世界遺産登録20周年!
令和の熊野古道の歩き方【後編】
〜熊野詣でめぐる5つの寺社〜
日本の自然崇拝のルーツであり、平安時代より“よみがえりの地”として信仰を集めてきた熊野三山。その参詣道である熊野古道には新時代を豊かに生きるヒントがちりばめられていた――。 今回は、熊野詣でめぐる「熊野本宮大社」「熊野速玉大社」「神倉神社」「熊野那智大社」「那智山青岸渡寺」の5つの寺社を紹介します。
01|熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)
約3時間のトレッキングを終え、熊野本宮大社の神門をくぐる。檜皮葺きの荘厳な社殿を参拝し、往時の旅人に想いを馳せていると、神職の岡﨑崇さんが教えてくれた。「熊野詣がはじまった平安時代、多くの霊山は女人禁制でしたが、熊野の神さまは男女を問わず、貴賎も関係なく、すべての人を受け入れられていました」。熊野では現代社会に通じる多様性が1000年以上も前から息づいているのだ。
02|熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)
03|神倉神社(かみくらじんじゃ)
本宮から「川の参詣道」として世界遺産に登録されている熊野川沿いに新宮市へ向かう。その河口付近に鎮座する熊野速玉大社の壮麗な朱塗りの社殿、御神木のナギの大樹、そして神倉神社で熊野の神々が降臨したと伝わる御神体のゴトビキ岩を目の当たりにすると、人知を超えた自然の力に圧倒される。
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04|熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)
中辺路からめぐる熊野詣の最終目的地が、那智山に鎮座する熊野那智大社だ。鮮やかな朱塗りの社殿と原生林の社叢が美しいコントラストをなす古社の御神体は、日本三名瀑のひとつ、那智大滝。133mの高さから、生命の根源たる水が轟音とともに絶え間なく放たれる光景を眺めていると、大いなる自然に神を重ね、内なるエネルギーがみなぎってくる。
05|那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)
そして同社に隣接しているのは、1300年の歴史を誇る天台宗の寺院・那智山青岸渡寺。明治の神仏分離まで熊野那智大社と一体をなし、神仏習合の一大修験道場だったことから、この地は熊野信仰の神髄とされていた。住職・髙木亮英さんはこう話す。
「ここには大自然の神さまと仏さまが一体となっている日本の信仰の原型があります。そこに身を置くことで心に響く安らぎや癒しを享受しながら、新しい気づきが得られる。つまり時代を超越した『人が旅に出る原点』が、この熊野にはあるのです」
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熊野速玉大社
住所|和歌山県新宮市新宮1
Tel|0735-22-2533
受付時間|日の出~日没(授与所8:00~17:00)
料金|神宝館/ 500円(高校生以下無料)
https://kumanohayatama.jp
熊野本宮大社
住所|和歌山県田辺市本宮町本宮1110
Tel|0735-42-0009
受付時間|7:00~17:00(授与所8:00〜17:00)
料金|宝物殿/大人300円、子ども100円
www.hongutaisha.jp
神倉神社
住所|和歌山県新宮市神倉1-13-8
Tel|0735-22-2533(熊野速玉大社)
受付時間|境内自由
料金|無料
那智山青岸渡寺
住所|和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山8
Tel|0735-55-0001
受付時間|7:00~16:30(三重塔8:30~16:00)
料金|三重塔/大人300円、子ども200円
http://seigantoji.or.jp
熊野那智大社
住所|和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
Tel|0735-55-0321
受付時間|8:00~16:00
料金|那智御滝拝所・宝物殿/大人300円、中小生200円
https://kumanonachitaisha.or.jp
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4|女性たちの高野山。【前編】
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text: Ryosuke Fujitani photo: Kenji Okazaki
Discover Japan 2024年8月号「知的冒険のススメ」