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幻の魚「ゲンゲ」を求めて
|冬の美食を求めて ぐるりとめぐる富山湾の旅

2022.1.15
幻の魚「ゲンゲ」を求めて<br><small>|冬の美食を求めて ぐるりとめぐる富山湾の旅</small>

春夏秋冬、いつ訪れても新鮮な魚介が楽しめる富山湾。中でも「冬のゲンゲ」は劣化が早いことから滅多に口にできない“幻の魚”。いま人気が高まっている、富山のゲンゲの魅力と現地で食べられる代表的な料理をお伝えする。

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ゼラチン質でふわふわ・ジューシーな揚げ物に

水深200~300m以下の冷たい海にすむ「ゲンゲ」。深海魚らしい顔つきが災いし、甘エビなどを獲る底引き網に引っ掛かってしまう「下の下」として、かつては漁師たちから嫌われていた魚だという。

また多くの水分を含み劣化が早いため、漁村の家庭料理でしか食べられていなかったが、全身を覆うゼラチン質に含まれる豊富なコラーゲンに注目が集まり、滅多に口にできない「幻魚(ゲンゲ)」として人気が高まっている。漁獲後すぐに冷水に入れて保存するなど、美味しい状態を保つ工夫も凝らされ、現在ではさまざまな料理で楽しめる。

かつて漁村の家庭料理では、ゼラチン質を生かした味噌汁や吸物ダネにしていたとのこと。現在は、水分を上手に閉じ込め、油で揚げると、ふわっとした食感になるため、唐揚げや竜田揚げ、天ぷらなどが人気の調理法として広く知られている。

「魚津の食の伝統と魅力を体感してください」
とやまの代表的なゲンゲ料理

〈教えてくれた方〉
日本料理 海風亭
美浪呂哉さん

1908年創業の料理旅館を前身とした「日本料理 海風亭」の料理長・美浪呂哉さんは、1984年生まれの5代目。金沢都ホテルの和食店で修業後に実家に戻り、料理と経営で手腕を発揮するほか「新川食文化研鑽会」を立ち上げ、地元魚津の食文化の向上や発信にも尽力する。

ゲンゲの竜田揚げ

有名なグルメ漫画で紹介されたのをきっかけに人気に火がついたゲンゲの竜田揚げ。いまでは富山県魚津市の名物料理に。唐揚げも地元の多くの料理店で提供されている。

ゲンゲの天ぷら

そのとろける美味しさは、鮮度と調理をする際の手際が重要だ。生きている状態で頭を落として皮をむき、衣で水分やゼラチン質を閉じ込め、高温の油でさっと揚げることだという。

ゲンゲの干物

地元でしか食べられないゲンゲをお土産にできるとして重宝されている品。軽くあぶって食べれば格好の酒肴になるだろう。ぜひ富山の日本酒とともに楽しんでほしい。

 


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富山の魚介はなぜ美味しい?
 
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text:Tomoko Honma(Let It Be) photo:Shinpei Fukazawa illustration:Romi Watanabe
2022年2月号「美味しい魚の基本」

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