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多彩なジビエに驚く「Restaurant UOZEN」
美食を求めてローカルへ旅をする。

2020.8.19
多彩なジビエに驚く「Restaurant UOZEN」<br>美食を求めてローカルへ旅をする。
真鴨、魚沼産蕎麦粉のガレット/赤ワインとスパイスに漬けた真鴨を薪焼きにし、魚沼産蕎麦粉のガレットで巻いていただく一皿。「ピュレがビーツと黒にんにくの珍しい組み合わせで、甘みの相性が抜群」

美食を追い求める各界の著名人が語る“わざわざいきたい店”への思い。今回は、世界中を旅して国内外のメディアで食や旅の情報を発信する浜田岳文さんが、新潟県三条市の里山にある「Restaurant UOZEN」を紹介します。

浜田岳文(はまだ・たけふみ)
兵庫県生まれ。米国・イェール大学卒業。外資系投資銀行、投資ファンドなどを経てアクセス・オール・エリアを設立。大学在学時に世界中で食べ歩きをはじめ、南極から北朝鮮まで世界約120カ国を踏破した世界が認めるフーディー。

素材を昇華させる、日本随一の店。

毎年、一年のうち約5カ月を海外で過ごし、残りは日本にいるのですが、2カ月くらいは地方へ食の旅に出ています。国内でも海外でも、旅に私が求めているのは、そのレストランにしかない料理。シンプルにいえば、現地でしか手に入らない食材を、技術力とクリエイティビティの高いシェフが調理した料理を目指して行くことが大半です。中でもここ一年は、地方で頑張っている比較的若い世代の、西洋料理の料理人に注目しています。というのも、地方で素晴らしいお店はいろいろありますが、圧倒的に和食店が多い。もちろん和食も大好きですが、地元の人が西洋料理を食べに行くのはハレの日がほとんどで、昔は地方でとがったお店を続けるのが難しかった。それがここ5年くらいでSNSが発達し、地方の食のリテラシーが上がったこともあって、意欲的なレストランが増え、都市部からも食べ手が訪れるようになりました。そういったお店が成り立つ状況にならないと、日本の食シーンは広がらないと思っているので、地方の若い料理人を応援しています。

新潟県三条市の里山にある「UOZEN」もそのひとつで、関西を代表する食の評論家、門上武司さんに教えていただいて昨年訪れました。ここがすごいのは、オーナーシェフの井上和洋さんが漁師でありハンターでもあること。食肉処理業の許可も取られているので、ご自身で解体されています。いまでこそ日本でもジビエを提供するお店は増えていますが、自分で捕った野生鳥獣肉を適切に解体して調理する人はほとんどいない上に、佐渡の海に行って魚も釣る。そこまでするお店は恐らく日本で唯一だと思います。

食材自体もすごくよいのですが、ご自身で捕られているからこそ深い知識と理解があり、最良の状態にまでコントロールしていて、ひとつのコースに多彩なジビエがちりばめられている。12月に訪れたときは真鴨や子鴨、本州鹿、猪、月輪熊、なかなか食べられない熊のロニョン(腎臓)まで出てきて驚きました。

なおかつ、その素材をシンプルにありのまま提供するのではなく、ポテンシャルを引き出した上で独創的なひと皿に昇華させている。たとえばシグネチャーのボタン海老は、そのまま塩を振るだけでも美味しいですが、海老のジュレとルイユソースと合わせることで、口の中で旨みが重層的に広がる。ほかにも真鴨のもも肉をコンフィしたクロケットや、月輪熊の手と黒アワビのシヴェ(煮込み)など、10皿前後のコースの一皿ひと皿が素晴らしい。シェフといろいろお話をして解体場も拝見しましたが、食材にかける情熱がそのまま料理に表れています。わざわざここだけのために新潟に行く価値がある店なので、ぜひ体験してください。

佐渡産ボタン海老のブイヤベース仕立て/濃厚な海老のコンソメでコーティングした佐渡産のボタン海老にニンニク風味のマヨネーズソース・ルイユとハーブをドット状に散らした、目にも麗しいシグネチャーディッシュ

Restaurant UOZEN
狩猟や漁などを通して新潟の自然を革新的な料理で表現。ランチ4700〜1万1000円、ジビエ主体1万5000円。

住所|新潟県三条市東大崎1-10-69-8
Tel|0256-38-4179
営業時間|11:30〜15:00(13:00L.O.)、
17:30〜22:00(最終入店〜20:00、日曜、祝日〜22:00)
定休日|月曜、不定休

宿泊先は、UOZENから車で約1時間半の距離にある南魚沼市の「里山十帖」がおすすめです。ここは雑誌『自遊人』が運営する施設で、ミッドセンチュリー調の趣深いしつらえや、冬は銀世界の中で入る露天風呂、地元の食材にこだわった食事など、この場所ならではの価値が体感できる日本を代表する宿のひとつです。その道中にある「欅苑」にも寄ってほしい。明治に建てられた日本家屋で南魚沼の郷土料理が食べられるお店で、さざまなな調理法で供される山菜が素晴らしい。これからの夏の時期は、囲炉裏でじっくり焼き上げるアユが最高です。UOZENとは料理のベクトルが異なるので、日を分けて行けば新潟の食の魅力がコントラストで楽しめますよ。

里山十帖
日本有数の絶景露天風呂や現代アートを配した空間、自然の魅力を凝縮した食で特別な時間が“体感”できる宿。
住所|新潟県南魚沼市大沢1209-6
Tel|025-783-6777
料金|1泊2食付2万6600円〜(税別・サ込) 13室

欅苑
茅葺き屋根の歴史深い古民家で春は山菜、夏は天然アユ、秋はきのこ、冬は根菜など魚沼の郷土料理が堪能できる。
住所|新潟県南魚沼市長森24
Tel|025-775-2419(要予約)
営業時間|11:30〜13:00(最終入店〜13:00)、17:00〜21:30(最終入店〜19:30)
定休日|不定休

1泊2日のおすすめルートを紹介!
1日目

東京駅
↓ 新幹線 115 min.
燕三条駅
↓ 車 20 min.
Restaurant UOZEN
↓ 車 95 min.
里山十帖

2日目
里山十帖
↓ 車 35 min.
欅苑
↓ 車 35 min.
越後湯沢駅
↓ 新幹線 90 min.
東京駅

いま、未曾有のパンデミックの影響で各地のレストランが大変な状況に陥っています。世界に名高いお店でも、営業を続けるために不本意なかたちで再開していたりする。その中で、我々が求めているシェフの自己表現としての料理を取り戻せるように、微力ですがこれからも食の旅は続けていきたいですね。

text=Ryosuke Fujitani illustration=Honoka Yoshimoto
2020年7・8月号 特集「この夏、どこ行く?ニッポンの旅計画108」


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