンの伝統芸能 能・狂言・歌舞伎・文楽」