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羽田空港の「場」を活用し、
日本の魅力を発信。

2020.1.10
羽田空港の「場」を活用し、<br>日本の魅力を発信。

世界有数の規模を誇る羽田空港がもつ可能性を、羽田未来総合研究所とともに探る連載《HANEDAの未来》。第1回目は、代表の大西洋さんにビジョンをうかがう。

羽田未来総合研究所
代表取締役社長
大西 洋さん
三越伊勢丹ホールディングス代表取締役社長を経て、日本空港ビルデング副社長に就任。2018年7月、新事業展開や羽田空港の立地を生かした新規事業創造を目的として設立した羽田未来総合研究所の代表取締役社長を務める。

 

——羽田未来総合研究所(以下、羽田未来総研)設立の経緯について教えてください。

大西 2017年の羽田の空港旅客数は8500万人を超えました。これは国内では1番、世界でも4番目に多い旅客数です。国内線は48路線、コードシェア便を除き一日に約497便、国際線は30都市33路線、一日に約118便が出発しています。2018年の訪日外国人数は3000万人を超えました。

そんな中で立ち上げたのが羽田未来総研です。羽田空港では、「場」を活用した新たな価値の創造が必要だと考えています。そのため羽田未来総研では大きなテーマとして、「地方創生」への寄与と、「文化発信」を揚げました。

地域産品や工芸品など、日本ならではの素晴らしいものがあっても、後継者や資金の不足を理由に廃れてしまう、または世の中に知られていないという現状があります。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される2020年に向けて国が掲げる目標は、訪日外国人数4000万人。これに向けて東京に集中して開発が進んでいますが、そんなときこそ、本当の意味で国力の基盤となるべき地方に力を入れなくてはいけないのではないかと考えています。

また、免税店で人気のお土産といえば化粧品やお菓子ですが、海外から多くの人々がせっかく日本に来てくださるのですから、日本ならではのもの、それも本物を伝えるプレゼンテーションの場をつくりたいと思っています。

本物をお土産として購入し、それにまつわるストーリーとともに持ち帰っていただく。それが〝どこでつくっているんだろう〟そして〝その場所へ行ってみたい〟という想いを生み、再来日や、地方へ足を運ぶきっかけになることで、地方創生にもつながると考えています。

——具体的にはどのようなアプローチを考えていますか。

大西 ありがたいことに、地方自治体などから観光戦略、まちおこしのためのブランディング、地方再生のモデリングをはじめ、さまざまなお話をすでにいただき、動き出しています。地方とのつながりを大切に、要望に合わせたかたちでお手伝いをすることで、地方創生に寄与したいと思っています。

モノを売るという点では、いまはリアルからオンラインへということがいわれますが、そうはいってもリアル7割、オンライン3割のあたりに落ち着くのではないでしょうか。ただ、いままでと同じでは売れないでしょう。ではどう売るか。

野菜や果物のように、つくり手の想いをプロダクトにインプットする必要があると考えています。単にメイド・イン・ジャパンではなく、たとえばファッションであれば、どこの工場で、どういう人が縫製したものなのか。つくり手の顔が見えて、その想いをいかに伝えるかが重要になっていくと考えます。

こうしたことを実現するためにも、海外客に対し、地方や工芸品などのインフォメーションをデジタル化したものでいかに伝えるかということを考えていかなくてはなりません。

昨年夏には、地方を紹介するウェブサイト「Flying Visit Japan」を立ち上げました。ここに自分たちがもっているノウハウを集約してコンテンツを充実させ、最終的にはeコマースにつなげたいと考えています。

先端産業拠点・クールジャパン発信拠点となる羽田空港跡地第1ゾーンが、2020年にまち開き(先行施設開業)、2022年にグランドオープンします。これほどのプロジェクトはもはやまちづくりでもありますから、羽田未来総研としては、商業施設の部分はもちろん、羽田空港を含めた一帯の環境づくりという点からも携わっていきたいと考えています。

〝日本の羽田〟から〝世界のHANEDA〟へ。ターミナルの環境空間を整えるところから、地域産品や芸術・文化の情報発信、地方創生まで、日本ブランドの価値向上の一翼を担っていきたいと考えています。


文=成田美友 イラスト=yune
2019年3月号 特集「暮しが仕事。仕事が暮し。」

 

《HANEDAの未来》
1|羽田空港の「場」を活用し、日本の魅力を発信
2|アートによる魅力づくり&環境づくり
3|職人の複製技術を活用し、文化財の魅力を世界へ
4|日本の豊かなものづくりを空港で魅せる
5|地域が誇れる酒を安定して供給する使命
6|瀬戸内国際芸術祭でアートの本質を再発見
7|伝統工芸の技法をファッションの世界へ
8|丹後本来の魅力は人々の暮らしの中に
9|発酵なくしてラーメンなし!
10|デザインとしての家紋が新しい価値をつくる

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