TRADITION

贈答の心得を学ぶ。
|贈り方の基本

2021.1.1
贈答の心得を学ぶ。<br><small>|贈り方の基本</small>

小笠原流礼法宗家の小笠原敬承斎さんから「贈答」について学ぶ本連載。ここまで贈答のルーツや作法を教えていただきましたが、実際に、贈答をする際に気をつけたいことは?贈答時の心得を7つまとめました。

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教えてくれた人
小笠原 敬承斎(おがさわら・けいしょうさい)
東京都生まれ。小笠原忠統前宗家(小笠原惣領家32世)の実姉・小笠原日映門跡の真孫。聖心女子専門学校卒業。英国留学の後、副宗家を経て、平成8年に小笠原流礼法宗家に就任。礼法の普及のため、各地で指導・講演、執筆活動を行っている
https://www.ogasawararyu-reihou.com

1.日々の暮らしの中に、贈り物の“ヒント”があります

何を贈ったらよいかわからない……という悩みをもつ人も多いはず。しかし、贈り物のヒントは日々の暮らしの中に必ずある。贈る相手との普段の会話の中から、家族構成や好きなものなどリサーチのアンテナを張っておくことが大切。日頃からの心持ちが「贈り上手」になるコツなのだ。

2.“NG”を知った上で、アレンジを加えましょう

生活様式や考え方が変化している現代では、これまで贈答では非常識とされてきたことも受け入れられるようになっている。たとえば、長期入院がわかっている人のお見舞いに、通常は「根を張る」につながることから避ける「鉢植えの花を贈る」など。しかし、気にする人がいるのも事実。NGを知ることは大切。

3.“手渡し”こそが、最上のお礼の方法です

宅配便や郵便など、ものを届ける方法はさまざま。どんなに遠くに住んでいる人にも、翌日、翌々日には品物を届けることができる流通の発達は歓迎すべきことだ。しかし、本当に感謝の気持ちを伝えたい相手には、手渡しが最上の方法なのは変わらない。長居はせずにほどよい距離を保ち玄関先で失礼することも忘れずに。

4.“季節感”を添えた、ワンランク上の贈り物を

日本人には四季を愛でるという美しい風習がある。「六日の菖蒲(アヤメ)、十日の菊」といわれるように、1日でも遅れた花は縁起のうえでは好ましくないとされる。また、仮に贈答品が定番のお菓子だった場合も、そこに季節の移ろいが感じられる草花や木を添えると、日本人らしい贈り物になる。

5. ×「つまらないものですが」 ○「“心ばかりの品”ですが」

相手に贈答品を渡す時の常套句として「つまらないものですが……」と言いがち。しかし“つまらないもの”を贈るのもおかしな話だ。謙遜は日本人らしい美徳だからこそ、「心ばかりの品ですが」や「お口に合うかわかりませんが」などと、卑下し過ぎない言葉を添えるのがスマートだ。

6.“ふろしき”と“紙袋”の正しい使い方

贈り物を渡す際、紙袋のままわたすのはマナー違反。袋から出して渡すのが心得だ。しかし、その場で開かず持ち帰ってもらいたいものなどの場合は、紙袋をたたんで添えておくのも気遣いといえる。また、ふろしきに包み、それをほどいて渡すのが本来のマナーであることも覚えておきたい。

7.“お返し”の作法とは?

いただきものをした際のお返しは、相手が上司の場合は同額程度のものでは失礼か? とか、部下の場合は、特にお返しする必要性はないのか? などと悩んでしまいがち。それぞれ相手との距離感によって作法は変わる。「決まり」はないので、相手との関係性を思いやり、自分にとってのベストを探そう。

 

知られざる「贈る」ストーリー集
 
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text : Tomoko Honma photo : Atsushi Yamahira
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