FOOD

長野県《サノバスミス》
農業の未来を見据えるリンゴ農家が造る
“ハードサイダー”【後編】

2023.7.25
長野県《サノバスミス》<br><small>農業の未来を見据えるリンゴ農家が造る<br>“ハードサイダー”【後編】</small>

飲めばきっと誰もが驚く。リンゴ農家と化学者、デザイナーのチーム「サノバスミス」が、原料のリンゴ栽培から手掛ける“ハードサイダー”とはそんな酒だ。圧倒的な魅力を放つ液体を通して彼らが見据えるのは、農業の未来である。

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リンゴの可能性広がる
クラフツマンシップあふれるハードサイダー5選

(右から)Logic、PLUM HAZE、BARREL LAUNDERING、HOP DIFFUSER、VIVID HOP SIPPER

一本一本、すべてにテーマがある「サノバスミス」のハードサイダー。コンセプトや原材料、製法までサイトで情報公開されているので、読みながら味わう楽しみもある。
 
仕込みは8月下旬〜11月下旬に採れるリンゴを使って3月まで行われる。2〜3カ月の醸造期間を経て、晩秋から次々にリリースされていく。ここでは2023年春に販売中の5品を紹介。リンゴ品種やホップの有無、醸造法による違いを味わってみたい。

Logic
規格外「フジ」の活用という課題へのサノバスミスの解。生食用リンゴは複雑味のある酒には不向きだが、熟成ホップを加えて苦みと渋みを付与。リンゴの果実味と柑橘のような華やかな香りが特徴

参考価格|1023円
スタイル|ホップサイダー
アルコール度数|7.5%
原材料|フジ 50%、生食用リンゴ50%、熟成ホップ(カスケードなど)

PLUM HAZE
リンゴと信州名産のプルーンで醸造。プルーンは発酵すると鉄分由来の生臭さが出るが、澱と熟成させるワインの手法で鉄分を除去。今季は生食用に醸造用リンゴや熟成ホップも使用。豊かな香りにも注目

参考価格|1023円
スタイル|フルーツサイダー
アルコール度数|7.5%
原材料|生食用リンゴ75%、醸造用リンゴ25%、プルーン(Robe De Sargent、くらしま、サンプルーン)、熟成ホップ(カスケードなど)

BARREL LAUNDERING
英国原産の醸造用品種を使い木樽熟成を行ったInternational
Cider Awards 2021シルバーメダル受賞作の最新版は、野生酵母で主発酵。甘みや酸味を追いかける樽の香りや重層的な渋みをゆっくり堪能したい

参考価格|1430円
スタイル|ヘリテイジバレルエイジドサイダー
アルコール度数|7.0%
原材料|イギリス系伝統的醸造用リンゴ8種、熟成ホップ(カスケードなど)など

HOP DIFFUSER
フランスのシードル醸造手法「キーヴィング」を用いた日本初のサイダー。酵母を残してゆっくり発酵させ自然な甘さに。果実の甘みや酸味がほとばしり、ホップや醸造品種の苦みが複雑な余韻を残す

参考価格|935円
スタイル|キーヴドホップサイダー
アルコール度数|6.0%
原材料|浅間クチーナ、紅玉、ドルゴクラブ、シナノリップ、熟成ホップ(カスケードなど)

VIVID HOP SIPPER
オレゴンのサイダリー・Reverend Nat’sの名作への敬意を込めて、ホップをたっぷり使用。生食用リンゴの割合が多いため色は淡く、グレープフルーツのような爽やかな香りで飲み心地軽やか

参考価格|1023円
スタイル|ホップサイダー
アルコール度数|7.0%
原材料|浅間クチーナ、紅玉、シナノスイート、醸造用リンゴ、フレッシュホップカスケードなど

醸造所併設のタップルームでは
今後イベントも開催予定!

小澤さんがDIYでインダストリアルな内装に仕上げたタップルームにはDJブースも。週末を中心に貸し切りなどで営業しているが、今後はオープンイベントも企画されるそう

ここでも味わえる!サノバスミスが飲める主な店
◎ザ ソース ダイナー(長野県松本市)
◎アップモート(長野県上田市)
◎サイダーシャック(東京都渋谷区)
◎サイダーノート(東京都渋谷区)
◎ウォータリングホール(東京都渋谷区)
◎ランドヌール(大阪府大阪市)
◎スウィンギン(京都府京都市)

読了ライン

サノバスミス
住所|長野県大町市平9316
Tel|0261-85-5023
※見学、タップルームは事前予約必須
www.hardcider.jp

 
 

  

text: Miyo Yoshinaga photo: Yuko Chiba
Discover Japan 2023年6月号「愛されるブランドのつくり方。」

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