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空海の教えに思いを馳せて
心が清まる香川・七ヶ所まいりへ〈前編〉

2022.9.27 PR
空海の教えに思いを馳せて<br>心が清まる香川・七ヶ所まいりへ〈前編〉

真言密教を日本に広めた弘法大師空海。来年は御誕生1250年と記念の節目にあたる。その祝賀気分に沸く香川県の善通寺をはじめ四国霊場七ヶ所を、高知県を拠点に活動するテキスタイルデザイナー・松田唯さんと巡礼した。

体験した人
松田 唯(まつだ ゆい)

テキスタイルデザイナー、アーティスト。多摩美術大学卒業。東京藝術大学大学院修了後は、故郷の高知県を制作拠点に活動。テキスタイルブランドYUI MATSUDAを手掛ける。

空海ゆかりの寺院を歩いて
自分を見つめ直す旅

総本山善通寺の五重塔。高さは約43mで、善通寺市内の各所から見える。松田さんが着ているのは、自身で染色した生地を用いたワンピース

旅のはじまりは弘法大師空海の原点から——。古来存在し、現代においてはプチ遍路とも呼ばれている「七ヶ所まいり」。初日に訪れた「善通寺(ぜんつうじ)」の南大門を通り抜け、松田唯さんがまず目にしたのは、東院に建つ五重塔だった。総ケヤキづくりで、国の重要文化財に指定され、その近くには樹齢千数百年の大楠が生い茂っている。

「いままでお寺との接点は法要でうかがうくらいでした。仏教についてあまり深く考えたこともなかったですし、八十八ヶ所めぐりと聞くとハードルが高くて。でも、七ヶ所まいりなら気軽ですね。善通寺は空間が抜けるように広くて、気持ちのいい場所だと感じています。ここで空海さんがお生まれになったんですね」

屏風のように連なる5つの山々を借景に建つ善通寺は、807年に唐から帰国した空海が建てた真言宗最初の寺。6年の歳月をかけ813年に完成し、父の佐伯善通にちなんで名づけた特別な場所である。総面積約4万5000㎡に及ぶ広大な境内は、「伽藍(がらん)」と呼ばれる東院と、「誕生院」と呼ばれる西院に分かれており、白装束をまとったお遍路さんをはじめ、参拝がてら散歩に訪れる地元の人の姿も見られる。清澄な空気が流れるここは、地元の人にとって憩いの場でもあるようだ。

「善通寺の近くに来ても、厳かな雰囲気におののき、立ち寄っていなかったのですが、これからはもう少し気楽な気持ちで境内を散歩したり、ボーッとしたり。制作で悩んでいるときや、気持ちをリセットしたいときに訪れたいですね」

空海生誕の地である善通寺から七ヶ所まいりをスタートさせることで、仏さまとのご縁を感じ、松田さんもより厳かな気持ちになったのだろうか。忙しい日常から解放され、自然体で旅を愉しんでいる様子。参拝後は門前町を散策し、「名物本家カタパン」の暖簾が掛かる「熊岡菓子店」へ。ショーケースに石パン、角パンなどが並び、対面で注文すると、お母さんが計量して紙袋に包んでくれる。そのやりとりが懐かしく、心が弾む。
「ここのお菓子、家族も大好きなので買って帰りたいです。素朴だけどほかにはない味で、ぼうろやえびせんも美味しいんですよ」

香川県を訪れたら外せないのが讃岐うどん。どこを訪れようか迷ってしまうが、今回「オハラうどん」へ。脱サラした店主は無類の相撲好きで、店内随所にそれがうかがえる。そして夜は善通寺にある宿坊「いろは会館」に宿泊。
「宿坊と聞くと修行を連想してしまいますが、部屋は個室、温泉もあるのでゆったり過ごせますね」
ただし宿坊には門限があり、21時になると、言葉通り境内各所の門が閉められる。翌日へ備えるのにちょうどよさそうだ。

七ヶ所まいりとは?
弘法大師空海ゆかりの寺院をつないだ巡礼路・四国八十八箇所霊場。すべてをめぐることが難しい場合に、巡拝する「七ヶ所まいり」があり、江戸時代の『四国八十八番寺社名勝』で紹介されている。各寺では御朱印も購入可能。
七ヶ所まいりの寺院DATAは後編にて。

 


七ヶ所まいりのスポット紹介!
 
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text: Hiroko Yokozawa photo: Maiko Fukui
2022年10月号「旅で、ととのう。」

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