長崎県東彼杵《Sorrisoriso 千綿第三瀬戸米倉庫》
“暮らし観光”のロールモデルがあるまちへ
西九州新幹線「かもめ」の開業に伴い、地域に根ざして魅力あるまちづくりをする人々を応援するべく発足した、西九州観光まちづくりアワード。
特別賞を受賞した森一峻さんは、集合型店舗「Sorrisoriso(ソリッソリッソ)千綿第三瀬戸米倉庫」やJR千綿駅(無人駅)でアトリエショップと駅の運営を兼務する場所をつくるなど、高齢化と人口減の課題を抱える東彼杵(そのぎ)町で、移住希望者をサポート。人を呼べる明確な強みのない地域で移住者を増やし、コミュニティを育んだ実績が評価を得て受賞。その取り組みとは?
個のチカラがまちの魅力を最大化する
「二流の都会ではなく、一流の田舎を目指す」。そうテーマを掲げ、長崎県東彼杵町のまちづくりの中心となって活躍しているのが、東彼杵ひとこともの公社代表の森一峻さんだ。地元出身で、東京に勤務後Uターンし、まちの過疎化を目の当たりに。地域を盛り上げるイベントを精力的に開催するも一過性ではなく持続的な取り組みが必要と考え、2015年に活動拠点となる集合型店舗「Sorrisoriso千綿第三瀬戸米倉庫」をオープン。開業を希望する自営業者のためにスペースを貸し出したり、空き物件を仲介するなど、東彼杵へ移住を希望する人たちのサポートをはじめた。森さんの故郷への想いと未来を見据えた活動は共感を呼んで人と人をつなぎ、わずか5年で20店以上が開業。いつしか大きなまちづくりの輪となった。現在は店舗として貸し出してくれる空き家が不足しているほどだという。
東彼杵を盛り上げるメンバーが増え多様化してきたことから、森さんは新たに「結(ゆい)」というコンセプトを掲げて活動を続ける。「東彼杵の歴史的な背景や産業は大事にしつつ、結という相互扶助の文化をどうつくり、次世代に残していくか。まちは一人ではつくれません。支え合うことが大きな力となり、強く魅力あるまちづくりにつながることを提唱していきたいと思います」
自営業者が増えることが
東彼杵のまちづくりのカギとなる
Sorrisoriso千綿第三瀬戸米倉庫
住所|長崎県東彼杵郡東彼杵町瀬戸郷1303-1
Tel|0957-20-1883
営業時間|10:00〜18:00
定休日|火・水曜
アクセス|車 長崎自動車道東そのぎICから約5分 電車 JR千綿駅から徒歩約15分
text: Akiko Yamamoto photo: Hiromasa Otsuka
2022年10月号「旅で、ととのう。」