福島の生産者を応援するECサイト「シオクリビト」
“福島人”からの贈り物、はじまります。
“福島人”からの贈り物、はじまります。今秋、福島県商工会連合会とスマイルズによるECサイト「シオクリビト」がオープンする。“売り”はモノではなくヒト。そこから売り手と買い手の新しい“つながり”が生まれる。
生産者は品物、買い手はエールを届ける
福島県内の生産者を応援するＥＣサイト「シオクリビト」の“売り”はモノではなくヒト。各生産者のページには思い出や趣味、家族の話、仕事に対する考えなど、生産者の日常や人生を物語るエピソードが並ぶ。そして添えられる写真はすべて、使い捨てカメラ「写ルンです」で撮影したもの。
「同じような商品でも、つくっている人はまったく違うし、その違いがおもしろい。シオクリビトは、〝いいものは、つくっているヒトが面白い〟という想いの下、生産者さんならではのおもしろさ、つまり魅力を伝えます。そのときに大切なのはリアリティ。写真を含めて、飾らない素顔を伝えることに意味があると思っています」（スマイルズ・吉田剛成さん）
「生産者さんは、地元を盛り上げたいという気持ちにあふれています。シオクリビトを通して、皆さんの人柄を知っていただいた上で、それぞれの地域の魅力も知っていただきたいです」（福島県商工会連合会・川島秀一さん）
買い手は、サイト上のエピソードを読み進めるうち、思わず吹き出したり、自然とうなずいたり。
「知らない人はもちろん、友だちや家族であっても意外な側面が見えてきます。懐かしい感じに仕上がる写真と相まって、自分の記憶や親戚を見ているような気分になるんです。そうすると、生産者さんをより身近に感じられると思います」（川島さん）
そしてそこから共感が生まれ、応援したいという想いにつながる。同時に生産者も、シオクリビトに参加することで、自分でつくって自分で売る時代であることを意識し、成長するきっかけにもなる。
「シオクリビトは、ＥＣはＥＣでもEmotional Commerce（情緒的取引）のサイト。生産者は品物を、買い手はエールや感謝を届けます。手紙をやりとりしている感覚に近いかもしれません。買って終わり、売って終わりではなく、シオクリビトを通してつながりを育み、長くおつき合いし続けてもらえたらうれしいですね」（吉田さん）
「大堀相馬焼 陶吉郎窯」
陶芸家・近藤 賢（こんどう たかし）さん
大堀相馬焼陶吉郎窯の長男として生まれ、大学・大学院で陶芸を学んだ後、2010年より福島・浪江町にて作陶を開始。中学校で美術の非常勤講師も務める。趣味は料理で、自分がつくったうつわでの晩酌が日課。
「大椙食品」
豆冨職人・大椙 広（おおすぎ ひろし）さん
1901（明治34）年創業の豆腐店の5代目。上京して大学でインド哲学を学んだ後、百貨店のファッション部門に10年間勤務。その後、帰郷して家業を継ぎ、豆冨職人になった。幼少期の夢は総理大臣になること。
「haccoba」
蔵元一代目・佐藤太亮（さとう たいすけ）さん
IT企業に勤めるかたわら日本酒を飲み歩き、新潟県の阿部酒造での修業を経て、2021年2月、南相馬市小高に念願の酒蔵「haccoba（ハッコウバ）」を立ち上げた。酒蔵の2階が自宅で、酒蔵内には飲食スペースを併設。
「食処くさの根」
郷土食づくり・新谷尚美（にいたに なおみ）さん
兵庫出身で、結婚して福島へ。浜通り(福島県の太平洋沿岸地域)の魚文化に魅せられ、鮮魚を食べられる食事処や加工場を営むようになる。競りの資格ももち、一番好きな仕事は、市場へ出向いて行う魚の仕入れ。
「大堀相馬焼 陶吉郎窯」
陶芸家・近藤 学（こんどう まなぶ）さん
大学卒業後の23歳で家業の大堀相馬焼陶吉郎窯を継ぐ。高校、大学と野球に打ち込み、母校である双葉高校野球部の監督を3年間務めた経験をもつ。キリンビールのCMに採用され、新聞に掲載されたこともある。
応援したくなるECサイト！？
その秘密は“つながり”でした。
買い手が生産者の人柄を知ることで共感し、その人から買いたいという想いを生む。一方で生産者もシオクリビトについて自ら発信。そうしてヒトを入り口に広がるつながりが、温かく、そして長く続く、売り手と買い手の関係をかたちづくる。
人柄にじむ福島通販
「シオクリビト」
県内の生産者を応援するために、福島美味“通信販売”事業として、福島県商工会連合会が立ち上げたECサイト。9月にティザーサイトがオープン、10月末に本格始動！
問｜福島県商工会連合会 広域指導課
Tel｜024-525-3411
text: Miyu Narita photo: Smiles
2021年11月号「喫茶のススメ」
