宮城県加美町
ニットブランド《白田のカシミヤ》
手しごとで編む、カシミヤのニット
宮城県加美町にある、〈白田のカシミヤ〉を製造するシラタは手横編み機によって一枚一枚、職人が手横編み機と手動のリンキング縫製機で仕上げる、日本でも数少ないニットメーカー。古き良き職人の技術でつくられた、手しごとの深みを感じられる“ニット”とは……。
〈白田のカシミヤ〉の
これまで、これから。
創業は1993年。当時のシラタは輸入によるカシミヤ専門店だった。現2代目 白田孝(しらた・たかし)さんがシラタに入社する以前、6年間修業したニット工場が閉業することになり、その工場を引き継がないかと打診があったそうだ。
その工場は、日本でも数少ない手横編み機によって一枚一枚、手しごとでニットを製造する工場。白田さんは、「優れた職人にしかできないニット製造の技術を残したい」、「何より、手しごとの深みあるカシミヤニットの魅力を伝えたい」と想いから、2007年に工場を引き継ぎ、製造を内製化させた。
2011年の東日本大震災以降は下請製造を一転させ、自社での一貫生産・販売を行う、自社ブランド〈白田のカシミヤ〉を立ち上げた。春夏は〈白田のコットン〉、〈白田のリネン〉、秋冬は〈白田のカシミヤ〉として、季節に合わせた素材で生産している。
「手しごと」の手横編み機にこだわる理由。
〈白田のカシミヤ〉、〈白田のリネン〉、〈白田のコットン〉で使用している手横編み機は、機械ではあるものの目の増減、柄、糸の配色、編む作業はすべて手作業で行っている。電動の自動編み機に比べ、編み目も均一で美しく、やわらかな質感を生み出せることが最大の魅力。
編み手の技術次第で編み上がりも変わる。編み目をぎゅっと詰まらせて編む「度詰(どづめ)」は、ずっしりと重みのある編み地になり、秋冬の寒い季節には暖かさを与えてくれる。編み目をゆるく編む「度甘(どあま)」は、ふんわりと軽やかな編み地で気軽に着られる。幅広い表情の編み地は、着心地も全然違うのだ。
ニットができるまで。
ニットづくりの工程は、大別して「編み」、「縫製」、「二次加工」の3つ。編み上がったパーツを専用の機器「リンキング機」で縫製し、糸の始末をしたら毛織物専門の洗いをかけて風合いを出す「縮絨(しゅくじゅう)」へ。ボタンやブランドネームなどを付ける二次加工の後、検品、アイロン掛けなどを経てようやく完成。
手横編み機は稼働の際に電力を使わずに、昔ながらの職人の技術でカシミヤの肌触りの良さを生かした風合いに編み上げる。縫製は、ミシンで布地を縫うのとは違い、剣山のような細かい針に編み目一つ一つを入れ込み、糸を通してつなぎ合わせる、とても細かい作業だ。
「カシミヤを日常的な服に。」をコンセプトに特別な場所で着るだけではなく普段から着られる、〈白田のカシミヤ〉ニットを紹介しよう。
「ラウンドカーディガン」
ボタンを全部留めてプルオーバーのように着用したり、シャツやインナーの上に羽織ってみたりと大活躍しそうなアイテム。写真向かって、左下のボーダーのアップリケが、シンプルなカーディガンのアクセントに。カシミヤなのにカジュアルにも着こなせそうな雰囲気が魅力。
サイズ|36/38/40 価格|5万2800円
サイズ|42/44 価格|5万5000円
カラー|ペールラベンダー、シュイロ、グレープフルーツ、ブルーグリーン、ボルドー、ブラック
「カーディガン・ポケット付き(7G)」
ラグランスリーブで肩回りもゆとりのある着心地、重ね着をしても腕回りがごわつかず、サッと着脱できる。7ゲージで編み上げたふっくら柔らかな風合い、ゆったりとした身巾とやや長めの着丈に仕上げたリラクシーなシルエット。左右の見頃下のポケットもポイント。
サイズ|36/38/40 価格|7万400円
サイズ|42/44 価格|7万4800円
サイズ|46 価格|7万9200円
カラー|ブルーグリーン、ボルドー、ブラック
「タートルネックプルオーバー(度詰)」
度詰(どづめ)*のシンプルなタートルネックのニット。カシミヤ100%のなめらかな肌触りで、心地よい着心地。編み目がしっかり詰んでいて型くずれしにくい製品に仕上がり、着用するうちに柔らかくしなやかな風合いが増す。
サイズ|36/38/40 価格|7万9200円
サイズ|42/44 価格|8万3600円
サイズ|46 価格|8万9100円
カラー|ペールラベンダー、シュイロ、グレープフルーツ、ブルーグリーン、ボルドー、ブラック
※度詰(どづめ)・・・編む際の目の間隔を詰めて編み上げられたという意味
※すべて税込
そのほかにもリラックスムード漂うドルマンカーディガンやストール、バイカラーのマフラーなど季節にあったアイテムを豊富に展開している。
また、シラタの若手職人が、「畦編み(あぜあみ)」を生かして厚みと弾力のある、温かみを感じるニットブランド「tsunagu(サンアギュー)」が、2021年9月に誕生。やさしい日の光と、水の音に満たされて、自然に囲まれた工房で、ノスタルジーな感覚と昔ながらの手しごとで生み出されるニット、人と人とのつながりがいつまでも続くよう、願いが込められたブランド。
職人が伝統の製法で丁寧に編み込んだ〈白田のカシミヤ〉のニットはどれも、素材感が伝わるふんわりとした気持ちのよい触り心地だ。
白田のカシミヤ
http://shirata-cashmere.jp/
オンラインショップ
https://shop.shirata-cashmere.jp/