女性たちの高野山。【後編】
女性をキーワードにめぐる新しい聖地ツーリズム
世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成要素のひとつ、真言密教の一大道場・高野山。随筆家・白洲正子が愛した美しき里山に鎮座する丹生都比売神社を起点に、「女性」という切り口でこの地をめぐる新しい“聖地ツーリズム”へ――。
万人に開かれた祈りの聖地へ。
八葉の峰と呼ばれる1000m級の山々に囲まれた山上の盆地に広がる高野山は、参詣道として「高野七口」と呼ばれる街道が通じていた。その各入り口には、かつて女性のための籠り堂が建てられ、入山がかなわなかった女人信者は尾根を渡り歩いたといわれている。
往時に思いを馳せながら摩尼山、楊柳山、転軸山の高野三山をめぐる約10㎞の女人道を歩いていると、杉や檜、高野槙といった「高野六木」の針葉樹が織りなす幽玄な世界や、山上から見下ろす根本大塔など、高野山の新たな表情を垣間見ることができる。
トレッキングを楽しんだ後、山内に降り、御廟で入定された弘法大師空海がいまも瞑想を続けているとされる奥之院、高野山真言宗の総本山・金剛峯寺、壇上伽藍をめぐる。根本大塔内部の立体曼荼羅を拝観していると、金剛峯寺の僧侶・神野泰成さんが話す。
「立体曼荼羅が表しているのは、宗派、性別、人種などの分け隔てなく、すべてを受け入れ融け合っている密教の世界観。現在も受け継がれているその教えを、理屈ではなく、ここに身を置いて感じていただきたいです」
王道の参拝から女性目線の巡礼まで、多様な発見がちりばめられた聖地は、何度も訪れたくなる魅力に満ちている。
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2024年は、聖地リゾート・和歌山へ!
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www.wakayama-kanko.or.jp/features/20th-koyasan-kumano
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キャンペーン情報などに関する問い合わせはこちら
問|和歌山県観光振興課
Tel|073-441-2775
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text: Ryosuke Fujitani photo: Kenji Okazaki
Discover Japan 2024年8月号「知的冒険のススメ」