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レストラン《JIMGU》で味わう
“その日の畑が決める料理”
世界の美食家を魅了する、
大分・湯布院の循環型オーベルジュへ。②

2023.11.8
レストラン《JIMGU》で味わう<br>“その日の畑が決める料理”<br><small>世界の美食家を魅了する、<br>大分・湯布院の循環型オーベルジュへ。②</small>

旅のスタイルの多様化とローカルへの注目度で年々人気が高まっているオーベルジュ。その中で、2023年6月に大分・湯布院で産声を上げ、圧倒的な食材へのこだわりと至福の滞在体験で美食家を虜にしている唯一無二の“循環型オーベルジュ”「ENOWA YUFUIN」を訪れた。
 
今回は、メニューありきではない、その日の畑の状況に応じてアレンジする料理の数々をお見せする。

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その日の畑が決める料理、すべて見せます。

アペリティフを楽しんだ後、移動したレストラン「JIMGU」のテーブルでは、その日収穫した野菜やハーブのブーケが迎えてくれた。
 
「決まったレシピはありません。毎朝ファームへ足を運び、色や感触、味のコンディションを見てアレンジします」
 
メニューありきではなく、すべての料理はファームが決める。セオリーのサイズではなく、たとえ新芽の状態でも旨みや香りがピークに達していれば収穫し、生産地からテーブルへ最速の鮮度で美味しさを届ける〝FARM-DRIVEN〟が、タシさんの哲学だ。
 
ひと口いただくだけで濃厚な味わいがほとばしるアスパラガス、同じトマトをセミドライ・ピクルス・コンフィと調理法を変えて合わせ、異なる食感で旨みを凝縮させたタルタルなど、みずみずしい素材の生命力と、創造性豊かな組み合わせで表現された料理は驚きと発見、そして未体験の美味に満ちている。ハイライトは、シグネチャーであるブーケだ。ガーデンの素材を見た後にいただく経験は格別なことこの上なく、風土への気づきを与えてくれる。その一皿ひと皿の料理に合わせて厳選された世界のワインと日本酒のペアリングを楽しめば、心が自然に歓喜していく。

<1〜3品目>
野菜のディップ/野菜のタルト/チップス×湯布院の新茶
前菜のアペリティフは3皿。緑の野菜のディップが驚くほど濃厚。タルトはニンジンと爽やかな発酵アスパラガスの2種。チップスはバタフライピー、オクラの花、セリと発酵ラディッシュ、小海老などの天ぷらと3種の自家製サラミ、ビーツのブリニとともに
<4品目>
チェリートマトとチェリー×安心院 スパークリング ロゼ
ファームで採れた数種類のチェリートマトは、異なる食感や甘み、酸味が楽しめるひと皿に仕立てた。合わせるのは、大分の安心院スパークリングワインのロゼ
<5品目>
3種類のキュウリ×甲州 鳥居平畑
夏すずみ、鈴成四葉、ラリーノホワイトの3種のキュウリは、それぞれ異なるカッティングを施し、食感や味わいの違いがユニーク。同じウリ科のメロンとともにいただく
<6品目>
トマトのタルタル×ARNOT-ROBERTS 2021
同じトマトをフレッシュ、ロースト、セミドライに仕立て、同じ大きさでカットして和えたタルタルは旨みが凝縮。ビーツのソースでENOWAのロゴが描かれている
<7品目>
ナスのロースト×せんきん 麗(うらら)2023
皮ごとローストしたナスは、口の中でとろけるエアリーな食感。自家製ベーコンのジャムとチェダーチーズの泡の塩味は、「せんきん 麗」の華やかな酸味で爽快な余韻に
<8品目>
ファームで採れた5種類のジャガイモ×鷹来屋 特別純米
珍しいシャドークイーンとデストロイヤー、インカのめざめ、メークイン、ノーザンルビーの5種をローストやマッシュなど異なる調理法で。ソースは香草とハマグリの2種
<9品目>
ブーケ×Mullineux OLD VINES WHITE 2021
着席時にあったブーケが華やかなひと皿に。この日はアスパラガスやヤングコーン、ケール、ほうれん草。リンゴを煮詰めてバターと合わせたアップルバターソースでいただく
<10品目>
トウモロコシのラビオリ×PIEROPAN La Rocca 2021
ハーブやナスタチウムの花を練り込んだ生地にトウモロコシを包み、自家製リコッタチーズのソースと、香り高いオーストラリア産のトリュフを合わせたひと皿
<11品目>
スイカのガスパチョ
箸休めとなる11品目は、スイカをベースに、トマト、パプリカ、キュウリと合わせたガスパチョ。パウダーにした同じ野菜、ハーブと一緒に回しながらいただく
<12品目>
タイのソテー×Antoine Arena PATRIMONIO 2020
シンプルに炭火で焼いた鯛は、青トマトのスライス、間引きメロンのスライスとともに。濃厚な魚のエキスと、リンゴとハーブのソースとのコントラストがユニーク
<13品目>
豊後しゃも×EL REVENTÓN VINO DEPARCELA 2018
大分特産の豊後しゃもをモモ肉とムネ肉のローストでいただく。出汁や内臓を煮詰めたソースが旨みを引き立てる。トマトの皮で包んだラタトゥイユとともに楽しみたい
<14品目>
焼き野菜×d’Arenberg NOSTALGIA Rare Tawny
オーブンで焼いたフリルレタスとヤングコーン、リンゴを、香ばしい3種のナッツソース、青野菜ソース、ピスタチオソースでいただく。ハーブや花を散らして彩り鮮やかに
<15品目>
枝豆とビール
ビールのアイスと、それぞれチュイル・キャラメリゼ・ようかんに仕立てた枝豆を合わせ、日本定番の組み合わせをデザートで表現した、遊び心あふれるひと皿
<16品目>
大葉とケールのデザート
2皿目のデザートは、ケールとほうれん草入りの、大葉のプリン。レース仕立てのチュイル、エスプーマ、発酵アイスなど、ひとつの素材をさまざまな調理法で楽しむ
<17品目>
焼き菓子
コーヒーか紅茶と一緒にいただくひと口サイズのケーキは、豆とアオサ海苔のチップス・ジャム、グミの実のセミフレッド、グレープフルーツのオランジェット

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《ENOWA YUFUIN》が
湯布院生まれの食材だけを使う理由

 
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text: Ryosuke Fujitani photo: Sadaho Naito
取材協力=九州観光機構

Discover Japan 2023年10月号「私を癒す15の旅。」

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