《星のや沖縄》
イラストレーター・柿崎こうこさんが行く
美しき「琉球紅型」の世界に浸る極上のリゾート・ステイ【前編】
海と空、緑豊かな庭に抱かれた珠玉のラグジュアリーリゾート「星のや沖縄」。色鮮やかな伝統工芸「琉球紅型」の魅力に触れながら、至福の休日を。
柿崎こうこさん
1970年、青森県生まれ。セツ・モードセミナー卒業後、1996年よりフリーランスのイラストレーターとして、雑誌や書籍、広告への寄稿、個展開催など幅広く活動。著書に『50歳からの私らしい暮らし方』(エクスナレッジ)
那覇空港から西海岸沿いに車を走らせること1時間余り。読谷村に広がるサトウキビ畑の間を縫うように進むと、「星のや沖縄」に到着する。
「沖縄本島をゆっくり訪れるのははじめてです」と話す、イラストレーターの柿崎こうこさん。チェックイン後にまず足を運んだプールで、思わず歓声を上げた。遮るものが何もないインフィニティプールは、空と海とひとつになるような不思議な感覚に包まれる。泳ぎを楽しむのもいいが、まずはプールサイドで旅の疲れを癒したい。デッキチェアやソファ、東屋など、さまざまなスペースで寛ぐことができる。まさに、このプール全体が大きなリビングといった趣だ。
「自分の出身が北国・青森ということもあって、沖縄の風景の色鮮やかさに圧倒されてしまいますね」。豊かな植栽に彩られたプール、その向こうに広がる紺碧の海を眺めながら、柿崎さんはつぶやいた。客室もすべてオーシャンフロントで、窓を開ければ優しい波音が感じられる。
楽園と呼びたくなるこのリゾートでは、“何もしない贅沢”という過ごし方がよく似合うかもしれない。とはいえ、土地ごとのプログラムが豊富に用意されているのも「星のや」の魅力。今回は、柿崎さんが特に関心の深いふたつのテーマをピックアップ。体験を通して島の歴史と文化に親しむことで、旅がいっそう味わい深いものになるだろう。
ゆったりと心身を休める時間と、特別なアクティビティに夢中になる時間。心地いい緩急に富んだ、非日常のステイがいま幕を開ける。
「琉球紅型滞在」スケジュール
1日目
15:00 チェックイン
16:00 プライベート工房で「紅型インビテーション」
16:30 「紅型庭めぐり」参加
2日目
10:00 琉球舞踊を鑑賞
12:00 琉球宮廷料理「セーファン」をアレンジした特別ランチ
13:00 紅型制作
15:00 お茶とお菓子で小休憩
16:00 紅型制作
3日目
10:00 紅型制作
12:00 チェックアウト
本格的な「琉球紅型」制作に挑戦!
沖縄の伝統工芸の中で、唯一の「染物」である紅型。鮮烈な色遣いや独特の図柄が特徴で、琉球王朝時代には王族などの衣装や交易品としても重宝されたという。今回は紅型の世界に触れるプラン「琉球紅型滞在」を体験してもらった。
「普段イラストを描くときは、中間色を使うことが多くて。紅型のように力強い色をたくさん組み合わせるのは、ちょっと勇気が要りますね」と柿崎さん。まずは作品を見ながら、紅型の歴史や絵柄の意味などについてレクチャーを受ける。そして制作へ。今回の講師は琉球びんがた事業協同組合の宮城守男さん。第一線で活躍するプロフェッショナルから直接手ほどきを受けられる、またとない機会だ。
黄色や薄ピンクといった淡い色からスタートし、徐々に濃い色を挿していく。色が交わる部分は特に難しい。「“ちゅらく、ちばやく(美しく、手早く)”と、師匠によく言われたものです。だけど、きれい過ぎてもデジタルのようで情緒がない。多少のはみ出しも味わいのうちです」と宮城さんはほほ笑む。「朱色を少し入れると、全体が一気に華やぎますね。最初は緊張したけど、すっかり没頭していました」と声を弾ませる柿崎さん。沖縄の風土を映し込んだ鮮やかな一幅は、目にするたびに旅の記憶を呼び起こしてくれそうだ。
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「紅型庭めぐり」で沖縄の自然を知る
紅型に関連する植物に親しみながら庭をめぐるミニツアー。
「琉球舞踊」を鑑賞、舞台衣装から紅型を知る
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text: Aya Honjo photo: Maiko Fukui illustration: Koko Kakizaki
Discover Japan 2023年7月号「感性を刺激するホテル/ローカルが愛する沖縄」