飛騨の新たな旅の拠点。
「オーベルジュ 玄珠(げんじゅ)」【前編】
岐阜県中部、飛騨高山と、郡上八幡、下呂を結ぶちょうど真ん中にある山懐「飛騨清見・大原」。その地に誕生したのは赤さびの鉄に覆われた建物。そこは岐阜の食、風土が感じられる、旅人が集う場所でした。今回は、飛騨のサステイナブル・リゾート「玄珠」の魅力を前後編記事にてご紹介。
岐阜の観光要素を結ぶ拠点
新サステイナブル・リゾート誕生
岐阜県は飛騨高山と郡上八幡を結ぶ「飛騨せせらぎ街道」沿い。山に抱かれるようにひっそりと佇んでいるのは、美しい曲線を描くコルゲート鋼板の建造物。清見町の大原エリアに2020年8月1日に開業した「オーベルジュ玄珠」のファサードである。宿泊施設としては型破りかもしれないが、不思議な魅力を放っている。そんな建物もさることながら、飛騨高山、郡上八幡、下呂温泉といった観光名所を結ぶトライアングルの真ん中に位置するため、三方向からさまざまな食材が手に入る。オーベルジュとして最高の立地なのだ。
「料理は高山市・郡上市・下呂市を中心に、近くのものだけでつくり上げることを心掛けています。開業前には、そのコンセプトを追求すべく、滋賀県『徳山鮓』の店主・徳山浩明さんにお願いをして研修をさせていただきました。徳山大将の料理を追い求める姿は、まさに私たちが目指すべきものだと感じています」
早川さんが師と仰ぐ徳山さんに、飛騨という土地の印象をうかがってみた。
「ここには山があり、川があり、水にも恵まれている。自然の中に目を向け、探してみると、この土地でしか味わえないものがまだまだあるはず。料理人が独自の感性を磨き、地の食材を斬新に料理していけば、価値があるものが生まれると信じています」その言葉通り、近隣には「ジビエ工房めいほう」のジビエや、「大原養殖漁業協同組合」、農家が点在する。ゆえに前菜八寸から最後のデザートまで、すべて地の食材で構成することが可能。まさに「身土不二」の精神、「人間の身体と土地は切り離せない」を体感できるわけだ。
さらに注目すべきはうつわ。昨年閉店してしまった横浜・三溪園を創設した原三溪ゆかりの料亭「隣花苑」から、縁あって譲り受けた骨董の漆器や盆、陶磁器の大半は、京都で活躍した陶芸家・河合卯之助の作品なのだという。また、三重県伊賀市「圡楽」の土鍋でつくった料理は、食材の持ち味を底上げしてくれる。そんなうつわを愛で、料理を味わうひとときは、心が豊かになる。
「徳山鮓」の下で腕を磨いた料理長がもてなす
「身土不二」の料理
オーベルジュ 玄珠
住所|岐阜県高山市清見町大原801-5
Tel|0577-70-8861
客室数|15室
料金|1泊2食付2万500円〜(税・サ別)
カード|さるぼぼコイン、AMEX、Diners、DC、JCB、UC、VISAほか
IN|15:00
OUT|11:00
夕食・朝食|レストラン(和食) ※身土不二コースは+5000円〜オーダーメイドにて用意
アクセス|車/岐阜・名古屋方面から東海北陸自動車道郡上八幡IC経由、せせらぎ街道を高山方面に約35分
施設|ロビーラウンジ、テラス、露天風呂(2021年1月上旬オープン)、プライベートガーデン、トレッキングコースを有するふるさと公園(高山市管理)
ネット|Wi-Fi
photo: Yoshiharu Matsumura text: Hiroko Yokozawa photo: Kazuhiko Iwahori
Discover Japan 2021年2月 特集「最先端のホテルへ」
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