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建仁寺 両足院を舞台とした山田 晋也の現代アート展に注目
「胎内衆会 ーぼくらは何処にかえるのだろう」

2020.10.3
建仁寺 両足院を舞台とした山田 晋也の現代アート展に注目<br><small>「胎内衆会 ーぼくらは何処にかえるのだろう」</small>

京都市東山区に位置する、臨済宗大本山建仁寺塔頭 両足院にて、現代アーティスト山田 晋也の展覧会「胎内衆会 ーぼくらは何処にかえるのだろう」を2020年9月19日(土)〜10月10日(土)の期間にて開催中。

胎内衆会は、絵画作品16点を両足院に展示し、方丈に面する日本庭園と抽象絵画が織りなす独自の空間が特徴。また方丈内陣に在る本尊「阿弥陀如来立像」を覆うように作品を展示し、作品を通して阿弥陀如来立像を拝するなど、展示そのものが新たな鑑賞体験として構成されている。

山田晋也(やまだ・しんや)
1974年京都生まれ。和装意匠制作の家に生まれ、代々残る文献をもとに染色技術に着眼し、復元や創作に従事。皇室への作品献上、また 、伊勢神宮や比叡山延暦寺など多数の寺社仏閣に作品を奉納・収蔵。2015年、琳派400周年に際し、京都国際マンガミュージアムにて「琳派 オマージュ展」、2017年、京都高島屋、2018年、新宿高島屋にて、「ぼくらが日本を継いでいくー琳派・若冲・アニメ」開催。2019年、元離宮二条城でのICOM2019「時を超える:美の基準」出展。同年、比叡山延暦寺にて「ゲゲゲの鬼太郎と比叡山の七不思議展」開催。また、Discover Japanの表紙を2度手がけた。

表記を飾った雑誌はこちら
2017年10月号「京都の誘惑。」
2018年10月号「みんなの京都、ナイショの京都」

芸術表現の場としての両足院

臨済宗大本山建仁寺塔頭 両足院は、現代社会において、智慧と慈悲の心を磨く場、そして次世代を担う知性と感性を磨く学びの場となっている。寺社仏閣は古くから思想・芸術における創造の場でもあった。

仏師が仏像を彫り、絵師が襖絵を描くなど、創造性に溢れる多くの人々の縁が連綿と受け継がれてきた。両足院では今もクリエイティブな感性を大切にし、現代に生きるアーティストとともに、宗教と芸術の交差する可能性を求める、アーティストの表現の場となっており、様々な展示会はじめ、”瞑想回廊”をテーマとしたアートプログラムなど、先鋭的な取り組みを行っている。

胎内衆会は、これまで京都・東京で開催された「ぼくらが日本を継いでいく ―琳派・若冲・アニメ―」など、日本画の技法を基に描かれた作品で好評を得た山田晋也が、現代アートとして新たに表現された作品を展示する初の個展となる。

複雑で多くの情報で溢れる現代社会は、いつしか自分の心と向き合うことが困難でもある時代と言える。山田晋也は躊躇することなく、自身の声に耳を傾け、独特の視覚言語をもって作品を生み出している。個人的な感情や経験、内面から生み出される抽象的なイメージの断片は、デフォルメと身体的な描画行為を通してキャンバスに吐き出され、ある種の普遍性と美しさを帯びた作品となり、わたしたちにメッセージを投げかけている。

胎内衆会に向けて、山田晋也は以下のように述べている。

“日々生きていく間に眇眇たる出来事が積み重なり、自分自身が良き悪きに出来上がっていく。いつの間にか出来た僕の中にあるコンプレックス、悔しさ、悲しさ、そして暖かさ。過ごした時間の記憶の深海に潜り、その感情をそのまま作品に吐き出してみました。僕は何処にかえりたくて、何処で生まれたのだろう。この細胞の記憶はどこにあるのだろう。その先には?その原点は?阿と吽は共に一つで、因と果のある場所を、いつからか胎内と浄土と考えるようになりました。同じ場所に答えがあって、自分の内側へ、さらに奥へ、原点の胎内へ― ”

内省的な旅、そして作品を通して自身の心の有り様を見つめ直す機会になることだろう。

 

山田晋也 胎内衆会 ― ぼくらは何処にかえるのだろう
開催期間|2020年9月19日(土)〜 10月10日(土)
開場時間|10:00〜16:00
開場|両足院(建仁寺内)
住所|京都市東山区大和大路通四条下る4丁目小松町591
Tel|075-561-3216
観覧料|大人800円/小中学生無料 ※両足院拝観料を含む
https://ryosokuin.com/


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