白牡丹酒造《広島県東広島市》の「白牡丹」
福田里香の民芸お酒巡礼
民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は番外編!民芸お酒巡礼として、版画家の棟方志功が手掛けたロゴと版画の花を組み合わせたラベルが楽しい名酒「白牡丹」を紹介します。
福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。11年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中
今月は番外編。日本酒の意匠をご紹介します。食品のパッケージに縁の深い民藝運動家といえば、版画家の棟方志功です。棟方は全国各地の菓子舗の箱絵や包装紙を手掛け、版画から肉筆まで多種多様な仕事を残していますが、酒の意匠も手掛けているのをご存じですか。
「白牡丹酒造」は、創業1675(延宝3)年と300年続く広島県の老舗酒蔵です。江戸期には蜀山人が白牡丹を題材にした狂歌を残し、その後も夏目漱石が一句寄せ、今 東光も白牡丹の旨さを文藝春秋誌に寄稿しています。
そして昭和期、棟方は白牡丹酒造のロゴを手掛けました。さらに版画『牡丹花』やカラフルな肉筆絵画も残しています。『白牡丹』のロゴと版画の花を組み合わせたラベルは、棟方らしい大胆さとかわいらしさを兼ね備え、目にも楽しい。ちょっとした贈り物なら「白牡丹 山田錦 純米酒」がおすすめです。コクとキレが特徴で、贅沢に酒造好適米の山田錦を全量使用し、しっかりと膨らみのある麹の旨みを引き出しています。この値段はお値打ちです。
白牡丹酒造
住所|広島県東広島市西条本町15-5
Tel|0120-76-1675
※平日9:00〜17:00のみ受付
www.hakubotan.co.jp
text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
Discover Japan 2021年7月号「ととのう発酵。」