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たたら製鉄、藍染め、河井寬次郎…
島根・安来市 1400年の歴史と手仕事をたどる旅へ

2022.2.17 PR
<small>たたら製鉄、藍染め、河井寬次郎…</small><br> 島根・安来市 1400年の歴史と手仕事をたどる旅へ

島根県東端に位置する自然豊かな安来市。スサノオノミコトが「安来く(やすけく)地」と命名したこの地は、民謡安来節の発祥地としても有名だが、たたら製鉄にルーツを持つ鍛冶製品や藍染め、和紙や線香づくり、錦山焼など、数多くの手仕事が残る。表情豊かな安来の文化をたどる旅へ出掛けよう。

神々が見守る
ものづくりの街

玉鋼

島根県と鳥取県の県境にある安来市。南部は中国山地に連なる豊かな緑に覆われ、そこを源流として中海に注ぐ飯梨川と伯太川の全流域が市域に含まれる。下流域に形成された三角州には広大な耕地が広がり、上流域には豊かな森林と県東部の水瓶としての機能も果たす布部ダム・山佐ダムを有する、美しい自然に囲まれた土地だ。

街のはじまりは、約1400年前。神代の昔、スサノオノミコトがこの地を訪れ、「吾が御心は安平(やす)けくなりぬ」と言ったことから「安来(やすぎ)」と呼ばれるようになったと733年に書かれた『出雲国風土記』にて伝えられている。またこの地で生産される鉄は硬く、いろいろな道具をつくるのに最適だという記述もある。奥出雲地域に広く分布する花崗岩は真砂土と呼ばれ、良質な砂鉄が多く含まれていた。

戦国時代には富田城を居城とする尼子氏が、陰陽11州に勢力を及ぼすまでに台頭し、地域は山陰の文化と経済の中心地として栄えていった。江戸時代になると、松江藩とその支藩が置かれ、山陰道が通る港町・安来は和鉄や蔵米の集散地として発展したのである。

北前船の流通網により安来港は多くの物資や人々が行き交じり、各地の分化をはじめ巨大な富がもたらされた。その結果、パトロンの支えによって多くの芸術家や文化人が排出されることとなった。

鉄穴流し・打鍬で山肌を崩している
操業の様子(靖国たたら)

また安来は「暮しが仕事 仕事が暮し」という名言を残し、民藝運動の推進者として多くの工芸家を牽引した陶工・河井寛次郎の生誕地としても知られている。中国古陶磁の手法に基づいた精巧で雅なものから実用的・独創的なものまで、さまざまな作風で多くの作品残した寛次郎は、国内外で高い評価を受けたが、人間国宝、文化勲章などの推薦を受けるもすべて辞退し、生涯、無位無冠の一陶工を貫き通した人物。市内にはいまも数多くの寛次郎作品が残り、その精神は市民の心の中に生き続けている。

寛次郎の影響により、安来は民芸の地として今でも多くの工芸品がつくり続けられ、“ものづくりのまち”として人々の暮らしの中にとけ込んでいる。

古来から根付くたたら製鉄にはじまり、藍染め、和紙や線香づくり、錦山焼など、安来のものづくりの魂は現在も色濃く残っている。安来の手仕事から土地の歴史に想いを馳せる旅へ出掛けてはいかがだろうか。

金屋子神社
東比田の水田

安来の手仕事を体感できる
スポットを紹介!

安来の手仕事文化はいまも残り続けている。鉄製品をはじめ、藍染めや和紙、線香、うつわなど、いずれも島根県ふるさと伝統工芸品に指定されているものづくりを行うスポットを紹介しよう。

伝統をスタイリッシュに
自分好みの藍染体験ができる
「天野紺屋」

最盛期には西日本の三大絣のひとつとされた広瀬絣。いまも残る「天野紺屋」は1870年創業だ。原料となる藍の葉を発酵させた「蒅」に、1割程度インジゴピュアを加える“割建て”の藍染液を使うのが特徴。染めたいアイテムを持ち込んで自分好みに染める藍染体験はいかが?

手織りの広瀬絣と機械織りの広瀬木綿をつくる

天野紺屋(あまのこうや)
住所|島根県安来市広瀬町広瀬968
Tel|0854-32-3384
営業時間|10:00〜18:00
定休日|不定休
※体験は2名から。10:00〜12:00(要予約)

江戸時代から続く、
たたら製鉄・鍛冶の技
「鍛冶工房 弘光」

透かし燭台

江戸時代のたたら操業からはじまる鍛冶工房。日本刀鍛錬の技法をもちい、木炭などによる鍛造にこだわり、手仕事の温かな風合いの鉄製品を製作。使ってこそ味わいを増す暮らしの道具をデザイン・製作し、オリジナルオーダーも可能。パリのメゾン・エ・オブジェでも高く評価された。

鍛冶工房 弘光
住所|島根県安来市広瀬町布部1168-8
Tel|0854-36-0026
営業時間|9:00〜17:00
定休日|不定休

伝統の手法の手すき和紙
「広瀬和紙製作所」

寛文8年(1668年)、広瀬藩が藩札を発行するため祖父谷に御紙屋を設けてつくり始めたとされる広瀬和紙。広瀬町下山佐で40年以上、原料を最大限生かしてつくる、丹精込めた手すきの和紙工房。楮や三椏の繊維質を生かしたざらりとした手触りや、破れにくさが特徴だ。原料の三椏は、繊維明朗でペン書や書籍印刷に適し、楮は素朴でありながら強靭な性質を持つ。

「衰退している和紙の良さを多くに人に知ってもらいたい」と代表・長島勲さん

広瀬和紙製作所
住所|島根県安来市広瀬町下山佐2652
TEL |0854-32-3863

純粋な杉の香りが漂う
「内田線香」

安来市広瀬町布部地区で4代に渡り、全国でも数少ない手づくり線香をつくり続ける内田線香。現在は母娘3人で製造から販売までを手掛けている。一本一本丁寧につくる線香は、香料を使用せず、国産の杉の葉の粉末を主原料として使用しているため、自然な杉の香りが楽しめる。

内田線香店
住所|島根県安来市広瀬町布部186
TEL |0854-36-0178

鮮やかで深みのある赤色が特徴
「錦山焼」

JR安来駅からほど近い「錦山焼窯元」の工房。1854年に創窯された錦山焼は、辰砂釉が醸し出す鮮やかな赤が特徴だ。多彩かつ繊細に醸し出す色合いが美しく、さらに温もりが感じられる。茶器をはじめとする伝統工芸品から日用食卓品まで、種類豊富な伝統工芸品を身近に使ってみてはいかがだろう。

錦山焼窯元
住所|島根県安来市黒井田町1987
TEL |0854-22-2627
営業時間|9:00~18:00
定休日|不定休

伝統を色濃く残しながらもスタイリッシュさも兼ね備えたものづくりを行う安来市。この地は訪れた者の心を豊かにしてくれるはずだ。

安来へのアクセス

車|山陰自動車道安来IC利用
電車|東京駅から「寝台特急サンライズ出雲」でJR安来駅まで約11時間
飛行機|米子鬼太郎空港から車で約30分。出雲縁結び空港から車で約45分

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