TRADITION

ミュージシャン・レキシの愛する「縄文」

2018.8.28
ミュージシャン・レキシの愛する「縄文」

ミュージシャン・池田貴史さんによるソロプロジェクト「レキシ」。日本史をモチーフにした楽曲に魅了されたファンは年々増加し、ライブのチケットは入手困難。「縄文土器 弥生土器 どっちが好き?」という歌詞からはじまる『狩りから稲作へ』は、ライブの定番曲となっている。

想像を膨らませられる余白の広さが、縄文時代の魅力!

「歴史に興味をもつようになったのは小学生の頃。学研まんがの『日本の歴史』がきっかけです。そこから歴史をむさぼっていくうちに、どの時代も満遍なく愛でるようになりました」と池田さんは話す。

「僕は曲をつくってからのほうが、その時代を身近に感じられるんです。縄文時代もそう。『狩りから稲作へ』を書いて、がぜん惹かれていったんですよね。タイトルと最初のフレーズはできていて、そこから足軽先生(いとうせいこうさん)と一緒に歌詞を考えていきました。この曲は〝世の中は狩りから稲作へ移行しているのに、ある女性の旦那さんはいまだに狩りだけ〞というイメージから話を膨らませているんです。『ねぇ、みんなやってるよー、稲作』みたいな(笑)。男も『最近、獲物が捕れないな』って心ではわかっているんですよ。でもほら、男って頑固だから。とはいえ『こいつのためにも、そろそろ稲作かな』という葛藤があったりね。まぁ、ぜんぶ想像なんですけど。でも縄文時代の魅力って、そこなんですよ。文献が残っているわけでもなく、未知の部分が多いじゃないですか。自由に想像できる余白が広い。それが曲にもつながっているんです」

三内丸山遺跡でライブを行いました!

写真=田中聖太郎

そんな池田さんは2015年、「あおもり縄文大使」に任命された。同年には青森県内の三内丸山遺跡にて、ライブを開催している。

「三内丸山遺跡でライブをやりたいがために、レキシの活動をはじめたといっても過言ではないんです! あの、ちょっと自慢してもいいですか(笑)?僕ね、大使のご縁で、6本柱(大型掘立柱建物)に上らせてもらったんです。用途は諸説ありますけど、縄文人はこの柱で何をしていたんだろうって、考えちゃいますよね。その6本柱の前でライブができたなんて、本当にうれしかったなぁ。実はもうひとつうれしかったことがあって、遺跡の発掘調査も体験させてもらったんです。次から次へと土器が出てきて、とても貴重な経験でした。パートのお母さんたちも手練れてるんですよ。出土してパッと見た瞬間、『円筒土器ね』とかわかっちゃうんです」

縄文土器が弥生土器より古い時代の土器であることを日本ではじめて証明した橋牟礼川(はしむれがわ)遺跡にまつわる学者たちのエピソードは、池田さんの縄文愛を大いにくすぐったという。

「それまで縄文土器と弥生土器の違いは、使用した民族が違う説が有力だったそうなんです。学者さんそれぞれが自身の説を唱え、論争を展開し、土器を通じて縄文時代の研究が進んでいった。縄文時代に携わる人たちの背景、縄文時代が好きな現代人の思い、それらを含めて〝縄文〞なんですよ。なんかもうゾクゾクしちゃいますよね」

<Profile>
レキシ
「SUPER BUTTER DOG」、「100s」のメンバーとして活動を経て、2007 年より本人名義・池田貴史のソロプロジェクト「レキシ」の活動を開始。多数の豪華メンバーが「レキシネーム」で参加している。7月18日にニューシングル『S&G』が発売。

(text:Nao Omori photo: Kazuma Takigawa)
※この記事は2018年8月6日に発売したDiscover Japan9月号の記事を一部抜粋して掲載しています。


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