TRADITION

知られざる「贈る」ストーリー集
|贈り方の基本|

2021.1.1
知られざる「贈る」ストーリー集<br><small>|贈り方の基本|</small>

常識として浸透している、贈り方にまつわるあれこれ。そのルーツをひも解くとユニークな事実が見えてきました。知れば誰かに話したくなる、贈り方にまつわる物語を紹介します。

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教えてくれた人
小笠原 敬承斎(おがさわら・けいしょうさい)
東京都生まれ。小笠原忠統前宗家(小笠原惣領家32世)の実姉・小笠原日映門跡の真孫。聖心女子専門学校卒業。英国留学の後、副宗家を経て、平成8年に小笠原流礼法宗家に就任。礼法の普及のため、各地で指導・講演、執筆活動を行っている
https://www.ogasawararyu-reihou.com

初物は収穫したうちの“数割だけ”を献上した!?

小笠原流では「初物のナスが献上された際、10個あるうちの3個のみを将軍のお目にかけた」ということが伝えられている。“初物”は、希少価値があるからこそ贈答品として意味がある。だからこそ10個すべてを贈るのは本末転倒。また、数量を多く贈ることで相手に負担になってはいけない。自己満足で贈り物はしてはならないのである。

引き出物のルーツは、“馬を贈る”習慣にありました

結婚式などで主人から招待客に贈る「引き出物」。室町時代には「あばれ馬」も引き出物のひとつだった。一般的に扱いにくい「あばれ馬」は嫌われるものだが、武家では戦時に役立つものとして、あえて贈答品で贈ることもあったそう。そもそもは、お客さまのために馬を庭先に“引き出した”ことが「引き出物」の名前の由来となっている。

還暦祝いに贈るのが“赤いちゃんちゃんこ”のワケ

生まれた年の干支がひとめぐりして、暦が元に戻る年齢を「還暦」と呼ぶ。“人生50年”といわれた昔は、60歳まで生きながらえたこと自体が喜ばしいことで、この世に誕生したばかりの赤ちゃんのように、新しい暦を生きるという意味で「赤い衣」を贈る風習が生まれた。現在では、ちゃんちゃんこに限らず赤色の物を贈るケースも増えている。

text : Tomoko Honma photo : Atsushi Yamahira
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