チョコレート、ラム、サトウキビ、カクテル……
黒糖を進化させる仕掛け人たちの挑戦
|沖縄名産・黒糖を世界の「KOKUTO」に!①
約400年もの歴史がある沖縄の黒糖づくり。その価値を再構築してものづくりをする、仕掛け人たちの熱い取り組みで、黒糖はいま「KOKUTO」として世界に大きく羽ばたこうとしている。
今回は、沖縄の黒糖製造の歴史と現状、そして次世代につながるアクションを起こした仲里彬さん、宮崎雄志さん、林正幸さんを紹介する。
“ざわわ”のメロディで知られる沖縄の象徴的風景・サトウキビ畑。沖縄の基幹作物 (沖縄の農業の約6割を占める)であるサトウキビからつくられる黒糖は、 おやつや調味料など、沖縄の家庭に欠かせない存在だった。
春と夏に植え付けるサトウキビは、台風を乗り越えて空高く成長し、冬に収穫を迎える。古くから亜熱帯の気候を生かしたサトウキビ栽培は行われていたが、琉球王国の士族であった儀間真常が、1623年に中国から黒糖の製造方法を導入し、サトウキビ産業を大きく発展させた歴史がある。
現在、黒糖を製造・出荷している製糖工場は、伊平屋島、伊江島、粟国島、多良間島、小浜島、西表島、波照間島、与那国島の8つの離島。サトウキビの汁をそのまま煮詰めてつくる黒糖は、島の土壌や品種、栽培方法の違いによって、風味や色、味わい、食感が異なる。何よりも鮮度が重要で、島の個性が凝縮された美味しさとなる。かつては沖縄本島でも広く黒糖はつくられていたが、現在、稼働する製糖工場は1カ所で、サトウキビは主に上白糖などの原料に。一部の黒糖製造所が黒糖づくりを続けている。近年は、コロナの影響もあり黒糖の需要が激減。各離島地域は大きな在庫を抱えることとなった。
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《TIMELESS CHOCOLATE》
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(写真右から順に)
仲里 彬さん
「瑞穂酒造」取締役製造部長兼商品開発室長。サトウキビや黒糖を使ったラムを通して、沖縄文化を継承する「ONERUM」プロジェクトのリーダーを務める
宮崎雄志さん
アーティスト、サトウキビ農家。サトウキビや黒糖があるシーンを自身のライフスタイルのひとつとして発信、畑をコミュニティとした遊びや楽しさを拡散中
林 正幸さん
沖縄初のBean to Bar「TIMELESS CHOCOLATE」代表。サトウキビや黒糖の可能性にいち早く着眼し、沖縄県産の黒糖を使ったチョコレートづくりを行っている
01|黒糖を進化させる仕掛け人たちの挑戦
02|沖縄初のBean to Bar専門店《TIMELESS CHOCOLATE》
03|沖縄の老舗泡盛蔵《瑞穂酒造》が醸す島の個性を生かしたラム
04|《サトウキビ農家・宮崎雄志さん》のアート感覚で遊ぶサトウキビ栽培
05|黒糖を進化させる仕掛け人たちが語り合うサトウキビと黒糖に見る、沖縄の未来
text: Kiyomi Gon photo: Wataru Oshiro
取材協力=沖縄県黒砂糖協同組合、まるみつこうさく
Discover Japan 2024年7月号「沖縄」