FOOD

この冬、長崎を食べに行こう!【前編】
フグも長崎の夜景も堪能

2022.2.9 PR
この冬、長崎を食べに行こう!【前編】<br><small>フグも長崎の夜景も堪能</small>

冬の味覚のひとつ・フグの中でも王者と称されるトラフグ。その養殖生産量においてトップを誇る長崎なら、“高級魚”もぐんと身近に感じられる。良質の漁場、豊富な魚種に恵まれた地で美味なるフィッシュ・ツーリズムを体験してきました。

まずはフグの名店でフグ尽くし

「新富」自慢のフグ刺し。ほんのり飴色の身のほか、身皮、本皮、さらにネギを詰めた腸といった専門店ならではの珍味も。大根おろしにユズコショウ、ネギとたっぷりの薬味がまたうれしい。まろやかな自家製ポン酢とともに

フグの産地と聞いて、思い浮かべるのはどこだろう? 意外と知られていないが、トラフグ養殖生産量の全国1位は長崎。シェアは実に5割以上を誇る。ならば、フグを満喫するにはご当地を訪れるのが正解というわけだ。

真っ先に予約を入れたいのが、創業97年のフグ料理専門店「新富」。扱うのは長崎市・県産のトラフグ、それも1kg超えクラスのみだ。「さばいてから一日寝かせることで、旨みを引き出しています」と主人の堤新一さんは語る。その持ち味を最もストレートに楽しめるのがフグ刺し。厚めに引いた身はプリプリと心地よい歯応えがあり、噛み締めるほどに上品でいて饒舌な旨みが膨らむ。焼き、唐揚げなど調理法ごとに味わいもさまざま。また、食すのが身だけではないのがフグの奥深いところ。白子や皮、ヒレに至るまで無駄にはしない品々に、先人の知恵が詰まっている。コースの最後を飾るのはフグちり。旨みが溶け込んだ出汁を、〆の雑炊で一滴たりとも余さず味わい尽くしたい。フグ自体は年中提供可能だが、鍋がことのほか美味しく感じられる冬場が特に人気。東京などではまず考えられないリーズナブルさも魅力で、予約客のほとんどが県外から、という日も多いそう。記念日に毎年訪れる人もいるとか。肩ひじ張らない温かな雰囲気の中、高級魚フグを丸ごと堪能できる至福。再訪を誓わずにいられない名店なのだ。

フグの醍醐味は、オーソドックスな料理のみに終わらない。たとえば、夜景の名所・稲佐山の中腹に位置するラグジュアリーホテル。こちらの鮨ダイニング「天空」では、寿司を中心とした洒脱な会席料理に定評があり、フグざんまいのコースも展開する。繊細な先付けにはじまり、滋味深い椀物、そしてもちろん創意に富んだ寿司の数々まで。最高の食材と緻密な技巧、優美な盛りつけが融合した品々は、美味しいサプライズに満ちている。ふと皿から顔を上げれば、眼下に広がるきらびやかな長崎港の夜景。心に刻まれるひとときになりそうだ。

市内きっての繁華街・銅座でも、フグは馴染み深い存在。「割烹 こじま」では、フグ刺しなどの定番メニューに加え、ご主人の出身地・島原の郷土料理「がね炊き」もお見逃しなく。骨付きのフグの身にニンニクや梅干しなどを加えて甘辛く煮付けた、力強い味わいがたまらない。フグ料理と合わせて楽しみたいのがヒレ酒だが、こちらではなんと冷酒バージョンも用意。日本酒にヒレを漬け込み、冷蔵庫で1週間寝かせた琥珀色の美酒は、はじめて体験する馥郁たる風味にノックアウトされる。

ひと口にフグ料理といっても、アレンジは驚くほど表情豊か。そのクオリティの高さは、間違いなく産地ならではだろう。

確かな素材と技術で魅せる
長崎でも稀少なフグ料理専門店
「新富」

誰もが歓声をあげる最後のお楽しみ、フグちり。フグの切り身は骨付きでいい出汁が出る。水菜や白菜などの野菜や餅も、フグのエキスを抱き込んで美味

3代目を継ぐ主人が、「長崎のフグの灯を消したくない。お腹いっぱいフグを楽しんでもらえたら」と腕を振るう。全8品のフグ会席コース5500円のほか、フグフルコース11000円も。70〜80年前から大切に使い続けているという、特注の有田焼も必見。

