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スノーリゾートへ行こう
スキーとは旅である。

2019.11.20 PR
スノーリゾートへ行こう</br><b>スキーとは旅である。</b>

今年もスキーシーズンがやってくる。ゲレンデでストイックに滑り込む、そんなスキーも楽しいけれど、せっかく行くなら、その地域や周囲の自然に目を向けてみるというのはどうだろう。各地でスノーリゾートを手掛け、自身も無類のスキー好きである、星野リゾートの代表・星野佳路さんに案内していただいた。

〈案内人〉
星野リゾート代表・星野佳路さん
1960年、長野県生まれ。1991、年星野リゾートの代表に就任。2018年にはOMOブランドを、’19年にはBEBブランドの展開を開始。11月にリゾナーレ那須をオープン。スキー板はVECTOR GLIDEを愛用。年間60日以上のスキーが目標〈体験人〉
小誌編集長・高橋俊宏
1973年、岡山県生まれ。建築やインテリア、デザイン系など幅広いジャンルの出版を手掛けた後、2008年小誌創刊。小学生からスキーをはじめ、モーグルにハマり、バックカントリースキーに夢中に。自称パウダージャンキー。ウェアはピークパフォーマンスを愛用

年間60日スキーを滑る
星野さんがゲレンデを案内

白銀の景色の彼方から、一人静かに雪煙を巻き上げ降りてくる人影がある。白いスキーウェアに赤のヘルメットをつけてさっそうと現れたその人こそ、こちらのゲレンデを運営する星野リゾートの代表・星野佳路さんだ。星野さんの滑ってきた後ろには、美しい弧を描いたシュプールが伸びている。

「ようこそお越しくださいました。今日はみっちりご案内します」
ゴーグルを脱ぐが早いか、星野さんはそう言ってスキーを担ぎ、すたすたと取材陣を先導して歩き出した。

ここは福島県の猪苗代湖のすぐ隣、磐梯山のふもとにあるスキー場「アルツ磐梯」だ。雪不足に悩むスキー場は増えているが、我々が訪ねた2月末のアルツ磐梯は、そんな心配を微塵も感じさせない恵まれたコンディションだった。

星野さんは1年のうち60日はスキーブーツを履いているという、筋金入りのスキー好き。冬はトマムスキー場をベースキャンプに、ヨーロッパまで遠征することもしばしば、夏でもニュージーランドのクイーンズタウンにある拠点から、ヘリスキーなどバックカントリーまでをこなす手練れだ。そんな星野さんが、肝煎りで開発したという新しいルートを、こちらもスキー狂いの小誌編集長・高橋俊宏にこの日、紹介してくれた。

ブナ林をハイクアップする
雪上徒歩ルートが開設

アルツ磐梯は、全25コースにリフト・ゴンドラ8基がかかり、ニッポンオープンなどの世界大会も開かれた本格的なスキー場だ。リフトに乗って到着した山頂からは、磐梯山と猪苗代湖が一望できる。

絶景を前にいざ滑らんと意気込む一行を星野さんがまず案内したのは、その先に続くブナ林。一体なぜ? 星野さんは説明する。
「林の中を800mほど歩くと、裏磐梯の猫魔スキー場につながります。そことアルツ磐梯をつなぐルートづくりに、行政機関と一緒に長年取り組んできました」

このあたりは磐梯朝日国立公園と呼ばれ、特別保護地区に認定されるエリア。アルツ磐梯と猫魔スキー場はこれまでも共通リフト券での利用が可能だったが、行き来するにはふもとまで降り、車で約1時間の移動が必要だった。それが1月中旬にオープンすることに決まった「雪上徒歩ルート」を使えば、15分ほどで歩いて行けるようになる。

今年年開設される「雪山徒歩ルート」。シールなど特別な道具がなくても、スキーを担いで十分歩ける

この冬、アルツ磐梯から
日本のスキーが変わる!

星野代表自らのガイドを体験した小誌高橋。スキーを愛してやまない二人が、これからの日本のスノーリゾートについて語り合った。

星野佳路さん(以下、星野):楽しんでいただけましたか?
高橋俊宏(以下、高橋):ブナ林の中を歩いて、植生の移り変わりに目を向けたり、動物の足跡を見つけたり。その先には極上のパウダー! まさに“旅”でした。
星野:それを感じていただけてよかったです。ゆくゆくはこのコースを基点に予約制のツアーも企画したいと思っています。
高橋:そういうのは星野さんご自身で開拓されるんですか?
星野:そうです。今日ご案内した猫魔のルートもこの1週間で4回は歩いてますよ。リフトの山頂からまた別の、雄国沼という湖のほうへも降りることができるのですが、それがすごくいいところで。
高橋:あ、そのあたりは夏にキャンプへ行ったことがあります。

