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長崎県東彼杵《Sorrisoriso 千綿第三瀬戸米倉庫》
“暮らし観光”のロールモデルがあるまちへ

2022.9.7
長崎県東彼杵《Sorrisoriso 千綿第三瀬戸米倉庫》<br> “暮らし観光”のロールモデルがあるまちへ

西九州新幹線「かもめ」の開業に伴い、地域に根ざして魅力あるまちづくりをする人々を応援するべく発足した、西九州観光まちづくりアワード

特別賞を受賞した森一峻さんは、集合型店舗「Sorrisoriso(ソリッソリッソ)千綿第三瀬戸米倉庫」やJR千綿駅(無人駅)でアトリエショップと駅の運営を兼務する場所をつくるなど、高齢化と人口減の課題を抱える東彼杵(そのぎ)町で、移住希望者をサポート。人を呼べる明確な強みのない地域で移住者を増やし、コミュニティを育んだ実績が評価を得て受賞。その取り組みとは?

個のチカラがまちの魅力を最大化する

木造の駅舎入り口をくぐると、目の前には美しく穏やかな大村湾が広がっている

「二流の都会ではなく、一流の田舎を目指す」。そうテーマを掲げ、長崎県東彼杵町のまちづくりの中心となって活躍しているのが、東彼杵ひとこともの公社代表の森一峻さんだ。地元出身で、東京に勤務後Uターンし、まちの過疎化を目の当たりに。地域を盛り上げるイベントを精力的に開催するも一過性ではなく持続的な取り組みが必要と考え、2015年に活動拠点となる集合型店舗「Sorrisoriso千綿第三瀬戸米倉庫」をオープン。開業を希望する自営業者のためにスペースを貸し出したり、空き物件を仲介するなど、東彼杵へ移住を希望する人たちのサポートをはじめた。森さんの故郷への想いと未来を見据えた活動は共感を呼んで人と人をつなぎ、わずか5年で20店以上が開業。いつしか大きなまちづくりの輪となった。現在は店舗として貸し出してくれる空き家が不足しているほどだという。

東彼杵を盛り上げるメンバーが増え多様化してきたことから、森さんは新たに「結(ゆい)」というコンセプトを掲げて活動を続ける。「東彼杵の歴史的な背景や産業は大事にしつつ、結という相互扶助の文化をどうつくり、次世代に残していくか。まちは一人ではつくれません。支え合うことが大きな力となり、強く魅力あるまちづくりにつながることを提唱していきたいと思います」

東彼杵ひとこともの公社代表理事・森 一峻さん。東彼杵のまちづくりの中心人物。行政機関や企業、団体と協力してまちづくりを行う。森さんの活動内容やこれまでの経緯を含め東彼杵の「ひと」、「こと」、「もの」を「くじらの髭」というウェブサイトで発信

自営業者が増えることが
東彼杵のまちづくりのカギとなる

森さんは、取り壊しが決まっていた倉庫を活用したいと1年をかけて交渉し、清掃、説明会を経て、Sorrisorisoのオープンにこぎつけた。現在は茶葉のセレクトショップやカフェ、ワークショップなど体験型観光の交流拠点として賑わいを見せる。審査委員はその様子を現地で視察
Sorrisoriso内には、プロジェクトの初期メンバーが経営するコーヒースタンド「Tsubame Coffee」がある。「そのぎ茶」を使ったオリジナルドリンクやスイーツが人気。旅のひと休みに立ち寄りたい
Sorrisorisoは、開業を希望をする自営業者に対し、ポップアップショップのスペースの貸し出しも行っている。これまでにスパイスカレーやスイーツ店など多くの店舗がこのシステムを利用し開業に至った
地域住民だけでなく旅行客にありがたいコインランドリー、地元野菜も販売するカフェ、衣服のお直しを請け負う縫製場を併設した「uminoわ」。地域住民と旅行客を結ぶ新しい拠点として2022年にオープン
2022年春には、ミドリブの名で活動する花店がJR千綿駅(無人駅)の駅内にアトリエショップをオープン。駅の運営を兼務する新しいスタイル
東京、フランスのリヨンで腕を振るった宮副シェフが移住し、オープンしたフレンチレストラン「Little Leo」。 森さんが知人にSorrisoriso裏手にある自宅の活用を相談され、店舗として譲り受けることが決まった

Sorrisoriso千綿第三瀬戸米倉庫
住所|長崎県東彼杵郡東彼杵町瀬戸郷1303-1
Tel|0957-20-1883
営業時間|10:00〜18:00
定休日|火・水曜
アクセス|車 長崎自動車道東そのぎICから約5分 電車 JR千綿駅から徒歩約15分

 

≫公式サイトはこちら

 

はじめまして、西九州—ヒト・モノ・コトに出会う旅

1|西九州観光まちづくりアワードとは?

2|佐賀県 嬉野茶時

3|長崎県 タネト

4|佐賀県 ナカシマファーム

5|長崎県 HIROPPA

6|長崎県 Sorrisoriso

text: Akiko Yamamoto photo: Hiromasa Otsuka
2022年10月号「旅で、ととのう。」

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