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長崎県《HIROPPA/ひろっぱ》
地域への恩返しから生まれた波佐見焼のテーマパーク

2022.9.7
長崎県《HIROPPA/ひろっぱ》<br>地域への恩返しから生まれた波佐見焼のテーマパーク

西九州新幹線「かもめ」の開業に伴い、地域に根ざして魅力あるまちづくりをする人々を応援するべく発足した、西九州観光まちづくりアワード
特別賞を受賞した「HIROPPA」は、波佐見焼の未来と周囲の子どもたちのためにつくった私設公園が、観光拠点にもなった事例。審査委員が絶賛した、仕掛け人自らが楽しみ、産地を巻き込みながらものづくりを続ける姿勢とは?

波佐見焼の進化系。
伝統にとらわれない馬場ワールド

公園を訪れた審査員たち。中央がマルヒロ代表・馬場匡平さん

風が抜ける緑いっぱいの公園に、波佐見焼を販売するショップとカフェを併設したHIROPPA。この気持ちのいい空間を手掛けたのは、波佐見焼商社「マルヒロ」代表の馬場匡平さんだ。

マルヒロは分業制でつくられる波佐見焼の中で、商品開発をするプロデューサー的な役割と、出来上がった商品を流通させる商社の役割を担う。馬場さんが家業を継いだ頃は経営が危機的な状況だったが、スタッキングできるブロックマグなど機能的なデザインが特徴の「HASAMI」ブランドを開発し、起死回生の大ヒットに。その後も伝統産業と自身の感性を掛け合わせた唯一無二の作品を展開し、波佐見焼の価値向上に貢献し続けている。

「実家に戻った頃、僕は焼物の知識が皆無でした。でも生産工程を担当していた父の同級生が基礎から教えてくれ、経験が浅い僕のブランドづくりを手伝ってくれました。そのとき、『わい(お前)のじいちゃんや父ちゃんに恩があるから、わいに返す。わいも次の世代に返せ』と言ってくれ、自分なりにどう返していくかを考えるようになりました。そもそもまちが残らなければ産業は残りません。焼物はもちろん波佐見のまち自体に興味をもって足を運んでもらうために何をしたらいいか。これからは、HIROPPAのような誰もが集える場づくりにも力を入れていきたいと思っています」

公園のアクセントになっている「さんかくのだんだんへこみ」。座って話をしたり、ランチを食べたり、自由に使える。審査委員のリラックスした様子からも居心地のよさが伝わる
HIROPPAの一画にある、砂の代わりに焼物の破片を細かく砕き敷き詰めた「やきものビーチ」。水をためる夏季はじゃぶじゃぶ池のように遊べるスポットに。素足でも安心

波佐見焼を通してつながった
アーティストとつくる公園

HASAMIの定番からアーティストとのコラボ作品まで馬場さんワールド全開の商品が並ぶ
店内と公園の境目のない気持ちいいエントランス
ショップスペース。HIROPPAは1200坪の土地を購入して整備。園内はバリアフリーで車椅子で一周できる。自身が父になったことも着手のきっかけに

HIROPPA周辺に
OUCHIとKOUBAも

倉庫とオフィスの機能を備える「KOUBA」はOUCHIの目の前で、陶器市なども予定。裏手にあるひまわり畑を含め今後の展開に期待が高まる
HIROPPAから歩いてすぐのところにある「OUCHI」
ポップアップショップやイベントを開催する場として活用。10月いっぱいまでかき氷店に
公園のルールは守ろう!

HIROPPA
住所|長崎県東彼杵郡波佐見町湯無田郷682
Tel|0956-37-8666
営業時間|10:00〜18:00
定休日|不定休
アクセス|車 西九州自動車道波佐見有田ICから約5分/電車 JR有田駅からタクシーで約10分

 

≫公式サイトはこちら

 

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2|佐賀県 嬉野茶時

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text: Akiko Yamamoto photo: Hiromasa Otsuka
2022年10月号「旅で、ととのう。」

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