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《宇城市不知火図書館・美術館》
銀色のルーバーで不知火現象を表現した近代建築

2022.6.4
《宇城市不知火図書館・美術館》<br><small>銀色のルーバーで不知火現象を表現した近代建築</small>

1999年に開館した、熊本県宇城市「不知火文化プラザ」は、2022年4月3日(日)に「不知火美術館・図書館」として新たにオープン。不知火現象をモチーフにしたルーバースクリーンがやわらかな光の空間をつくりだし、誰でも気軽に交流できる場と温かみのある雰囲気を感じられる。町のふれあいの場となっている、「不知火美術館・図書館」の魅力とは・・・・・・。

どんな美術館・図書館なのか

地元・不知火出身の芸術家たちの作品を収蔵、展示する美術館

不知火美術館・図書館は、美術館と図書館が同じ建物に隣接して同居する、宇城の総合的な文化施設。

美術館は、宇城市ゆかりの世界的に著名な芸術家たちのコレクションを収蔵。そのほかにもアトリエを開放して講演会やワークショップなども行われる。前面の広場では、コンサートやマルシェなど、さまざまなことが行えるフレキシビリティの高い空間。

図書館は、知の拠点として文化の継承を行うとともに、知識の根を深めていく創造の役割をもつ。また、ボランティアによる絵本の読み聞かせも行われている。

不知火をイメージした建築

ルーバーが特徴的な外観

建築家・北川原温氏と、伊藤建築事務所によって設計。最大の特徴でもある95m連続した外観は、有機的な連続性を持ちながら静謐な美しい正面を作り出し、光を微妙に反射するように設計されたアルミルーバーでつくられたブリーズソレイユは、南国の強い日差しを制御し、館内を明るく快適かつ、省エネルギー効果がある。この地域独特の海上蜃気楼現象「不知火(しらぬひ)」をイメージしたシンボリックな外観は、夜のライトアップで、まさに神秘の光・不知火の雰囲気を味わえ、建物も作品の一部となる。

学習室は、すべての席に電源が設置されているのでパソコン、タブレットを使った学習も可能。館内はFree-WiFi

内観は、美術館と図書館をつなぐフラットなフロアの連続構造が、バリアフリーの施設内動線を実現。展示室の展示壁は、ひとりでも手動で簡単に操作できる可動式とし、さまざまな企画展示に対応できるフレキシビリティの高い空間。図書館は、広々とした明るく静かな空間づくりがされている。

敷地内には、プロムナードや築山・森とともに、建物の南面に明るく伸び伸びとした芝生広場をつくり、多目的な利用を想定した木製デッキやベンチ、植栽等の仕掛けを配置。親子で読み聞かせをしたり、軽食をとったり、イベントを開催したり、様々な場面で活用されている。古代と未来をつなぐランドマークとして町の人々に親しまれ、建物と自然が一体化した、町のふれあいの場となっている。

※不知火とは、旧暦8月1日の夜遅くに、海の向こうにたくさんの光が横並びに明滅して見える現象。

不知火地域出身の芸術家たち

マナブ間部《大陸》1990年

鮮烈な色彩とみずみずしい感性による抽象画により「ブラジルのピカソ」と称されて世界的に活躍した、芸術家・マナブ間部氏や、1930年代のアメリカ画壇で活躍し、日本の近代絵画史上に大きな足跡を残した野田英夫氏。画期的な版画技法と現代的な抒情性が高く評価され、ニューヨーク近代美術館や大英博物館にも作品が収蔵される、東京芸術大学名誉教授・野田哲也氏。大正から昭和初期米国を拠点に活躍し、「世界の写真家5人」にまで選ばれた写真家・河野浅八氏など、世界的な画家を中心に多くの作品を収蔵・展示している。

Book&Café

Book&Café
種類豊富な居心地の良いテーブル席やソファ席が配置されたオープンラウンジ。座席数は約170席あり、会話を楽しんだり、待ち時間や打ち合わせなど、誰でも気軽に利用可能。館内のカフェで購入したドリンクは、図書館区画のどこでも楽しむことができるので、好きな本を読みながら、コーヒーを片手にゆったりとした時間を過ごせる。

アトリエは、創作・文化活動や会議、イベントなどのスペースとして利用可能
扉を開放して利用することもできる

アトリエ
創作・文化活動や会議、イベントなどのスペース。アトリエ大、アトリエ小の2部屋があり、扉をオープンにも利用できる空間になっている。アトリエ大にはシンクも完備。

そのほかにも、宇城市や熊本県にゆかりのあるアーティスト、クリエイターの作品や工芸品を中心にセレクトされたミュージアムショップや、こども絵本のいえ前には芝生広場があり、外でも楽しめるイベントやワークショップも行われる。

ミュージアムショップ
芝生広場

美術館と図書館を行き来しながら、美術館でアートを通して見つけた未知の世界への扉を開き、図書館の資料を通してさらに踏み出し、新しい地図を得ていく…そんな思いが込められた「宇城市不知火美術館・図書館」に、一度訪れてみてはいかが。

宇城市不知火美術館・図書館
住所|熊本県宇城市不知火町高良2352
Tel|図書館:0964-32-6211、美術館:0964-32-6222
開館時間|図書館・スターバックス 9:00~21:00、こども絵本のいえ 9:00~18:00、美術館 9:00~18:00(土曜日のみ21:00まで)
休館日|年中無休
https://www.museum-library-uki.jp/

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