TRADITION

女性たちの高野山。【前編】
女性をキーワードにめぐる新しい聖地ツーリズム

2024.7.23
女性たちの高野山。【前編】<br><small>女性をキーワードにめぐる新しい聖地ツーリズム</small>

世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成要素のひとつ、真言密教の一大道場・高野山。随筆家・白洲正子が愛した美しき里山に鎮座する丹生都比売神社を起点に、「女性」という切り口でこの地をめぐる新しい“聖地ツーリズム”へ――。

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まずは、高野山を遙拝。

丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)
約1700年前の創建とされ、丹(水銀朱)をつかさどる丹生都比売大神を祀る。室町期造営の本殿四殿(写真)は、一間社春日造としては日本最大規模を誇る

約1200年前、弘法大師空海によって開かれた真言密教の一大霊場・高野山。世界中から参拝者が訪れる聖地が、明治初期まで女人禁制だったことは知られているが、高野山の成り立ちに女神が深く関わっていることはご存じだろうか?

丹生都比売神社(にうつひめじんじゃ)
北条政子奉納の琵琶を所蔵し、太鼓橋(写真)は淀殿の寄進と伝わる

かつて高野山は、天野の地に鎮座する丹生都比売神社の神領だった。真言密教の根本道場を求めていた弘法大師空海は、主祭神である女神・丹生都比売大神から高野山を借り受け、816年に開山。つまり神仏習合の源泉であり、日本の仏教界最大の聖地は、女性の存在なくしては生まれなかったのだ。

「それだけでなく、当社は神功皇后をはじめ北条政子、淀殿ら歴史に名を刻む女性たちから崇敬され“女性の守り神”と称されています」と神職・藤野唯史さん。丹生都比売神社がある天野は、近代になって随筆家・白洲正子が「天の一廓に開けた夢の園」と称した美しい里山。

丹生官省符神社(にうかんしょうぶじんじゃ)
816年に弘法大師空海によって創建されたと伝わる。主祭神は丹生都比売大神とその御子・高野御子大神

高野山を訪れる際は、当時の習わしに沿ってまずこの地に立ち寄って参拝し、弘法大師空海の母公が晩年を過ごした女人高野・慈尊院を訪れ、丹生官省符神社で高野山を遙拝する――。往時の女性がたどった信仰の道を追体験すると、より深く高野山を知ることができる。

丹生官省符神社(にうかんしょうぶじんじゃ)
弘法大師空海の前に高野御子大神が犬を従えた猟師となって現れ、高野山へ導いたと伝わる。境内から高野山を遥拝することができる
慈尊院(じそんいん)
高野山開山の際に庶務をつかさどる政所として創建。高野山が女人禁制だった時代に、弘法大師空海の母公が終生を過ごしたと伝わる。現在は、子授かりや安産祈願のご利益がある寺院として国内外から多くの女性が参拝に訪れる

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女性たちの高野山【後編】
女性をキーワードにめぐる
新しい聖地ツーリズム

 
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丹生都比売神社
住所|和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野230
Tel|0736-26-0102
受付時間|授与所8:45~16:30
料金|無料
https://niutsuhime.or.jp

丹生官省符神社
住所|和歌山県伊都郡九度山町慈尊院835
Tel|0736-54-2754
受付時間|9:00~17:00
料金|無料
https://niujinja.sakura.ne.jp

慈尊院
住所|和歌山県伊都郡九度山町慈尊院832
Tel|0736-54-2214
受付時間:8:00~17:00
料金|無料
https://jison-in.org

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text: Ryosuke Fujitani photo: Kenji Okazaki
Discover Japan 2024年8月号「知的冒険のススメ」

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