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球磨焼酎を知る旅へ【後編】
焼酎の概念を変える?世界基準の酒はこう生まれる

2022.3.2
球磨焼酎を知る旅へ【後編】<br><small>焼酎の概念を変える?世界基準の酒はこう生まれる</small>

熊本県・人吉で500年以上造られ続けている球磨(くま)焼酎。いま各蔵元が取り組んでいる「球磨焼酎蔵ツーリズム」がおもしろい! と聞きつけ、実際に体験プランに参加してみた。

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人吉球磨地方で球磨焼酎造りを行う27の蔵元のうち、12の蔵元で「球磨焼酎蔵ツーリズム」としてさまざまな特別プランを用意している。ここで体験できるのは、蔵見学や焼酎の飲み比べだけにとどまらず、球磨焼酎の仕込み・蒸留体験(深野酒造)、フルーツリキュール仕込み体験(常楽酒造)、明治時代の蒸留体験(大和一酒造元)、オリジナルの樽熟成焼酎づくり体験(大石酒造場)、ブレンド教室(六調子酒造)、球磨焼酎マイブレンド体験(福田酒造)、オリジナルラベルづくり(高田酒造場)、ガラチョク体験(繊月酒造)など、ほかではなかなか体験できないユニークなプランばかりだ。もちろん焼酎に関する知識の有無は関係ナシ。試飲は20歳以上だが、老若男女誰でも参加でき、杜氏や蔵人と直接会話を重ねることで、球磨焼酎の魅力により深く触れられるだろう。

500年以上にわたり親しまれてきた球磨焼酎は、人吉球磨地方の文化そのもの。土地の風土が色濃く表れた球磨焼酎の味は、旅を通じて第二の故郷の味となる。

〈球磨焼酎の各工程が体験できる!〉

「球磨焼酎蔵ツーリズム」で展開中の蔵元の体験プランに参加!体験を通じて知り得た球磨焼酎の魅力は、旅の後も記憶に残る。

❶仕込み
球磨焼酎仕込み・蒸留体験

「一次仕込み体験」、「二次仕込み体験」、「蒸留体験」と、時期をずらした計3回にわたり、伝統的な甕仕込みの焼酎造りが体験できる。オリジナルラベルを作成し、出来上がった焼酎は後日郵送してくれる。

❷熟成
オリジナルの樽熟成焼酎造り体験付き酒蔵見学

長期熟成酒にも力を入れ、シングルカスクの焼酎銘柄も揃える。体験プランでは焼酎ボトルに樽素材を使ったフレーバースティック(桜、ミズナラ、ホワイトオーク)を入れ、熟成の過程を自宅で楽しめる。

❸ブレンド
酒蔵見学とブレンド教室

「熟成した焼酎はブレンドすることで、ますます美味しくなるんです」と話す池邉さんによるブレンド教室。六調子酒造の複数の熟成酒を使い、奥深いブレンディングの世界を体験できる。

❹飲み方
酒蔵特別見学コース&ガラチョク体験

球磨焼酎の伝統的な酒器、ガラとチョクで付けた燗を体験できる。焼酎は土甕で長期熟成させた古酒「甕 繊月」。土甕独特の香りがあり、口当たりは抜群。燗にすると香りと甘みがいっそう引き立つ。

〈焼酎造り体験ができる酒蔵〉

昔ながらの甕仕込みにこだわり
伝統と革新を焼酎で体現する
「深野酒造」

誉の露(ほまれのつゆ)1430円
創業は1823年。一次仕込みの工程では常圧蒸留の全銘柄で江戸時代につくられた土甕を使用。その理由は土甕により独特のまろやかさが得られるからだとか。代表銘柄「誉の露」は甕仕込み、常圧蒸留、甕貯蔵という伝統的な手法でつくったもの。KuraMastre2021米焼酎部門プラチナ賞受賞。「昔ながらの味を残しつつ、新しい焼酎にも挑戦していきたいです」と代表・深野誠一さん

深野酒造
住所|熊本県人吉市合ノ原町333
Tel|0966-22-2900
営業時間|9:00〜16:30
定休日|日曜
球磨焼酎仕込体験料金|1日間参加1万円(要予約)

米の自家栽培から行う焼酎造り
探究心が新たな酒をつくり出す
「大石酒造場」

礼世奈(れせな)1210円
「この土地で育った米と水を融合させた焼酎は絶対に美味しいですから」と専務・大石和教さんが話すように、大石酒造場では米をはじめ、芋やカボチャなど原料の自家栽培を行っている。酒造りのベースは「自分が飲みたい酒」。娘さんの名前を冠した「礼世奈」は減圧蒸留のためソフトな口当たりで、華やかな香りと旨みが味わえる。東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2020焼酎部門 銀賞受賞

