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この冬、長崎を食べに行こう!【後編】
一年中楽しめる長崎フィッシュ・ツーリズム

2022.2.9 PR
この冬、長崎を食べに行こう!【後編】<br><small>一年中楽しめる長崎フィッシュ・ツーリズム</small>
この日さばいてもらったのは、ヒラ、カマス、ヒラスズキ、サワラ。同じ白身でも味わいに個性が光る。朝日の中、甘めの九州醤油でいただく刺身は最高のごちそう

冬の味覚のひとつ・フグの中でも王者と称されるトラフグ。その養殖生産量においてトップを誇る長崎なら、“高級魚”もぐんと身近に感じられる。良質の漁場、豊富な魚種に恵まれた地で美味なるフィッシュ・ツーリズムを体験してきました。

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長崎はお魚天国!

三方を海に囲まれ、入り組んだ地形が多様な魚を育む長崎県。魚種は250種以上と全国1位、総水揚げ量は北海道、茨城県に次ぎ3位に輝く。そう、フグ以外にも魚を味わう楽しみは尽きないのだ。

少し早起きしてぜひ足を運びたいのが、市街地から車で約30分の距離にある戸石漁港。こちらの直売所では、目の前の橘湾で揚がった朝締めの魚介がずらりと並べられる。数尾まとめて200円など、直売ならではの値付けに地元の人がうらやましくなるばかりだが、旅人も諦めることはない。対応できる漁師さんがいれば、丸魚をその場でさばいて刺身にしてくれる。小骨の多い「ヒラ」なら骨切りのため細切りにするなど、魚種ごとの仕立ても見事。海を眺めつつ味わう刺身は、なんとも贅沢だ。

長崎は、古くから鯨食文化が根づいた地でもある。刺身やハリハリ鍋といったクジラ料理で、歴史に彩られた美味を体験するのも楽しい。おでんの練り物や出汁が美味しいのも魚が豊かな土地だからこそ。カジュアルなカフェレストランでも地魚メニューは定番人気。市場直送の魚がふんだんに使われた色鮮やかな手まり寿司は、心弾むランチタイムにふさわしい。

お土産も忘れずに。高級珍味のカラスミや、近海のアゴなどを生かした無添加出汁製品を手に入れれば、自宅の食卓でも長崎の海の恵みを実感できるはずだ。

橘湾の恵みが四季折々に体験できる
フレンドリーな“海の駅”
「戸石フレッシュ朝市」

会長の塚元さんは、料理教室を開くほどの腕前。鮮やかな包丁さばきで、みるみるうちに刺身が完成

市場に出せない規格外を含め、橘湾で捕れた鮮魚・活魚を直売。ちくわやすり身揚げなどの加工品、地元産の野菜や果物も扱う。魚のおろし料金は3枚300円、上身500円。「戸石牡蠣焼き」は11~3月の土・日曜に開催され、年々ファンを増やしている。

袋詰めで魚種は書かれていないものが多いので、スタッフにたずねてみよう。この日は釣りたてで透明で美しいアオリイカも!
親子代々漁師という家も数多い。父母の背中を見て育つうち、自然と船に乗るようになるそう。漁業と港を守る、次世代の心強い担い手だ。家ごとに「内緒の漁場」があるとか
山々に囲まれた橘湾の海水は栄養分に富み、良質の牡蠣の漁場でもある。牡蠣は直売所にて1㎏900円で販売されるほか、土・日曜、祝日に限りその場で焼いて味わうこともできる
直売所が建つのは一年を通してハモやワタリガニ、太刀魚、ヒラメなどさまざまな魚介が水揚げされ、トラフグの養殖でも名高い戸石地区。長崎産の柑橘・ゆうこうの搾りかすを混ぜた餌を出荷前に与える「ゆうこうシマアジ」も話題

戸石フレッシュ朝市
住所|長崎市戸石町2164-24
Tel|095-838-7310
営業時間|7:00〜13:00
定休日|火曜、ほか不定休あり

自家製練り物たっぷりの長崎おでんを満喫
「はくしか 銅座店」

イカ天やゴボウ天などの練り物はすべて自家製で、仕入れたすり身をベースに具材を加えて揚げている。お吸い物のようにすっきりと澄んだ出汁は、鰹・昆布・アゴを合わせて毎日新たにつくる

1952年に浜町で創業し、1963年にこちらの銅座店をオープン。澄んでいながらしみじみと深みのある出汁が人気を博す。約30種を揃えるおでん160円~のほか、刺身や焼き物、酒肴など一品料理も豊富。持ち帰り用のおでんセットは地方発送も可。

