長崎県小浜町《湯宿 蒸気家》
温泉のめぐみを最大限に活かした蒸し料理を味わう
長崎・雲仙には40年にわたり、種をつないで在来種を守ってきた農業者がいる。野菜の花が咲く彼の畑と、生命力あふれる野菜に惹かれた人たちが雲仙にやってきた。オーガニック野菜の直売所ができ、野菜が主役のレストランがオープン。いま、その小さな畑を中心に、確かなオーガニックの輪が広がっている。
今回は、源泉の温度が105℃と日本一の熱量を誇る小浜温泉「湯宿 蒸気家」で、火山の恵み、大地のエネルギーを湯ざわりやわらかな自慢の温泉だけでなく、温泉の蒸気のチカラで雲仙の素材のおいしさを引き出す「蒸し釜料理」や口の中でぷりっと弾む名物の「黒たまご」を味わう。
買った野菜を温泉で蒸してみる
雲仙の橘湾を望む小浜温泉。源泉はほのかに塩分を含む塩化物泉で、温度105℃と日本一の熱量で知られる。源泉は30カ所ほどあり、中でも泉質がいいと評判が高いのが「湯宿 蒸気家」の湯。ここでは100℃を超える源泉を利用した温泉蒸しをセルフで楽しめる。宿泊客はもちろん、立ち寄り利用もOK。
温泉蒸しとは、温泉から噴出する高温の蒸気で食材を蒸す調理法。ちなみに別府の鉄輪温泉では「地獄蒸し」と呼び、江戸時代からの歴史がある。食材をざるにのせ、蒸し釜に入れてふたをするだけなのだが、塩分をはじめミネラルをたっぷり含む温泉の蒸気を利用し短時間で蒸すため、素材のもつ旨みや甘みを引き出す上にほどよい塩味をまとう。葉野菜なら1分、イモを丸ごとなら20分ほど。ふっくら蒸し上がり、びっくりするほど美味しくなる。
「オーガニック直売所 タネト」で採れたての野菜を求めて、持ち込んでぜひお試しを。タネトには地元でつくられる塩やゴマ油、オリーブ油もあるから一緒に買っておくといい。
湯宿 蒸気家では宿泊客に、この温泉蒸しを利用した朝食を出してくれる。これからタネトの野菜や調味料を取り入れていく予定というから楽しみだ。
湯宿 蒸気家
住所|長崎県雲仙市小浜町北本町14-7
Tel|0957-74-2101
料金|1泊朝食付6200 円〜(入湯税別)、 日帰り入浴450円
IN|15:00
OUT|10:00
営業時間|日帰り入浴 9:00〜21:00(最終受付)
https://jyo-kiya.com/
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text: Yukie Masumoto photo: Azusa Shigenobu
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