日本の世界自然遺産【後編】
東京都・小笠原諸島/鹿児島県・屋久島
現在4つの地域が世界自然遺産として登録されている日本。それぞれの地域は、どのような点が評価されて登録されたのか、ここで振り返ってみましょう!
隔絶された環境で固有種が多数生息
「小笠原諸島」
東京都心から南に約1000㎞離れた、大小30ほどの島々からなる小笠原諸島。これまで一度も大陸と陸続きになったことがないため、島に生息している野生生物は、鳥に運ばれたり、海流や流木に付着して流されたりして偶然たどり着き、島の環境に適応して生き残ったものたちの子孫だ。母島列島にしか生息しないメグロや、諸島唯一の固有ほ乳類・オガサワラオオコウモリなど、この地域でしか見られない多くの貴重ないきものが生息。父島や母島では、外来種の侵入によって、固有種が生活の場を失うことを防ぐべく、船から島に上陸する際には靴底を洗浄してもらうなど、生態系を守るための取り組みを行っている。
小笠原諸島
登録評価点|生態系
エリア|聟島列島、父島列島、母島列島、北硫黄島、南硫黄島、西之島の陸地と一部周辺の海(父島、母島の集落地を除く)
登録年|2011年
アクセス|竹芝桟橋から父島へフェリー「おがさわら丸」で約24時間(おおよそ週1便のみ、父島〜母島間は「ははじま丸」が運航)
小笠原諸島をもっと知るなら!
小笠原世界遺産センター
住所|東京都小笠原村父島字西町
Tel|04998-2-7174
開館時間|9:00〜17:00
休館日|不定休
高樹齢の杉と神秘的な自然美が残る
「屋久島」
九州本島最南端から、南に約60㎞に位置する屋久島。島の中央部には、九州最高峰1936mの宮之浦岳を主峰とする山岳が連なり、その山腹を多くの川が深い谷を刻んで流れている。日本列島の南に位置しているが、標高差があることで、さまざまな気候帯の植物が島に分布。海岸沿いにはガジュマルなど亜熱帯の植物が生育し、標高が上がるにつれて照葉樹林帯、スギ樹林帯、山頂付近では冷温帯性の草原や亜高山帯の低木林が見られる。年間降水量が8000㎜を超える多湿な環境により、シダ植物やコケ類、屋久杉と呼ばれる高樹齢の天然スギも多く生育。神秘的な森の姿から、国内で唯一、「自然美」の項目でも評価されている。
屋久島
登録評価点|生態系、自然美
エリア|島の中央部の宮之浦岳を含む屋久杉自生林や西部林道付近など、島の面積の約2割にあたる陸地
登録年|1993年
アクセス|伊丹空港から屋久島空港へ飛行機で約1時間30分、鹿児島本港南埠頭から宮之浦港へフェリーで約4時間など
屋久島をもっと知るなら!
屋久島世界遺産センター
住所|鹿児島県熊毛郡屋久島町安房前岳2739-343
Tel|0997-46-2992
開館時間|9:00〜17:00
休館日|土曜(12〜2月のみ)
https://www.env.go.jp/park/yakushima/ywhcc/index.htm
text: Discover Japan
Discover Japan 2021年8月号「世界遺産をめぐる冒険」