日々の生活に欠かせない暮らしの道具「陶器」
うつわの基礎知識
日本のみならず、世界の人々の心を魅了するうつわ。さまざまな種類のうつわがあり、それらのルーツや製造工程もまた異なります。本記事では、「陶器」の特徴についてご紹介します。
陶器とは?
陶器は花崗岩、石英、長石などが風化した土が材料。火山国の日本では入手しやすく、「穴窯」をつくれば焼けるため、全国に広まったといわれる。磁器に比べ割れやすいが、厚手で熱しにくく冷めにくいため熱い汁や茶を入れるのに向く。
陶器の特徴
・各地の特徴が表れる器体の厚み
陶土自体はもろいため、厚手につくられる。そのため磁器に比べ重い。大きくなるほど厚く、比例して重さも増す。大皿なら数キロに。
・釉薬の使い分けがわかる見込み
表面に塗られた釉薬が高熱で溶け陶器をガラスで覆う。鉱物顔料の釉薬のほか、窯内の藁灰が化学反応を起こした「窯変」も好まれる。
・高台の素地に土の色が残る
「土見せ」と呼び、土本来の色が見える。主に鉄分で素地が変わり、赤に近いものほど鉄分が多い。
製造工程
①原料
有名な窯の近くには良質な陶土がある。掘り出した土は乾燥させて細かく砕き、水に溶かして不純物を取り除いてから自然乾燥。
②土練り
足で踏んだり機械を使ったりして土を練る。練ることにより空気を除き粘性を高める。各地の陶土を混ぜ、新しい土をつくることも。
③成形
焼物のかたちをつくる。ろくろや手びねり、紐づくりなどいろいろな手法が使われる。大量生産の場合、型が使われることも多い。
④焼成
成形後、素地に強度を与えるため自然乾燥させ、釉薬をかけてから10時間〜2日間ほど焼く。窯の温度などで焼き具合が変わる。
⑤窯開き
窯の火を止めて数日後、窯の中の温度が下がってから焼き上がった陶器を取り出す。丁寧に磨きをかければ、いよいよ陶器の完成。
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edit: Miyo Yoshinaga illustration: Tomoyuki Aida
Discover Japan 2020年12月 特集「うつわ作家50」
≪うつわの基礎知識≫
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