ザ・キャピトルホテル 東急
《ペストリーブティック ORIGAMI》
キャピトルドーナツ
|一流ホテルの美味しい名作⑥
一流ホテルには一流のおいしさがある。先人がつくり上げて大切に受け継いできた日本のホテルが贈る美味しいものがたりをじっくりと愉しみ、そして味わってほしい。
今回はザ・キャピトルホテル 東急「ペストリーブティック ORIGAMI」のキャピトルドーナツを紹介。創業当初から多くのファンを魅了し続けるロングセラーだ。
普段使いから手土産まで
レモンがほのかに香る優しい甘さの定番おやつ
海外のVIPやアーティストをもてなしてきた日本初の外資系ホテル、東京ヒルトンホテル。その歴史を受け継いだ名門ホテルが「ザ・キャピトルホテル 東急」だ。2010年には、建築家・隈研吾氏がデザインを手掛けたジャパニーズモダンなホテルへと生まれ変わった。進化を遂げたキャピトルホテルが誇るロングセラーは、創業当初に生まれた「キャピトルドーナツ」だ。
日本初の外資系ホテルとして多くの海外ゲストが宿泊する中、朝食を手軽に済ませたいとの要望がきっかけでドーナツが誕生する。当時のコーヒーハウス「オリガミ」では、毎朝揚げたてのドーナツを朝食に提供していたそう。その美味しさが評判を呼び、テイクアウト商品へとつながったとか。
そんなキャピトルドーナツは、昔ながらのオールドファッションタイプだ。表面はカリッとしていて、中はしっとり柔らかく、ほどよい噛み応えがある。噛み締めるたびに優しい甘さとほんのりと爽やかな柑橘の香りが広がる。
カリッと&しっとりの食感に仕上げるためには、強力粉と薄力粉のバランスと生地を練り過ぎないことが大切。型で抜く際は、サックリ揚がるように生地の表面をなめらかにし過ぎない。また甘いだけでは単調な風味になるからと、酸味を隠し味に、レモンエッセンスを適量加えている。
180℃から190℃の高温で揚げていくが、フライヤーではなく昔と変わらず大鍋を使っている。ドーナツのタネを鍋に入れてひとつずつ穴を広げて、揚げ加減も目配りする。だから揚げるのは、一度につき8個までだそう。
ドーナツにまぶす砂糖は、10年ほど前に粒が細かいグラニュー糖へと変えた。ドーナツをコーティングしつつ、口当たりもいいと評判は上々だ。伝統の味を守りながら、それを磨いていくことが、ロングセラーの秘訣なのかもしれない。
朝早くから揚げたドーナツは、スタッフが、ひとつずつ袋に詰めて店頭へ。ホテルランチを愉しんだマダムがおやつに、カフェで打ち合わせした会社員が差し入れにと買い求める。1日24個限定のため、早いときは昼過ぎには売り切れるそう。時代に合わせて進化し続けるザ・キャピトルホテル 東急の変わらない愛らしい定番おやつだ。
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シャリアピンパイ
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ペストリーブティック「ORIGAMI」
住所|東京都千代田区永田町2-10-3
(現在はラウンジ「ORIGAMI」にて販売)
Tel|03-3503-0208
営業時間|11:00〜21:00
定休日|なし
価格|302円
サイズ|約φ90㎜×H35㎜
消費期限|2日
01|ホテルニューオータニ「スーパーメロンショートケーキ」
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text: Yukiko Mori photo: Maiko Fukui
Discover Japan 2024年5月号「進化するホテル」