クジラ刺三種盛り合わせ2000円(手前)。クジラベーコンや百尋(小腸)、サエズリ(舌)を自家製ポン酢で。ハリハリ鍋2500円(奥)は、クジラの豊かな脂と、水菜やゴボウなどふんだんな野菜が好相性
場所は銅座稲荷通り、品のいい和の佇まい。大きなおでん鍋が眺められるカウンターのほか、ゆったりとしたテーブル席も。女将の温かなもてなしでくつろげる。2階には個室も完備

はくしか 銅座店
住所|長崎県長崎市銅座町12-15
Tel|095-824-5949
営業時間|17:30〜24:00(L.O.23:00)
定休日|日曜、祝日

地元食材が気軽に楽しめる
郊外の隠れ家カフェ
「ごはんCAFE長崎茶寮 川德」

彩り手まり寿司ランチ1870円。マグロやヒラス(ヒラマサ)などの魚介と季節の野菜を、8貫の愛らしい寿司に仕立てて。日替わりの小鉢3種とサラダ、吸い物付き

創作和食「川德」の系列店として2016年にオープン。お造りや天ぷらなどの和食と、ハンバーグやパスタといった洋食、さらにスイーツまで幅広く手掛ける。明るいテーブル席のほか、ボックス席や畳の個室なども備え、週末を中心にウェイティング続出の人気店。

市街地から車で20分ほどの東長崎エリア。邸宅のような落ち着いた店構えでカフェという意外性が楽しい。贅沢なほどゆとりのある空間は郊外店ならでは

ごはんCAFE長崎茶寮 川德
住所|長崎県長崎市田中町280-15
Tel|095-833-0500
営業時間|11:00〜21:30(L.O.21:00)
定休日|不定休

心と身体にじんわりと響く、
「便利な本物」の出汁素材
「中嶋屋本店」

(左)だし酢594円。ポン酢感覚で魚や野菜などにかければ優しい甘みと酸味、出汁の風味でいつもの料理がランクアップ。社長の奥さまの声で商品化されたそう。(中央)ソフトふりかけ(小)496円。昆布、ゴマ、カツオ削り、イリコに付属の調味タレを加えて混ぜるだけで、佃煮風のしっとりとしたふりかけがつくれる。(右)百歳(ももとせ)だし432円。イワシ節や煮干などに、オリジナルの魚醤で味つけした出汁パック。袋を破り、豆腐などのトッピングにもおすすめ

生産量日本一を誇る長崎県産のイワシ煮干し、鹿児島県産の鰹節など良質な出汁の素材を扱う。出汁パックや液体出汁といったオリジナルの加工品も、添加物は一切不使用。「考えるのが好き」という現社長のアイデアが新商品を生む。

「安心・安全で価格も手が出やすい」を基準に、国内外の食材もセレクト。お客の9割は地元の人々だ

中嶋屋本店
住所|長崎県長崎市築町4-2
Tel|095-821-6310
営業時間|9:00〜18:00、日曜、祝日10:00〜17:00
定休日|なし

340年にわたり受け継がれる
伝統のカラスミ作り
「髙野屋」

朝から日没まで、天日干し中は空模様からも目が離せない。大きいものだと干しはじめから完成まで2週間ほど要するという。この艶やかなべっこう色に歴史が詰まっている

創業は1675(延宝3)年。現在は14代目当主が、昔とほぼ変わらぬ製法でカラスミづくりを手掛ける。艶やかな仕上がりが際立つ一腹・片腹をはじめ、自宅用にぴったりなスライスやほぐしタイプも販売。

塩抜きし、血管などを掃除した段階のボラの卵巣(左)は鮮やかな黄色。これに押しをかけて厚みを均等にし、天日干しするとべっこう色に。完成したカラスミ(右)は約半分の重量に
工程はすべて手作業。天日干し中のカラスミは2時間おきに裏返すというから相当な手間だ。「乾燥させ過ぎるのも禁物。包丁が入る程度の硬さで仕上げています」と高野さん
雨など悪天候の日は当然、屋外に干せない。そんな時、補助的に使用するのが乾燥機。機械がなかった時代は雨が続いて駄目になり、肥料にされていたこともあるそう
長崎産のカラスミ10gあたり1080円。豊かな脂のりで、深みのある風味に陶然とさせられる

髙野屋
住所|長崎県長崎市築町1-16
Tel|095-822-6554
営業時間|9:00〜19:00、日曜、祝日9:30〜18:00
定休日|なし

長崎はこの魚介も要チェック!
長崎魚介カレンダー

お家でも楽しめる、長崎の魚のサブスクも
特殊な技術で急速冷凍させた刺身を、定期的に届ける「おさかなサブスク」。定番から珍しいものまで、何が届くかはお楽しみ。月1コース7560円~。

one bite fish
https://subsc2jsa.base.shop

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@travel_nagasaki

 

text: Aya Honjyo photo: Azusa Shigenobu 協力=一般社団法人長崎国際観光コンベンション協会(DMO NAGASAKI)
Discover Japan 2022年2月号「美味しい魚の基本」

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