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まちを知るには朝市が一番!
~桑名「三八市」ノススメ~

2021.12.18 PR
まちを知るには朝市が一番!<br>~桑名「三八市」ノススメ~

コロナ禍以前、月に数度の出張が常であった。多い時で月に5、6度。振り返れば全国通津浦々、様々なまちを訪れ、関わってきた。そんな私の出張先でのルーティンが「朝市めぐり」だ。流行りの“マルシェ”的なものではない、ニッポンの朝市。たとえ前夜に深酒していても早起きし、市(いち)に出向く。晴れであろうと雨であろうと朝の空気はフレッシュで気持ちがよい。現場に参じれば所謂チェーン店では出会えない地産の生鮮食品に触れ、時として味わう。口中に拡がる滋味に「ああ、来たなぁ」となり、おのずとそのまちを深く理解することができるのだ。緊急事態宣言発出中の出張ご法度な時期を経た今だからこそ有難みもひとしお。朝一番、露店ならではの、店舗販売にないライヴ感や濃厚な土地の空気が異邦人のその土地への没入感を深めてくれる。朝市は実に楽しいものだ。

佐賀県唐津市の「呼子朝市」や石川県輪島市の「輪島朝市」をはじめ、全国には観光資源としてスペックの高い市(いち)が数多ある。それはそれで魅力的で素晴らしい。一方、個人的に求めてしまうのはテイストや規模が「民俗感があって、こじんまり」している朝市。まちのサイズが駅を基点に徒歩にて巡る事が出来、かつ画一的なデザインが存在しない「昭和のにおい」があれば、理想だ。そんなまちであれば、ほぼ朝市は存在するし、まず「間違いはなし」。更にはそのまちが城下町であったりすると「絶対にまちがいはなし」!。思えば今までに訪れた朝市は100をくだるまい。それぞれに個性があり、訪問のたびに日本人としてのアイデンティティを再確認している私がいる。そんな「朝市フリーク」の私が愛してやまない市が三重県桑名市にある。

名古屋から20分ほど、三重県の最北部に位置する城下町。戊辰戦争、第二次世界大戦、そして伊勢湾台風…何度も何度も壊滅的なダメージを受けながらそのたびに復活、繁栄してきた東海道の要衝。木曽三川(揖斐川、長良川、木曽川)に育まれた、言わずもがな、の名物「桑名のはまぐり」は江戸の昔から人々を魅了し続けている。そんな桑名の魅力的な朝市が「三八市(さんぱちいち)」。である。本統寺の御門前を貫く寺町通りで三と八のつく日に開催されている。商店街の路面店、そして所せましと並ぶ露店が500メートルほどのアーケイド内で混然一体と展開された朝市は早朝から大勢の人々が集い賑わう。その様は旅人の気持ちを高めるに余りある。販売される物品はフレッシュな生鮮品や地元の加工産品、工芸品から焼きたてのパンに淹れたての香しいコーヒーに至る。私は狙ってこの三と八のつく日で出張をスケジューリングし、三八市を訪れてはその“パワー”に刺激をもらっている。

そんな朝市に2021年度桑名市のアンバサダーたる「魅力みつけびと」に就任された、モデル、女優、ラジオパーソナリティーなど幅広く活動されている高山都さんをお連れした。高山さんは日々インスタグラムを通じて自身の手料理を「みやれゴハン」と銘打ち、画像ばかりでなく、時としてLIVEで食の愉しさ、尊さを発信している。「魅力みつけびと」2021年度テーマは「食」。桑名市の魅力を、しかも食を通して、であれば三八市にお連れしない手はない。それはそうと…旬な高山さんの起用はまさに機を得たもの。桑名市、やるではないか。

さて高山さんだが、朝一で揖斐川河口までランニングをして赤須賀漁港から船出するはまぐり漁船を見物してきたらしい。「漁船の船出の航跡が美しく、揖斐川端から臨む朝日は本当に美しかった」とのこと。ちなみに前夜は相応の飲酒をしていたらしいから大したものだ。そんな高山さんは三八市に到着するや否や場に溶け込んでいる。野菜を売るおばちゃんや魚屋で桑名産のはまぐりの美味しさを語るおねえさん、そして工芸品を売るおじちゃん等々…次から次へと話し込んでは買い物に興じている。時にお饅頭をほおばったり、なんとも軽やか。コミュニケーション能力の高さだろう…というか「朝市マスター」を自任する私を遥かに凌ぐ「楽しみっぷり」に感じ入ってしまった。それについて問いかけると「私は商店街が生活の一部である環境で育ったんです。とても活気のあるまちでした…ですからある意味、朝市のこの感じが当たり前で。それに今回は東京では見かけない、桑名ならではの食材があったりで気持ちも上がっちゃって。これをどう料理しようとか、どんなお酒が合うかな、とか考えると更に愉しくて仕方がないんです。そう、魅力みつけびとにも就任させていただき、桑名のまちを理解するにはこういう場に来て買う事がやっぱり一番なのかな、って思うんですよね」。うん、その通り!うなずけます。

時代の先端を走る高山都さんが、昭和テイスト溢れる桑名の三八市を目いっぱい愉しんでいる様は嬉しかったし、彼女を魅了する三八市のポテンシャルの高さにも改めて感じ入った次第。

朝市にはその地域の縮図がある。地元民が集っているから幾分敷居は高めだけれど、そこに飛び込んだらその途端にそのまちを理解出来る、といっても過言ではないだろう。海外旅行でもマルシェやマーケットに行ったりすると途端にまちへの想いは深まるもの。コロナとの闘いもまだまだ続きそうだが、正しく恐れ、そして旅に出てもよいのではないか。そんな折にはぜひとも朝市チェックを旅先TO DOリストに加えてほしい。様々な魅力があなたを包み込み、あなたはリアルなまちの表情に心突き動かされるに違いない。

 

作家・柏井壽さんが紹介する
三重県桑名の「三八市」

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text: Masatoshi Murata photo: Kanae Hori(ALIVE), Masatoshi Murata

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