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日本固有の魚・シシャモを求めて鵡川(むかわ)へ〈前編〉
北海道の魚を知る旅

2022.1.24
日本固有の魚・シシャモを求めて鵡川(むかわ)へ〈前編〉<br><small>北海道の魚を知る旅</small>

スーパーや居酒屋で見掛ける安価な「子持ちシシャモ」。実はこれ、カペリン(和名:カラフトシシャモ)というシシャモとは別の魚。“本物”は、世界中で北海道太平洋沿岸の一部でしか漁獲できない稀少な魚なのだ。「北海道の魚を知る旅」お次は、日本固有の魚・シシャモを訪ねてむかわ町へ。

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実は私たちは本物のシシャモを知らない?

かつて川が真っ黒になるほど捕れたというシシャモ。大衆魚のひとつとして地元の人々の食卓を彩ってきたが、近年は漁獲量が低迷。資源保護の取り組みが行われている

「シシャモは、鮭と同様に春に川で生まれ、幼魚のうちに川を下って海で成長。翌年の秋に産卵のために生まれた川に戻ってくる魚です。一方、カペリンは遡上しません」こう話してくれたのは、鵡川漁業協同組合専務理事の小定雅之さん。鵡川をはじめ北海道太平洋沿岸の9つの川でシシャモの遡上が確認されているが、その生態はまだ謎が多い。同組合では、鵡川地域や近隣地域で水揚げされたシシャモや、鵡川地域で加工したシシャモの干物を「鵡川ししゃも」として2006年に商標登録し、カペリンとの差別化を図り、ブランド化を進めており、漁協直営「鵡川漁協直売所 いちうろこ」での販売も行っている。

むかわ町で1923年創業、シシャモの加工販売業を手掛ける「カネダイ大野商店」の大野秀貴さんは、「『鵡川ししゃも』の名前が知られてきたせいか、10、11月の漁期には町の訪問者が倍になります」と笑う。「卵を抱えたメスのシシャモは大きくて人気ですが、実は地元では脂がのって旨みの濃いオスも好まれます。各店で干し方や味わいが違いますので、むかわ町に来て好みのシシャモを探してみてください」

商店の軒先にずらりと並ぶ「シシャモのすだれ干し」は、太平洋沿岸にあるむかわ町の秋の風物詩。40日の短い漁期が解禁されるとともに見られる風景だ

本物のシシャモの特徴

上)オス 雌より大きく、産卵期には身体が黒っぽくなる。
下)メス 1匹平均8000粒の卵をもつ。
どちらも脂ビレがある

サケ目キュウリウオ科シシャモ属
英名|shishamo smelt、japanese longfin smelt
体長|12〜18㎝程度

◎うろこが大きく、はっきりしている
◎背中は暗黄色で腹側は銀白色
◎口が大きく目の真下より後方まである

むかわ町の風物詩・シシャモのすだれ干し
塩水につけたシシャモを重量別に選別し、ヨシの串に挿し冷風に当てて表面を乾かしてすだれ干しにする

 


アイヌに伝わるシシャモ祭りとは?
 
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text: Tomoko Honma photo: Yoshihito Ozawa
2022年2月号「美味しい魚の基本」

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