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アート×風土を体感する5つのエリア
仁科三湖エリア/ダムエリア/源流エリア
|《北アルプス 国際芸術祭2024》攻略ガイド

2024.9.30
アート×風土を体感する5つのエリア<br>仁科三湖エリア/ダムエリア/源流エリア<br><small>|《北アルプス  国際芸術祭2024》攻略ガイド</small>

北アルプス国際芸術祭のコンセプトは、「水・木・土・空」。舞台となっている5つのエリアをすべてめぐれば、アートとともに大町の豊かな自然と風土を体感できる。
 
今回は仁科三湖エリア、ダムエリア、源流エリアの見どころを紹介。

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蠣崎 誓
『種の民話―たねのみんわ―』
種や実などの素材で土に還り再生する作品を制作。今回は地元の小さな植物素材をひと粒ずつでんぷんのりで貼り、大町の食文化や民話を描く

透明な水をたたえる湖と静かな森の風景も見どころの「仁科三湖エリア」。趣異なる三湖それぞれで作品が鑑賞でき、「ふるさと創造館ラーバン中綱」には郷土料理が味わえる公式カフェ&レストラン「YAMANBA」も登場。カフェスペースを彩るのは蠣崎誓氏の『種の民話−たねのみんわ−』。制作中の蠣崎氏は「草木染めした種やもみ殻など大町の植物素材約240種を使って大町の食をテーマに描きます」と教えてくれた。展示後は土に返し、種は配布されるという。中綱湖南の山中で制作中だったのは地元林業者の団体、北アルプス林研グループの『森づくりアート』。「持続可能な森のためには植林樹を適切に整備して多様な樹種を育てる必要がある。林業の実情を知る機会になれば」とメンバーの小林雅文氏。

北アルプス林研グループ
『森づくりアート』
自生の広葉樹を含む多様な植生の森を目指す地元林業者の団体。27本の杉を伐採・製材して森に戻す作品を通して、森の資源の大きさを体感できる
※制作途中の作品です

紅葉の名所である高瀬渓谷にも近い「ダムエリア」では、ダイナミックな作品が。「大町エネルギー博物館」の外壁に描かれた淺井裕介氏『土の泉』は、館内の土や下絵も併せて鑑賞したい。

淺井裕介
『土の泉』
「大町エネルギー博物館」の外壁いっぱいに生命力あふれる生き物や植物が描かれた巨大壁画。大町の13種の土で描かれており、その色の多彩さもこの地の自然の豊かさを象徴する

「源流エリア」では清らかな雪解け水や深い森の風景と調和する作品のほか、松本秋則氏が「旧酒の博物館」で展開するサウンドインスタレーションはたまらないいとおしさだ。

平田五郎
『水面の風景』
大自然を歩き彫刻をつくるアーティストの作品が2021年に「宮の森自然園」に移設。巨大な蓮の花の彫刻からあふれる湧水が周囲に水鏡をつくり、また循環していく
松本秋則
『アキノリウム in OMACHI』
清酒の展示施設だった「旧酒の博物館」を舞台に影絵や音のインスタレーションで大町の自然を表現。自動で動き音を奏でる竹のオブジェは妖精のよう

また「食」もこの芸術祭の楽しみ。米や淡水魚、伝統の保存食など手づくりの郷土料理尽くしの「YAMANBA」の松花堂弁当はぜひ予約して味わいたい。食文化も自然と密接に結び付いたものであり、この地でしか体験できないものだから。アーティストたちが心震わせた大町の自然や風土を追体験し、作品に共鳴する。それは訪れた人だけが味わえる、この芸術祭の醍醐味だ。

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大町の食・自然・文化を
より楽しむスポットへ

 
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《北アルプス 国際芸術祭2024》攻略ガイド
1|長野・大町の風土をアートを通して味わう旅へ
2|市街地エリア/東山エリア
3|仁科三湖エリア/ダムエリア/源流エリア
4|大町の食・自然・文化をより楽しむスポットへ
5|北川フラムが思う大町の独自性とは?

text: Miyo Yoshinaga photo: Tomoaki Okuyama
Discover Japan 2024年10月号「自然とアートの旅」

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