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企画展「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」が世田谷美術館で開催
パートナーの存在から探る建築とデザイン

2021.3.19
企画展「アイノとアルヴァ 二人のアアルト」が世田谷美術館で開催<BR><SMALL> パートナーの存在から探る建築とデザイン</SMALL>

企画展「アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド─建築・デザインの神話」が、東京の世田谷美術館にて、2021年3月20日(土・祝)〜6月20日(日)まで開催中。

この企画展は、建築家アルヴァ・アアルトが公私にわたるパートナーとして、世界的建築家への道を歩み始めた1924年から、妻・アイノが他界する1949年まで、25年間の協働の軌跡を追った展覧会。

アイノ・マルシオ(後のアイノ・アアルト、1894-1949)が、まだ無名の建築家・アルヴァ・アアルト(1898-1976)の事務所を訪ねたのは1924年のこと。アイノはアルヴァの事務所に入り、ともにヘルシンキ工科大学の卒業生であったふたりは、半年後に結婚した。

マイレア邸外観 Alvar Aalto Foundation
マイレア邸 リビングルーム Alvar Aalto Foundation

アイノがパートナーになったことで、アルヴァに「暮らしを大切にする」という視点が生まれ、使いやすさや心地よさを重視した空間には、優しさと柔らかさが生まれる。合理主義的なモダニズム建築の流れのなかで、ヒューマニズムと自然主義の共存が特徴的なアアルト建築は独自の立ち位置を築き、それはアルヴァが世界的に名を知られる建築家となる礎となった。そこには、多分にアイノの影響があったことが想像できる。

アアルトハウス庭側立面スケッチ、1935年 Alvar Aalto Foundation

小さな事務所からスタートした彼らの作品は、1920年代後半になると、モダニズムデザインの国際的な潮流に影響される。シンプルであること、実用的であること、そして低コストによる量産化といった理念は、ふたりの想い=思想とも重なり合うものだった。彼らは自国フィンランドの環境特性をふまえ、自然から感受した要素をモティーフとしたデザインを通じ、彼らなりのモダニズムに対する答えを探求していくことになる。

アイノ・アアルトとアルヴァ・アアルト ニューヨーク万国博覧会フィンランド館にて、1939年 Alvar Aalto Foundation

ふたりの役割についてはしばしば、建築をアルヴァ、インテリアや家具デザインを主にアイノが担当したといわれる。しかし実際にはそれらを明確に区別することはむずかしく、彼らは互いの才能を認めあい、影響しあい、補完しあいながら作品をつくり続けていた。女性が社会に進出することが少なかった時代において、常にパートナーに対等に向き合ったアルヴァの態度は、アイノに大きな勇気を与えただろう。後にアイノは54歳という若さで他界しますが、ふたりが協働した25年間は、かけがえのない創造の時間となった。

エイノ・カウリア/アルヴァ・アアルト、パイミオのサナトリウム1階天井色彩計画、1930年頃 Alvar Aalto Foundation

この展覧会は、これまであまり注目されて来なかったアイノ・アアルトの仕事に大きく着目することで、アルヴァ・アアルトの建築とデザインの本質と魅力を見つめ直し、またそこに新たな価値と創造性を見出そうとするもの。2019年12月から東京のギャラリーエークワッド、2020年6月より神戸の竹中大工道具館にて開催した先行企画に新たな内容を加え、さらに長年遺族のもとで保管されてきた初公開資料なども紹介している。

展覧会のみどころ

アルヴァ・アアルト、41 アームチェア パイミオ、1932年デザイン Photo: Tiina Ekosaari Alvar Aalto Foundation
アイノ・アアルト、ボルゲブリック・シリーズ、1932年デザイン Alvar Aalto Foundation

Q:アアルト建築は、「二人のアアルト」によってかたちづくられた?!
フィンランドが生んだ建築界の巨匠、アルヴァ・アアルト。その最初の妻・アイノの存在に注目して開催する、国内初の展覧会。

デザイナーであり、ビジネスパーソンでもあったアイノ。その現代的・先駆的な女性像と、ファミリー像。
夫・アルヴァと対等な関係でアアルト事務所を牽引し、現在も続くアルテック社の初代、アート・ディレクターを務め、自身も建築家・デザイナーとして活躍したアイノ・アアルト。家庭と普段の生活を愛する、二人の子どもの母親でもあった。生活に根ざしたその視点こそが、アアルト建築のエッセンスを形成したといえる。

初公開となる貴重な資料も
展覧会はフィンランドのアルヴァ・アアルト財団と、遺族によるファミリー・コレクションの全面的な協力により実現。家族の写真やプライベートなスケッチなどによるファミリー・コレクションは日本初公開。

アアルトハウス リビングルーム Alvar Aalto Foundation

実は、小誌「Discover Japan」が生まれたきっかけも、北欧デザイン、北欧取材がきっけとなっている。日本建築から学び、また日本建築にも大きな影響を与えた二人のアアルトの軌跡を、この機会に砧公園の桜や新緑と合わせて、楽しんでみてはいかがだろうか。

アイノとアルヴァ 二人のアアルト フィンランド―建築・デザインの神話
Aino and Alvar Aalto: Shared Visions

開催期間|2021年3月20 日(土・祝)~6月20日(日)(80日間)
開館時間|10:00~18:00(入場は17:30まで)
休館日|毎週月曜 ただし5月3日(月・祝)は開館、5月6日(木)休館
会場|世田谷美術館 1階展示室
住所|東京都世田谷区砧公園1-2
Tel|03-3415-6011(代表)
展覧会の案内|050-5541-8600(ハローダイヤル)
観覧料|一般1200円、65歳以上1000円、大高生800円、中小生500円
日時指定予約制
https://www.e-tix.jp/setagayaartmuseum/
※詳細は世田谷美術館ホームページ参照
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/


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