ブナ林の中に佇む星野さん。振り返って取材陣が追いつくのを待ってくれていた

星野:あまり知られていないですけれど、冬の沼の景色というのが素晴らしくいいんです。雄国沼からハイクアップすると、雄国山という山があります。それを越えると今度は温泉がありましてね。うちとは別の施設ですが、そこの温泉に入っている間にホテルに送迎を頼んでおいて、お湯から上がる頃迎えに来てもらう、なんていうことができるんです。
高橋:それはいいですね。途中でお昼を食べたりしながら、スキー場の外も行けてなおかつ温泉まで入れる。完璧なツアーです。
星野:まだ構想段階ですが、そういう楽しみ方もしてもらえるようにしたいと思っています。
高橋:そういう星野さんの感覚は、ヨーロッパのスキーの楽しみ方にも近いですよね。
星野:そうですね。実は2010年から社員を誘ってスキーに行くクラブを社内で立ち上げまして。いまは「Hoshino Gourmet Ski Club(HGSC)」という名前で活動しているんです。
高橋:なんだか楽しそうですね!
星野:スキーを滑った後に食べることを楽しんでもらうという活動です。「滑らざる者食うべからず」が唯一の会則ですね。つい2週間前(※)にも『HGSCマッターホルンに行く』という企画でスイスのツェルマットにみんなで行ってきたばかりです。アルパインレストランランキングといのがヨーロッパにありまして、その1位と2位がツェルマットにあるので両方行ってみようじゃないかと。
高橋:本格的ですね。山岳鉄道に乗って行くわけですか。
星野:そうです。ツェルマットは山頂からスイス側とイタリア側にスキーで降りることができるので、両方の国の料理が楽しめます。1位のZum Seeはスキーインするビレッジの中にあるレストランで、2位のChez Vronyはインテリアなど内装も含めて評価されている店ですね。

星野さん(右)のスキー愛にあふれるガイドで、パウダーに目のない高橋(左)もアルツ&猫魔を存分に楽しんだ様子

高橋:一般の人は参加できないんですか? 僕も入りたいです!
星野:ぜひ! このクラブは東京都スキー連盟に登録しまして、社外にもメンバーが増えていますよ。
アルツ磐梯なら、郡山駅の立ち食い蕎麦なんかも欠かせないポイントになります。あとはゲストを招くときに必ずお連れするのが、「元祖輪箱飯 割烹・会津料理 田季野」さんですね。江戸時代の建物を移築した歴史ある店構えで、会津の伝統的料理であるわっぱ飯をいただけます。
高橋:そういう意味では、磐梯山温泉ホテルでも、地域性を大切にされていますよね。エントランスでは赤べこが出迎えてくれて、今朝は郷土料理のこづゆをいただきましたし、夜には日本酒の講座なんかも開かれています。
星野:スキーと旅をセットで考えると、パウダースノーや自然だけでなくて、日本らしさ、その土地らしさを、旅行者から求められるんですよね。いまはソフト面がメインですが、今後はスキー場のハード面も含めてどう日本らしく変わっていけるかが、テーマですね。
高橋:楽しみです。
星野:世界的に見ても雪質がよく、積雪量もしっかりあって、ここは恵まれています。まだまだチャンスがあると思っています。
高橋:これからの日本のスノーリゾートを盛り上げるお手伝い、僕も一緒にさせてください!

星野リゾート アルツ磐梯
オープン期間:2019年12月21日(土)〜2020年3月29日(日)
住所:福島県耶麻郡磐梯町大字更科字清水平6838-68
コース数:25
リフト数:リフト7、ゴンドラ1
積雪量(昨年最大):190㎝(2月20日)
Tel:0242-74-5000
www.alts.co.jp

星野リゾート 猫魔スキー場
オープン期間:2019年11月30日(土)〜2020年5月6日(水)
住所:福島県耶麻郡北塩原村桧原猫魔山1163
コース数:11
リフト数:5
積雪量(昨年最大):190㎝(4月12日)
Tel:0241-32-3001
www.nekoma.co.jp

会津らしさが随所に感じられるホテル

レストラン「kisse・kisse」(上)はわっぱ飯やこづゆ、まんじゅうの天ぷらなど、会津の伝統料理を取り入れたビュッフェ形式。地酒も取り揃えられており、会津の食文化を体験することができる。客室はツインからスイート(下)までさまざまなタイプが。ホテルの目の前にゲレンデが広がる

星野リゾート 磐梯山温泉ホテル
住所:福島県耶麻郡磐梯町大字更科字清水平6838-68
Tel:0570-073-022(9:00〜20:00)
料金:1泊2食付1万6500円~(サ別)
IN:15:00(冬季16:00)
OUT:11:00(冬季13:00)
www.bandaisan.co.jp

※インタビューは2019年2月末、アルツ磐梯にて収録

文=編集部 写真=渡辺洋一 地図=アルト・ディー・クラフト 協力=ピークパフォーマンス

Discover Japan12月号『人生を変えるモノ選び。』

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