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長野・大町の風土を
アートを通して味わう旅へ
|《北アルプス 国際芸術祭2024》攻略ガイド

2024.9.30
長野・大町の風土を<br>アートを通して味わう旅へ<br><small>|《北アルプス  国際芸術祭2024》攻略ガイド</small>

圧倒的スケールの山々と清冽(せいれつ)な水、雄大な大地と澄んだ空。長野・大町の自然や風土をテーマに国内外の気鋭アーティストが作品を展開する「北アルプス国際芸術祭2024」が11月4日(月)まで開催。この地でこそ生まれたアートを、すがすがしい秋の空気と思いきり満喫したい。

仁科三湖で最も南側の木崎湖。丘の上には大正から続く市民大学「信濃木崎夏期大学」があり、中では折り紙作家・布施知子氏の『折り紙による「紙の庭園」』を展示予定

長野・大町でまず目を奪われるのは北アルプスの山々だ。山はこの地の暮らしとともにあり、春は山肌に浮かぶ残雪模様“雪形”が田植え時期を知らせ、秋は頂の雪と中腹の紅葉、ふもとの緑の階調が目を慰める。山の伏流水は街を潤し、仁科三湖では北欧の童話のような森と湖の風景をつくり出す。
 
この豊かな自然の中で、「北アルプス国際芸術祭2024」が9月13日より開かれている。発端は2014年。市民団体が働きかけ、新潟の「大地の芸術祭」などを手掛ける北川フラム氏監修の下プレイベントを実施。’17年に北川氏のディレクションで初開催し、’21年に第2回を開催。過疎と高齢化が進むこの街を盛り上げてきた。

ヨウ・ウェンフー
『竹の波』
自然素材を生かした作品で知られる台湾のアーティストが、大町の竹を骨組みに台湾の竹をしならせて、公民館をぐるりと包囲。陽光を受けて輝く作品と農村風景の対比もユニーク

3回目の今回は11の国と地域から36組のアーティストが参加。地域との協働も芸術祭ならではだ。台湾のヨウ・ウェンフー氏の『竹の波』もそのひとつ。松本藩に献上するほど上質な竹が育つ大町の八坂地区。公民館を竹で包む作品は前回のプランだった。しかしコロナ禍で彼は来日できず、リモートで別作品を制作。そして’24年、ウェンフー氏は来日。地域住民と竹を切り、堅牢な八坂の竹の骨組みに、柔らかな台湾の竹を波打たせて、山村に黄金の宮殿を出現してみせた。

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アート×風土を体感する5つのエリア
市街地エリア/東山エリア

 
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《北アルプス 国際芸術祭2024》攻略ガイド
1|長野・大町の風土をアートを通して味わう旅へ
2|市街地エリア/東山エリア
3|仁科三湖エリア/ダムエリア/源流エリア
4|大町の食・自然・文化をより楽しむスポットへ
5|北川フラムが思う大町の独自性とは?

text: Miyo Yoshinaga photo: Tomoaki Okuyama
Discover Japan 2024年10月号「自然とアートの旅」

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