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大分《由布院温泉》
温泉保養地としての新たな挑戦
|由布院温泉に見る
これからの温泉保養地の在り方【序章】

2024.2.27
大分《由布院温泉》<br>温泉保養地としての新たな挑戦<br><small>|由布院温泉に見る<br>これからの温泉保養地の在り方【序章】</small>

由布院温泉がしなやかに動き出している。その名を世に広めた親世代の想いを受け、現世代はそれぞれの力で、互いを尊重しながら先へ。これからの温泉保養地の在り方の可能性が見えてきた。

観光地から、あらためて温泉保養地へ

「由布院 いよとみ」は館内5つの温泉すべてを貸し切りで利用でき、大きな露天風呂も独り占めでゆっくり楽しめる。90℃以上の高温源泉を湯山の湧水で心地よい温度に調整

ストレス社会となった現代。心身が疲れたら、いつでも日常を離れて自分をメインテナンスできる場が求められている。人生のレース中に故障を起こさぬように、ピットインして給油やタイヤ交換して調整する、これこそがこれからの温泉保養地の役割になるだろう。
 
温泉には生きている地球のエネルギーが詰まっている。いい温泉に入ると誰しもが「あー、生き返る」と、つぶやいてしまうが、これは本当だろうか。身体の中の状態を測れる東洋医学の機器で温泉入浴の前後の状態をチェックしたところ、頑張り過ぎてオーバーヒートぎみの部位や、冷えやストレスなどで能力が落ちている部位が、温泉に入ると見事にととのって、心地よく正しく動き出すことがわかった。温泉が心身をレストアしてくれているのだ。温泉の適応症に自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態)がある。温泉は心の保養や睡眠の質向上にもいいのだ。
 
コロナ禍を経て、世界中の人の人生観ががらりと変わった。旅への想いも同様に、好奇心や物欲を満たす観光より、癒しや安らぎを求める自分のための時間を優先する人が増えた。そこで、いまあらためて温泉保養地へと動き出す由布院温泉の近況をお伝えしよう。

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“由布院暮らし”ができる滞在型宿
《STAY玉の湯》

 
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文=石井宏子(いしい ひろこ)
温泉ビューティ研究家・旅行作家。国際中医師。国内外の温泉を年間200日旅して温泉コラムを執筆。杏林大学兼任講師(温泉療養学)。国際中医師の観点で著書『新・温泉ビューティ』(グリーンキャット)を上梓

text: Hiroko Ishii photo: Azusa Shigenobu 取材協力=九州観光機構
Discover Japan 2024年2月号「人生に効く温泉」

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