美術館「えき」KYOTO
《能面100 The Art of the Noh Mask》
100点の能面が会場を埋め尽くす。

美術館「えき」KYOTOは、世界的な能面の愛好家であり研究者でもある、スティーヴェン・マーヴィン氏の貴重なコレクションを中心に、金剛家、篠山能楽資料館の歴史ある能面100面を一堂に展覧する「能面100　The Art of the Noh Mask」を、2022年1月2日（日）〜2月6日（日）まで開催する。

能面について
様々な表情をのぞかせる能面は「おもて」と呼ばれ、「能面師（面打ち師）」という専門の職人によって作られる。面は「彫る」ではなく「打つ」といわれ、ヒノキなどの木材を使い、顔料で彩色される。

《翁》日光作 室町時代 篠山能楽資料館

この展覧会は、「神（しん）、男（なん）、女（にょ）、狂（きょう）、鬼（き）」という、正式な上演形態とされる「翁付五番立」では曲趣の異なる能が順に演じられ、それぞれの主役を指した言葉に即しながら、能面に込められた性格や造形を考慮し、五つの項に分類展示するものだ。

《小面（雪の小面）》龍右衛門作 室町時代 金剛家

「人が見るのではない、面（おもて）が見るのである」
これは初世金剛巌が著書 “能と能面” の中で語った言葉。

金剛流二十六世宗家　金剛永謹さん　
此の度の展覧会は、世界的な能面愛好家であり研究者でもあるスティーヴェン・マーヴィン氏、能楽に関する貴重な研究と収集をご尊父・中西通氏と二代にわたって続けてこられた篠山能楽資料館・館長の中西薫氏、代々能楽シテ方を勤める当家の三者の所蔵する能面が一堂に会するという大変稀な初めての機会となります。700年の間、時代や国境を越えた人間の本質的なものを追い求めてきた能楽。能面は今を生きる私達に、ほとばしる熱い生命力を内に秘めて静謐に語りかけてくるのです。様々な歴史を見つめてきた総数 百面もの能面が、2022年新春に京都で出会う得がたいひとときを今から私も楽しみにしております。

金剛流
能楽シテ方五流派のうち四流の宗家西に宗家が存在する唯一の流儀。古くは奈良の法隆寺に奉仕した猿楽座の坂戸座を源流とし。室町初期には春日興福寺に勤仕する大和猿楽四座のひとつとなり、のちに金剛座、そして現在の金剛流へと至る。豊臣秀吉拝領の「雪の小面」や艶麗な「孫次郎」など、金剛家の所蔵する能面・能装束に名品が多いことでも知られる。

マーヴィン・コレクション
スティーヴェン・マーヴィン（1955年米国テキサス州生まれ、ハワイ在住）が所蔵する約250点にもおよぶ貴重な能面コレクション。アメリカ・スタンフォード大学とハワイ州立大学院卒業後、投資銀行に勤務。東京の骨董店で初めて小面を見て能面に魅了されコレクションを始めると同時に能面の研究も始める。著書に『Heaven Has a Face,So Does Hell:The Art of the Noh Mask』’『The Masks of Kyogen : A Study of Morphology, Taxonomy, and Personae』がある。

篠山能楽資料館
兵庫県丹波篠山市に1976（昭和51）年に設立。能面・装束・楽器など能に関する資料の収集と研究を行い、全国でも数少ない能楽専門の常設展示館として日本における伝統芸能の一拠点となっている。

《橋姫》作不詳 桃山時代 マーヴィン・コレクション

長い歴史の中で絶えず守られてきた日本を代表する伝統文化「能」は、奈良時代に大陸から渡来した「散楽」が源流となり、室町時代に世阿弥によって大成されてきた。演能に用いられる「能面」は一見、無表情に見えますが、舞台では多くの表情を持ち、見事なまでに人間の心理を表現し、その不思議かつ洗練された美しい世界に魅了されるだろう。

能面100　The Art of the Noh Mask
会場｜美術館「えき」KYOTO（京都駅ビル内･ジェイアール京都伊勢丹7階隣接）
会期｜2022年1月2日（日）〜2月6日（日）会期中無休
開館時間｜10:00〜19:30
※新型コロナウイルス感染症の状況により、変更になる場合あり。
入館締切｜閉館30分前
入館料｜一般1000円（800円）、高・大学生800円（600円）、小・中学生600円（400円）
※（　）内は前売料金。｢障害者手帳」を提示の本人と同伴者1名は、当日料金より各200円割引。
https://kyoto.wjr-isetan.co.jp/museum/