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うつわを長く愛用するための、正しいお手入れ方法
うつわの基礎知識

2020.12.6
うつわを長く愛用するための、正しいお手入れ方法<br><small>うつわの基礎知識</small>

世の中に数多あるうつわの中で、かたちや色、重さなどフィーリングが合うものとの出合いは、まさに一期一会。せっかく手に入れたものだから、長くつき合っていくために正しいお手入れ方法を知っておきたいところです。

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はじめて使う前にすること

日常生活でよく使われるうつわには、透光性があり丈夫な磁器、土の温もりが魅力の陶器などが挙げられるが、多くのうつわで、使う前に共通して行うべきことは、水や米の研ぎ汁にさらすという作業。うつわには無数の微細な穴が開いており、ここから水分や油が染み込むと破損やカビの原因に。このひと手間を掛けることで、うつわが引き締まり、衝撃や汚れに強くなるのだ。お気に入りのうつわを長く使い続けたいなら、ぜひ試してほしい。

・米の研ぎ汁につけ置く、または煮る
細かなでんぷんを含む米の研ぎ汁は古くから用いられてきた。半磁器、 陶器、焼き締め、粉引きなどは、研ぎ汁に20分ほどつけ置くか、5分程度煮るとよい
・水にさらすだけでもOK!
研ぎ汁が面倒……という人は、うつわを使う前に真水にさらすだけでもOK。うつわを引き締め、醤油やソース、油など料理のシミが付くことを防ぎ、長く使うことができる

料理を盛りつける前にすること

焼き締めや粉引きはもちろん、釉薬をかけて仕上げる半磁器や陶器などの表面には、目には見えなくても微細な穴が無数に開いている。うつわが乾いた状態で、醤油や油ものなどを盛ると、この穴から水分や油分が吸収されてシミの原因になってしまう。揚げ物や油分の多い料理をうつわに盛るときには特に注意が必要。盛りつける前にうつわを一度水にさらす、あるいは懐紙を活用するなど、ワンクッションを忘れずに。

・懐紙を使う
焼き締めなど釉薬を使わないうつわや粉引きは特に油分を吸収しやすい。揚げ物などの油分が多いものを盛るときには懐紙を使用するとよい
・流水にさらす
料理を盛りつける前にきれいな流水にさらして、うつわの調子を整える。このひと手間で、油や調味料のシミなどを防ぐことが可能に

使用後にすること

うつわの洗い方や収納方法にもコツがある。基本的にすべてのうつわは普通のスポンジで食器用洗剤をつけて洗えばOKだ。研磨剤入りクレンザーは、傷の原因になるので避けたい。焼き締めのうつわはたわしで洗うとベター。銀の粉をかけて焼いたものもあるが、たわしで洗ううちに粉が慣れてきて美しい光を放つ。使って洗うことを繰り返すうちに、うつわが育っていく様子を楽しめるし、愛着もわいてくるはず。洗った後の収納の仕方も、ちょっとした気遣いをすることで、うつわへの負担を軽減し、よい状態を保つことができる。

収納の仕方

・似たかたちのものをまとめて
多くのうつわはスタッキング(重ね置き)ができるが、偏った負荷がかかると、割れの原因に。平皿なら平皿と、似たようなかたちのものを重ねて収納するとよい
・皿と皿の間にふきんを敷く
大きい皿ほど重くなりうつわの下部に負担がかかる。また糸尻(うつわの裏)部分から水分が出るとカビなどの原因に。長期間保管するときはふきんや布を敷く

洗い方

・凹凸にはたわしが最適!
表面が凸凹している焼き締めのうつわは、たわしでこすり洗いするとだんだん表面がなめらかに。汚れを落としてから洗えば、少量の洗剤をつけるだけでキレイになる
・これはNG!
すべてのうつわに共通するNG行為は、水を切らないまま放置すること。水を吸ったまま保管すると、カビやシミ、割れの原因になってしまう

うつわQuestion

Q.急須も洗剤をつけて洗っていい?
A.汚れが気になるとき以外は水洗いで!
急須は実は洗剤をつけて洗わないほうがベター。外側の汚れが気になったら、洗剤をつけたスポンジで軽くこすって。口の先に茶葉カスなどがたまってきたら、試験管洗いのような細いブラシで洗うとよい。口の部分は繊細なので慎重に洗う必要がある。

Q.割れてしまったら諦めるしかない?
A.「金継ぎ」という手法で修繕可能。
大切なうつわが割れてしまったときは「金継ぎ」してみよう。破損部分を漆で繕い、金などの金属粉で装飾して仕上げる伝統技法。プロに依頼する方法もあるが、初心者向けのキットで挑戦してみるのも一興。自分で継いだうつわは、愛着度がさらにアップ!

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edit: Miyo Yoshinaga illustration: Tomoyuki Aida
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≪うつわの基礎知識≫
1|日々の生活に欠かせない暮らしの道具「焼物」
2|日々の生活に欠かせない暮らしの道具「陶器」
3|日々の生活に欠かせない暮らしの道具「磁器」
4|日々の生活に欠かせない暮らしの道具「漆器」【前編】
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