アート×風土を体感する5つのエリア
仁科三湖エリア/ダムエリア/源流エリア
|《北アルプス 国際芸術祭2024》攻略ガイド
北アルプス国際芸術祭のコンセプトは、「水・木・土・空」。舞台となっている5つのエリアをすべてめぐれば、アートとともに大町の豊かな自然と風土を体感できる。
今回は仁科三湖エリア、ダムエリア、源流エリアの見どころを紹介。
透明な水をたたえる湖と静かな森の風景も見どころの「仁科三湖エリア」。趣異なる三湖それぞれで作品が鑑賞でき、「ふるさと創造館ラーバン中綱」には郷土料理が味わえる公式カフェ&レストラン「YAMANBA」も登場。カフェスペースを彩るのは蠣崎誓氏の『種の民話−たねのみんわ−』。制作中の蠣崎氏は「草木染めした種やもみ殻など大町の植物素材約240種を使って大町の食をテーマに描きます」と教えてくれた。展示後は土に返し、種は配布されるという。中綱湖南の山中で制作中だったのは地元林業者の団体、北アルプス林研グループの『森づくりアート』。「持続可能な森のためには植林樹を適切に整備して多様な樹種を育てる必要がある。林業の実情を知る機会になれば」とメンバーの小林雅文氏。
紅葉の名所である高瀬渓谷にも近い「ダムエリア」では、ダイナミックな作品が。「大町エネルギー博物館」の外壁に描かれた淺井裕介氏『土の泉』は、館内の土や下絵も併せて鑑賞したい。
「源流エリア」では清らかな雪解け水や深い森の風景と調和する作品のほか、松本秋則氏が「旧酒の博物館」で展開するサウンドインスタレーションはたまらないいとおしさだ。
また「食」もこの芸術祭の楽しみ。米や淡水魚、伝統の保存食など手づくりの郷土料理尽くしの「YAMANBA」の松花堂弁当はぜひ予約して味わいたい。食文化も自然と密接に結び付いたものであり、この地でしか体験できないものだから。アーティストたちが心震わせた大町の自然や風土を追体験し、作品に共鳴する。それは訪れた人だけが味わえる、この芸術祭の醍醐味だ。
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text: Miyo Yoshinaga photo: Tomoaki Okuyama
Discover Japan 2024年10月号「自然とアートの旅」