香ばしく揚がった唐揚げも、ファンの多いメニュー。ムチムチッと弾力に富んだ身はフグの醍醐味だ。手づかみで骨の回りまでしっかり味わいたい
自家製の一夜干し。こんがりとグリルした身は、旨みが凝縮しており日本酒が進む味わい。好みでレモンを搾りかければ、風味にいっそう奥行きが生まれる
白子焼は単品で2200円。一尾からわずかしか取れない貴重な白子は、とろりとなめらかな食感とコク深さに陶然。鮮度が抜群だから、臭みとも無縁だ
ヒレ酒800円。テーブル上で燗酒に点火し、青い炎を上げるパフォーマンスも好評。立派なヒレがよく見えるよう特注したガラスの酒器で提供する
フグの白子を丹念に裏ごしし、型で固めてつくるオリジナルの白子豆腐。まったりとクリーミーで濃密な風味が後を引く、まさに珍味だ
フグ皮を煮出し、豊富なゼラチン質で出汁ごと固めた煮こごり。やや甘めの調味とプルンとした口当たりが箸を進ませる。美しい透明感にも惚れ惚れ
ヒレ酒用のヒレ。板にびっしり貼り付け、1週間乾燥させる
店内はテーブル24席
市民会館近く、路面電車が行き交う通りに佇む

新富
住所|長崎県長崎市古町46 ランスイ第一ビル1F
Tel|095-822-7955
営業時間|11:30〜14:00(L.O.)、17:30〜22:00(L.O.21:00)
定休日|不定休

長崎港と市街地を一望しながら、非日常の寿司コースを
ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート
鮨ダイニング「天空」

カウンターの背後にあるガラス張りの個室からも、この眺め。昼間は港の対岸の大浦天主堂なども見渡せる

隈研吾氏がデザインを手掛けた、全室オーシャンビューのリゾートホテル内にある。五島など長崎近海産の魚介を、洗練された江戸前寿司に仕立てる。この時季はカジキやアラ(クエ)、ヒラメのほか、稀少な釣りアマダイが入ることも。寿司を中心とした会席コース8800円〜。

トラフグ刺し。やや肉厚に引いた身でも、皿の色がほんのりと透けて美しい。3層からなる皮は、トゲを除いてボイルするなどそれぞれ丁寧に処理
あらかじめツメや柑橘などで味つけを施した寿司は、お客が醤油を使うことなく味わえる。職人の流れるような所作と華やかな夜景が競演
トラフグ唐揚げ。カラリと揚がった身は、噛むほどに旨みがあふれるよう。食べ応えもしっかり
寿司盛り合わせ。薄造りのたたきを3枚重ねた握り、白子の変わり軍艦など、どれも創意豊か
トラフグ身皮の真砂和え、身のネギ巻き、フグ皮のカラスミ和え。食感と風味の違いが楽しい
トラフグの椀物。鰹出汁の風味が、淡泊な身に深みを与える。ほっこりと胃を温める一品

鮨ダイニング 天空
住所|長崎県長崎市秋月町2-3
Tel|095-864-7717
営業時間|11:00〜15:00(L.O.14:00)、17:00〜22:00(L.O.21:00)
定休日|なし

珍しい郷土料理も体験できる
懐深い割烹でゆったり
割烹「こじま」

艶やかな照りとニンニクの香りが食欲をそそる、トラフグのがね炊き2200円。フグヒレ酒(冷酒)770円。

1993年に思案橋そばで開業し、1996年に現在の場所に移転。カウンターから座敷まで備え、幅広いシーンに心強い。1.5㎏超えのフグを使用するフグ料理は、フグ刺し2200円、ふぐちり3300円などリーズナブル。ほかにも地魚を生かした多彩なお品書が揃う。

賑やかな銅座にあり、地元民からも観光客からも親しまれる

割烹 こじま
住所|長崎県長崎市銅座町14-14
Tel|095-827-1696
営業時間|11:30〜14:00、17:00〜22:00(L.O.21:00)
定休日|なし

長崎市の観光情報はInstagramをフォローしてゲット!
長崎市でいま訪れたい場所を発信中。ニュースポットからグルメまで長崎旅の情報が盛りだくさんなので、定期的にチェックしてみて!
 

@travel_nagasaki

 
 
≫続きを読む
 

text: Aya Honjyo photo: Azusa Shigenobu 協力=一般社団法人長崎国際観光コンベンション協会(DMO NAGASAKI)
Discover Japan 2022年2月号「美味しい魚の基本」

長崎のオススメ記事

関連するテーマの人気記事