TRADITION

世界遺産登録20周年!
令和の熊野古道の歩き方【後編】
〜熊野詣でめぐる5つの寺社〜

2024.7.23 PR
世界遺産登録20周年!<br>令和の熊野古道の歩き方【後編】<br><small>〜熊野詣でめぐる5つの寺社〜</small>

日本の自然崇拝のルーツであり、平安時代より“よみがえりの地”として信仰を集めてきた熊野三山。その参詣道である熊野古道には新時代を豊かに生きるヒントがちりばめられていた――。 今回は、熊野詣でめぐる「熊野本宮大社」「熊野速玉大社」「神倉神社」「熊野那智大社」「那智山青岸渡寺」の5つの寺社を紹介します。

≪前の記事を読む

熊野本宮大社旧社地「大斎原」の大鳥居
かつて境内があった大斎原には、高さ34mの日本一の大鳥居がそびえ立つ(写真)

01|熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)

熊野本宮大社
熊野本宮大社の現在の社殿は、明治の熊野川の大洪水による流出を免れて移築遷座した4社

約3時間のトレッキングを終え、熊野本宮大社の神門をくぐる。檜皮葺きの荘厳な社殿を参拝し、往時の旅人に想いを馳せていると、神職の岡﨑崇さんが教えてくれた。「熊野詣がはじまった平安時代、多くの霊山は女人禁制でしたが、熊野の神さまは男女を問わず、貴賎も関係なく、すべての人を受け入れられていました」。熊野では現代社会に通じる多様性が1000年以上も前から息づいているのだ。

02|熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)
03|神倉神社(かみくらじんじゃ)

熊野速玉大社
約1900年前、熊野の神々が降臨した神倉山から神々を迎えて創始された。神倉山の本宮に対してこの地が「新宮」と呼ばれるように。境内には樹齢1000年を超えるナギの大樹が壮大な樹幹を広げている。

本宮から「川の参詣道」として世界遺産に登録されている熊野川沿いに新宮市へ向かう。その河口付近に鎮座する熊野速玉大社の壮麗な朱塗りの社殿、御神木のナギの大樹、そして神倉神社で熊野の神々が降臨したと伝わる御神体のゴトビキ岩を目の当たりにすると、人知を超えた自然の力に圧倒される。

神倉神社
熊野速玉大社の飛地境内の摂社。538の急峻な石段を上った先に鎮座する巨岩・ゴトビキ岩は、熊野の神々が降臨したとされる御神体。その圧倒的な存在感と新宮市街を一望する絶景は一見の価値あり。

line

04|熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)

熊野那智大社
那智大滝を御神体とした自然信仰を象徴する。本殿前の内庭には、神武天皇を大和に案内した八咫烏が現在も休んでいると伝わる「烏石」が残る。拝殿横にそびえ立つ樹齢850年の大樟では、無病息災を願う「胎内くぐり」ができる。

中辺路からめぐる熊野詣の最終目的地が、那智山に鎮座する熊野那智大社だ。鮮やかな朱塗りの社殿と原生林の社叢が美しいコントラストをなす古社の御神体は、日本三名瀑のひとつ、那智大滝。133mの高さから、生命の根源たる水が轟音とともに絶え間なく放たれる光景を眺めていると、大いなる自然に神を重ね、内なるエネルギーがみなぎってくる。

毎年7月14日に、神々の里帰りを表した日本三大火祭りのひとつである例大祭「那智の扇祭り」が開催される。重さ50㎏以上もある大たいまつの炎が境内を乱舞する姿は必見! 開催日:2024年7月14日(日)

05|那智山青岸渡寺(なちさんせいがんとじ)

那智山青岸渡寺
天台宗の寺院。1000日の滝篭りをした花山法皇が西国三十三所観音霊場を巡礼した際、最初に訪れたことから一番礼所として知られている。現在の本堂は1590年に豊臣秀吉が再建したもので、国の重要文化財に指定されている

そして同社に隣接しているのは、1300年の歴史を誇る天台宗の寺院・那智山青岸渡寺。明治の神仏分離まで熊野那智大社と一体をなし、神仏習合の一大修験道場だったことから、この地は熊野信仰の神髄とされていた。住職・髙木亮英さんはこう話す。

「ここには大自然の神さまと仏さまが一体となっている日本の信仰の原型があります。そこに身を置くことで心に響く安らぎや癒しを享受しながら、新しい気づきが得られる。つまり時代を超越した『人が旅に出る原点』が、この熊野にはあるのです」

熊野古道の中でも、往時の面影を色濃く残しているのが大門坂。苔むす石段と樹齢800年を超す老杉に囲まれた古道は、いまも多くの参詣者を聖地・那智山へと導いている

line

 

口熊野の名湯と進化する食文化を満喫
 
≫次の記事を読む

 

熊野速玉大社
住所|和歌山県新宮市新宮1
Tel|0735-22-2533
受付時間|日の出~日没(授与所8:00~17:00)
料金|神宝館/ 500円(高校生以下無料)
https://kumanohayatama.jp

熊野本宮大社
住所|和歌山県田辺市本宮町本宮1110
Tel|0735-42-0009
受付時間|7:00~17:00(授与所8:00〜17:00)
料金|宝物殿/大人300円、子ども100円
www.hongutaisha.jp

神倉神社
住所|和歌山県新宮市神倉1-13-8
Tel|0735-22-2533(熊野速玉大社)
受付時間|境内自由
料金|無料

那智山青岸渡寺
住所|和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山8
Tel|0735-55-0001
受付時間|7:00~16:30(三重塔8:30~16:00)
料金|三重塔/大人300円、子ども200円
http://seigantoji.or.jp

熊野那智大社
住所|和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山1
Tel|0735-55-0321
受付時間|8:00~16:00
料金|那智御滝拝所・宝物殿/大人300円、中小生200円
https://kumanonachitaisha.or.jp

世界遺産登録20周年!《紀伊山地の霊場と参詣道》を再発見。
1|令和の熊野古道の歩き方【前編】
2|令和の熊野古道の歩き方【後編】
3|口熊野の名湯と進化する食文化を満喫
4|女性たちの高野山。【前編】
5|女性たちの高野山。【後編】

text: Ryosuke Fujitani photo: Kenji Okazaki
Discover Japan 2024年8月号「知的冒険のススメ」

和歌山のオススメ記事

関連するテーマの人気記事