TRADITION

現代に受け継がれる贈答のルーツとは?
|贈り方の基本

2020.12.29
現代に受け継がれる贈答のルーツとは?<br><small>|贈り方の基本</small>

単なる物と物のやりとりではなく“こころ”を“かたち”にして表すのが、ニッポンにおける贈り物。神饌(しんせん)が起源とされる「贈答」の精神性、そして今日に役立つ美しい贈り方を、小笠原流礼法の宗家に聞きました。今回は日本における「贈答の起源」について探ります。

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小笠原流礼法とは?
鎌倉、室町幕府の公式礼法の礎をつくり、将軍家以外にはその神髄を明かすことを禁じられた「一子相伝」を旨とした礼法。江戸時代以降、町方の求めにより一般にも広がり、現在は「こころ」に重点を置く礼法の普及活動に尽力する。

教えてくれた人
小笠原 敬承斎(おがさわら・けいしょうさい)
東京都生まれ。小笠原忠統前宗家(小笠原惣領家32世)の実姉・小笠原日映門跡の真孫。聖心女子専門学校卒業。英国留学の後、副宗家を経て、平成8年に小笠原流礼法宗家に就任。礼法の普及のため、各地で指導・講演、執筆活動を行っている
https://www.ogasawararyu-reihou.com

神への祈りと感謝の意味、
人をつなぐ役目を果たす。

古の人々が感謝の気持ちを込めて神様へ贈った供物が、日本における贈答のルーツといわれている。写真は、賀茂別雷神社の庭積神饌

贈答のルーツは、神様への供物だったと考えられている。

「農耕民族である日本人にとって、天候などによる災害や凶作は、命にかかわる深刻な問題でした。天災を少しでも避けて五穀豊穣を神に祈る気持ちから、供物をささげたことが贈答の起源といわれています」と小笠原さん。

また、収穫された穀物や果実、これを原料としてつくった酒など「神饌」と呼ばれた供物は、神へささげたあとに、その場に同席した人々で分け合って飲食した。これを「直会」と呼ぶ。

「直会では、神様への感謝の気持ちを周りの人と分かち合うことで、神との距離だけでなく、地縁・血縁をより固い絆にすることを願ったのです。自然への畏怖と神への祈り、さらには無事であることの感謝を周りの人々とともに喜び合う──。これが贈答のルーツとこころです」

時代が江戸に下って、このような贈答のこころは庶民の間で「おすそ分け」として広まっていった。たとえば、料理をたくさんつくったからとおすそ分けされたうつわに、心ばかりの物を入れてお返しをするという風習は、相互の縁が途絶えてしまわないように、という心遣いから生まれたのだ。

「お返しは、『おうつり』『おため』と呼ばれる懐紙、半紙、付木など。かまどを炊くときに使える生活に密着したものでした。些細な品でも交流の役目を担ったのが贈答です」

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text : Tomoko Honma photo : Atsushi Yamahira
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