大石酒造場
住所|熊本県球磨郡水上村岩野1053
Tel|0966-44-0001
営業時間|8:00〜17:00
定休日|日曜
オリジナルの樽熟成焼酎づくり体験付き酒蔵見学料金|2500円(要予約)

常圧蒸留・長期樽熟成という
ポリシーを貫いて生み出す美酒
「六調子酒造」

古代一壺(こだいいっこ)5500円
「焼酎はスコッチを凌ぐ世界の酒になる」という想いの下、常圧蒸留・長期樽熟成にこだわった酒造りを行う。貯蔵技術も研究を重ね、樽貯蔵庫はスコットランド高地に近い環境をつくり出した。「熟成させることで、爛熟した果実のような香りと芳醇な味に」と代表・池邉道人さん。「古代一壺」は30年古酒をブレンドした自信作。TWSC2020, 2021 2年連続最高金賞受賞

六調子酒造
住所|熊本県球磨郡錦町西1013
Tel|0966-38-1130
営業時間|8:00〜17:30
定休日|土・日曜
酒蔵見学とブレンド教室プラン料金|2500円(要予約)

6代目杜氏が守る味と技
球磨焼酎の多様性を表現
「繊月酒造」

純米焼酎 川辺1690円
年中無休で蔵見学・無料試飲を実施し、施設内には温泉の足湯まで備えた繊月酒造。1903年の創業当時から人吉球磨出身の専属杜氏を抱え、伝承の技と味を守っている。KuraMastre2021本格焼酎・泡盛部門プラチナ賞受賞 。「すっきりタイプから樽貯蔵の濃厚タイプ、古酒、水質日本一を誇る川辺川の水と相良村の米を使用した『川辺』など、多彩な酒質を揃えています」と社長・堤 純子さん。

繊月(せんげつ)酒造
住所|熊本県人吉市新町1
Tel|0966-22-3207
営業時間|9:00〜17:00(最終受付16:30)
定休日|なし
酒蔵特別見学コース&お座敷ガラチョク体験料金|2500円(要予約)

※コロナウイルス感染症の状況次第で受け入れをしていない場合があります。訪問前に蔵元または下記へお問い合わせください。
球磨焼酎蔵ツーリズム協議会事務局 一期屋|0966-22-2374

〈球磨焼酎蔵ツーリズムのヒント〉

蔵元以外でも球磨焼酎の醍醐味を堪能できるスポットが盛りだくさん。飲み方のアドバイスを聞いてみるのもオススメだ。

球磨焼酎ざんまいを愉しめる湯宿
「人吉温泉旅館 清流山水花 あゆの里」

球磨川を間近に望む、温泉露天風呂付き客室もある

球磨川のほとりに建つ温泉旅館。地元の食材をふんだんに使用した料理、肌に馴染む自家源泉の温泉、上質な寛ぎを約束する客室、スタッフ一人ひとりが「人吉コンシェルジュ」となって提供するサービスなど、滞在を通じて人吉球磨地方の文化が存分に感じられる。「Bar木綿葉川」では球磨焼酎を使ったカクテルも堪能できる。

「Bar木綿葉川」では球磨焼酎全27蔵の酒を揃える。球磨焼酎ベースのカクテルも美味。「林酒造場」の杜氏、林泰広さんがバーテンダーを務める

人吉温泉旅館
清流山水花 あゆの里

住所|熊本県人吉市九日町30
Tel|0966-22-2171
料金|1泊2食付1万9800円〜

好みの一本に出合える!
球磨焼酎専門店
「一期屋」

球磨焼酎の卸問屋である鳥越商店が営む球磨焼酎専門店「一期屋」。店内には球磨焼酎やリキュール類に加え、人吉球磨地方のお土産品も並んでいる。「球磨焼酎は大きく分けると、ライト、リッチ、フレーバー、キャラクターという4つのタイプがあります。好みの味が必ず見つかりますので、お気軽にご相談ください」と代表社員の鳥越英夫さん。

一期屋(いちごや)
住所|熊本県人吉市新町15
Tel|0966-22-2374
営業時間|10:00〜18:00
定休日|水曜

〈球磨焼酎ラインアップ〉

左から林酒造場「極楽 しず馴」、福田酒造「尺鮎」、大和一酒造元「明治波濤歌」、那須酒造場「球磨の泉」
左から木下醸造所「文蔵」、高橋酒造「白岳 ゆずもん」、高田酒造場「jin jin GIN」、常楽酒造「秋乃露」

 

text: Nao Ohmori photo: Atsushi Yamahira
2022年1月号「酒旅と冬旅へ。」

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